作成日
:2020.07.20
2021.08.31 15:33
金融情報会社Refinitiv(本社:5 Canada Square London E14 5AQ United Kingdom
)【以下、リフィニティブと称す】は、1,000名以上のトレーダーが回答したFX関連のグローバルサーベイを実施し、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックやロックダウンの開始以降、安定したスプレッドと流動性アクセスの確保が最も大きな課題であると公表した。同調査によると、FX取引における最も大きな課題として、回答者の内50%はスプレッドを挙げ、それに続き24%が流動性アクセスとする一方で、14%が特段問題はないと回答したという。顧客属性別に見ると、ヘッジファンドは68%、銀行は57%がスプレッドを課題として挙げているが、法人は35%に留まった。また銀行は31%が流動性アクセスを課題としている一方で、他の顧客属性においては、より小さな割合であったという。
取引執行手法に関しては、リフィニティブの取引プラットフォームであるFXallなどを通じたStreaming risk transferが65%と最も選好されており、それに続いてRefinitiv MatchingのPrimary Market Executionが24%を占めているとのことだ。顧客属性別に見ると、多くの銀行が最も信頼のおける執行スキームとしてPrimary Market Executionを活用する一方で、法人及びアセットマネージャーの内70%はStreaming risk transferを利用しているという。またオフィスワークから在宅勤務へのシフトに際し、回答者の30%が同僚とのコミュニケーションを最も大きな課題として挙げている中、従来からのボイストレードと比較して、電子取引の重要性が高まっている模様だ。
FXサーベイ結果の公表に際し、リフィニティブのトランザクションセールス部門グローバルヘッドを務めるJim Kwiatkowski氏は以下のようにコメントしている。
新型コロナウイルス危機の中、ボラティリティの拡大を受けスプレッドもワイド化したことにより、お客様の取引余力に対して懸念が高まりました。但し、アグリゲーション(流動性集約)ツールを活用し、最高水準のプライシングを提供することで、少なくとも一部の市場においてはこの問題が解消されております。困難な市場環境下において、お客様は充実したプライシングと高い約定力を求めている中、Refinitiv Matchingを通じて流動性を確保するニーズが大きく拡大しております。またトレーダーはブッキングエラーリスクの減少やコンプライアンス遵守のため、ボイストレードやアルゴリズム取引ワークフローの自動化を図るツールを活用している状況です。
Jim Kwiatkowski, Global Head of Transaction Sales at Refinitiv - LeapRateより引用
今回のサーベイ結果を受け、リフィニティブが顧客基盤の維持・拡大に向けて、今後如何なるソリューションを提供するか注目したい。
release date 2020.07.20
リフィニティブのグローバルサーベイにおいて、安定したスプレッドの確保と豊富な流動性へのアクセスを可能にするソリューションに対し、改めて利用ニーズの高さが示された格好だ。金融サービスプロバイダー各社も顧客需要に対応すべく、関連ソリューションの強化を図っている。例えば、FXCM ProがTradesocioと提携し、Tradesocioの顧客に対して機関投資家向けの豊富な流動性などを提供する意向だ。リフィニティブはスプレッドデータ分析機能を提供し、複数の業者が提示するスプレッド比較を可能としている。またFXSpotStreamがソシエテジェネラルと提携し、合計15社の流動性供給サービスへアクセスを実現させている。新型コロナウイルス動向に目を転じると、世界各国で感染の第2波へ懸念が高まっている状況である。新型コロナウイルス関連のヘッドラインに一喜一憂する不安定な相場展開となる中、引き続き市場参加者は安定性と信頼性の高い取引サービスの提供を求めているようだ。
作成日
:2020.07.20
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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