Select Language

ESMA、MiFIDⅡとMiFIRの透明性要件に関する最終版の調査レポートを公表

ESMA、MiFIDⅡとMiFIRの透明性要件に関する最終版の調査レポートを公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.12 12:49
ESMA、MiFIDⅡとMiFIRの透明性要件に関する最終版の調査レポートを公表

update 2022.01.12 12:49

透明性要件のシンプル化と取引の透明性向上を模索

欧州証券市場監督局【以下、ESMAと称す】は7月16日、第二次金融商品市場指令【以下、MiFIDⅡと称す】及び金融商品市場規則【以下、MiFIRと称す】における透明性要件に関する2種類の調査レポートを公表した。[1]

1つ目のレポートは、MiFIRにおけるエクイティ性商品及び組織的内部執行業者(Systematic Internaliser)【以下、SIと称す】に適用される透明性要件についての調査・勧告がなされている。また、エクイティ性商品を取り扱う取引施設やダブル・ボリューム・キャップ方式に対する透明性義務の修正に関する提案も含まれているという。具体的には、他の取引施設などの参照価格に基づく注文付け合わせシステムであるReference Price Waiverの大口注文への活用制限や、シングル・ボリューム・キャップ方式の導入、ある証券に係るダークプール取引をEU全体の4%に制限するルールの撤廃などの提案がなされている。

2つ目のレポートは、非エクイティ性商品を取引するSIに適用される取引前透明性要件に関する調査及び提案である。具体的には、流動性の高い金融商品の気配値は公表を維持する一方、流動性の低い金融商品に関しては同様の要件を削除すると共に、SIのエクイティ性・非エクイティ性商品に関する気配値提示方法の改善なども提案されている。

ESMAは現行の複雑な透明性要件のシンプル化と取引の透明性向上を目指し、パブリックコンサルテーションを通じて市場参加者からのフィードを基にレポートを公表したという。

調査レポートの公表に際し、ESMAのSteven Maijoor氏は以下のようにコメントしている。

今回のレポートは、現行の透明性要件の限界に焦点を当てると共に、MiFIDⅡの導入以降に、データに基づく具体的な勧告を行うことができる我が局の権限を示すものであります。これらの重要なレポートは、将来的にMiFIRにおける透明性要件のモニタリングの際に確かな判断材料となるでしょう。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

尚、新型コロナウイルス(COVID-19)動向に鑑み、ESMAはMiFIDⅡの調査レポートに関するコンサルテーション期間の延長に合意している。引き続き、同局による健全な市場の形成に向けた取り組みに注目したい。

release date 2020.07.20

出典元:

ニュースコメント

市場動向に即した規制フレームワークの構築を目指すESMA

ESMAは汎欧州における市場動向に即した規制フレームワークの構築に向け、2014年5月にMiFIDⅡとMiFIRが制定された以降も、各種制度の改良を推し進めている状況だ。例えば欧州全域でMiFIDⅡが適切に運用されていないことに鑑み、2019年12月にESMAはエクイティ性商品に統合テープの導入を推奨し、取引の透明性確保と市場データコストの削減を模索している。今回のレポートにおいても、2020年1月末に実現したブレグジットに絡むリスクモニタリングの強化などを見据え、第三国の株式に関連した取引義務の範囲の明確化を提案している。また足元では新型コロナ禍における個人投資家の取引リスクを懸念し、ESMAはMiFIDⅡの行動規範遵守の徹底を要請している状況だ。加えて、ドイツのオンライン決済システム大手のWirecardの破綻を受け、ESMAはドイツの財務報告制度を審査する意向を示している。今後も、同局が欧州全域をカバーした透明性と健全性の高い金融監督スキームの構築に向けて如何なる規制策を打ち出すか、その動向を見守りたい。


Date

作成日

2020.07.20

Update

最終更新

2022.01.12

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

Bybitが日本ユーザーの新規登録を停止!日本撤退で海外FXユーザーにも影響大か?

Bybitが2025年10月31日をもって日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。既存ユーザーは継続利用できるものの、締め出しも時間の問題と予想する声も少なくありません。本記事では、Bybitの発表内容や海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.11.06 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

FXGT破綻の噂がSNSで再浮上、CEOは「完全なデマ」と否定

海外FX業者のFXGT(エフエックスジーティー)が「経営破綻の危機にある」との噂が一部で広がっています。噂が流れているのは主にX(旧Twitter)で、FXGT公式はこれを否定しています。当サイトではFXGTにこれらの噂について、事実確認を行いました。
update2025.11.04 19:30

Exnessで10月に2度もサーバーダウン!?SL設定のユーザーは損失補填

海外FX業者のExnessで、10月に2度のサーバーダウンが発生しています。一連のトラブルが原因で、損失を被ったユーザーも少なくないようです。本記事では、報告されている不具合やExnessが実施した補償などについて説明します。
update2025.10.30 19:30

Wiseでの海外FX入出金をおすすめできない理由とは?アカウント閉鎖の可能性も

海外FXユーザーの間で、Wiseを利用した送金が話題になっています。しかし、Wiseでの入出金はリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
update2025.09.08 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル