作成日
:2026.06.10


2026.06.10 17:43
2025年6月に資金決済法が改正され、クロスボーダー収納代行が規制対象となりました。
海外FXの国内銀行送金は、クロスボーダー収納代行業者を介して行われるため、ユーザーの間では「今後は海外FXで国内銀行送金を利用するのが難しくなるのではないか」と懸念する声が上がっていました。
そして2026年6月1日、実際に改正資金決済法が施行されたことで、「いよいよ出金できなくなるのでは?」と一部で不安が広がっています。
本記事では、改正資金決済法の施行が海外FXに与える影響や、6月以降も国内銀行送金が使えるのかを解説します。
本記事の執筆時点(2026年6月3日)では、海外FX業者の国内銀行送金が停止になったという情報は確認できません。むしろSNSでは、6月に入ってからも「国内銀行送金で出金手続きを行い、無事に銀行口座に着金した」という投稿も見られます。
また、ブローカー側から国内銀行送金を廃止するといった発表も今のところありません。ただし、一部の海外FX業者では改正資金決済法の施行に合わせて、国内銀行送金以外のルートも選べるように出金ルールを緩和する動きがみられます。
例えば、Axi(アクシ)では、過去に国内銀行送金で入金したユーザーであっても、入金履歴を一度リセットすることで、国内銀行送金のほか仮想通貨(暗号資産)送金でも出金できるルールとなりました。
そのほか、XS.com(エックスエス)は国内銀行送金による送金が困難になった場合は、代替手段による送金の相談に応じることを発表しています。
不安の声はあるものの、現状では改正資金決済法の施行に関連した大きなトラブルは発生しておらず、海外FXユーザーも落ち着いているようです。
日本に拠点がない海外FX業者は通常、国内に銀行口座を持っていません。そこで、海外FX業者はクロスボーダー収納代行を利用することで、日本ユーザー向けの国内銀行送金を可能にしています。
クロスボーダー収納代行を介した入金では、収納代行業者が指定する国内銀行口座へユーザーが資金を振り込むことで、その情報が海外FX業者に共有され、FX業者の取引口座に残高として反映されます。
これまでは、クロスボーダー収納代行業務は法的にはグレーゾーンとされてきました。しかし、2025年6月の資金決済法の改正で規制の対象となり、原則として金融庁への登録が必要になりました。
もし、海外FX業者と取引のあるクロスボーダー収納代行業者が登録を行わずにそのまま営業を続けた場合、「無登録業者」として扱われることになります。そうなれば、マネーロンダリング対策などの観点から、銀行側がその業者との取引を制限する可能性があります。
実際、過去には無登録業者である海外FX業者との取引が原因で、海外FXユーザーの銀行口座が凍結されてしまった事例も存在します。
こうした背景があるため、海外FXユーザーの間で「国内銀行送金を利用し続けることで、銀行口座が凍結されるリスクが高まるのではないか」「いずれ送金自体が困難になるのではないか」という懸念が広がっているのです。
2026年6月1日に改正資金決済法が施行されたことで、ユーザーが抱いていた「国内銀行送金が困難になる」という懸念の一部は、現実のものになったといえます。その決定打となったのが金融庁の公式見解です。
金融庁は改正資金決済法の施行に先立って、法改正に対する一般からの質問や意見(パブリックコメント)を募集していました。金融庁が2026年5月22日に公開した「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」の中で、「海外FX業者(無登録業者)と取引のある収納代行業者が登録を申請したとしても登録は認められない」と明確に回答しています。
国外所在の無登録金融商品取引業者のために資金決済法第2条の2に規定する行為を営む者が資金移動業者の登録を申請したとしても、登録拒否要件(同法第40条第1項第4号)に該当し、登録が認められないため、無登録で為替取引を営む者として取締りの対象となることにご留意ください。
コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 - より引用
日本の金融庁に登録されていない海外FX業者は、無登録金融商品取引業者に該当します。そして海外の無登録業者との取引がある時点で、その収納代行業者は登録拒否要件4号の「資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人」とみなされます。
(登録の拒否)
第四十条 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
(中略)
四 資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人
資金決済に関する法律の一部を改正する法律 - より引用
そのため、海外FX業者と取引のあるクロスボーダー収納代行業者が、金融庁から正式な登録を受けることはほぼ不可能と考えられます。
つまり、今回の改正法の施行によって、海外FX業者と取引のあるクロスボーダー収納代行業者は、将来的に無登録業者として取り締まりの対象となることが決定づけられたといえます。
従来のようなクロスボーダー収納代行を介した国内銀行送金は使えなくなる可能性が高く、仮に使えたとしても非常にハイリスクな手段となるため、海外FX業界全体に大きな影響が及ぶとみられています。
改正資金決済法には、経過措置として猶予期間が設けられています。そのため、改正法が施行された2026年6月から一斉にクロスボーダー収納代行が利用できなくなるわけではありません。
金融庁への登録申請を行うための期間として、改正法の施行日(2026年6月1日)から起算して6ヶ月間(2026年11月頃まで)の猶予期間が設定されています。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にこの法律による改正後の資金決済に関する法律(中略)第二条の二の規定により為替取引に該当するものとされる行為(中略)を業として営んでいる者は、この法律の施行の日から起算して六月間(中略)は、銀行法(中略)並びに資金決済に関する法律第三十七条の規定にかかわらず、当該行為を業として営むことができる。
2 (中略)この法律の施行の日から起算して六月間を経過する日までに資金決済に関する法律第三十七条の登録の申請をした場合において、その申請について登録又は登録の拒否の処分が行われることなく、その期間を経過したときは、その申請についてこれらの処分があるまでの間も、同項と同様とする。ただし、この法律の施行の日から起算して二年を経過したときは、この限りでない。
附則(令和七年六月一三日法律第六六号) - より引用
さらに、この期間内に登録を申請した場合は、審査結果が出るまでの間、最長で施行日から起算して2年間(2028年5月頃まで)の猶予が適用されるとされています。
この猶予期間中は、金融庁への登録が完了していない状態であっても営業を続けることができるとされています。したがって、仮にクロスボーダー収納代行業者が登録申請を行わなかったとしても、申請猶予の期限となる2026年11月頃までは営業できると考えられます。
ただし、登録を申請した結果、登録拒否となった場合は、処分が下された日をもって猶予期間は終了となります。
本格的に影響が出始めるのは、登録申請の猶予期間が終了する2026年末以降になるとみられます。
仮にクロスボーダー収納代行業者が登録申請を行わなかった場合、猶予期間が切れる2026年末以降は完全な無登録業者として扱われることになります。そのため、無登録の収納代行業者を利用している海外FXブローカーで、国内銀行送金を使用すると銀行口座を凍結されるおそれがあります。
一方、収納代行業者が期限内に登録申請を行った場合は、審査結果が出るまで2026年末以降も引き続き経過措置が適用されるため、しばらくは営業を続けられる可能性があります。
しかし、前述した「金融庁の考え方」の回答を踏まえると、海外FX業者と取引のあるクロスボーダー収納代行業者が、正式な登録を受けることは極めて困難です。そのため、申請手続きを行ったとしても最終的には登録を拒否される可能性が高く、時間稼ぎにしかならないと考えられます。
改正資金決済法が施行されたものの、猶予期間が設けられているため6月から海外FXの国内銀行送金が利用できなくなるわけではありません。しかし、猶予期間の終了後は、国内銀行送金での入出金はこれまで以上に危険になると考えられます。
したがって、今後も海外FXを利用するのであれば、今のうちに国内銀行送金の代替手段を用意しておくことが重要です。
現状で最も無難な送金手段と考えられているのが仮想通貨送金です。仮想通貨による入出金であれば、今回規制の対象となったクロスボーダー収納代行業者を介さずに資金を移動できます。遅くとも2026年の11月頃までには、仮想通貨送金の準備を進めたほうが良いでしょう。
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作成日
:2026.06.10
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最終更新
:2026.06.10
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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