Select Language

ESMA、Wirecardの破綻を受けてドイツの財務報告制度を審査する意向

ESMA、Wirecardの破綻を受けてドイツの財務報告制度を審査する意向

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.13 12:52
ESMA、Wirecardの破綻を受けてドイツの財務報告制度を審査する意向

update 2022.01.13 12:52

審査は2020年10月30日までに完了する予定

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、ドイツを拠点とするフィンテック企業のWirecard AG(本社:Einsteinring 35 85609 Aschheim[1])【以下、Wirecardと称す】の破綻を受け、ドイツ連邦金融監督局(Die Bundesanstalt für Finanzdien Stleistungsaufsicht)【以下、BaFinと称す】とFinancial Reporting Enforcement Panel【以下、FREPと称す】の財務報告スキームの審査を開始することを明らかにした。[2]同審査は2020年10月30日までに完了する予定だ。

厳格な財務報告スキームは、資本市場において投資家の信頼を得る上で核心となるものであるが、Wirecardの破綻はその信用を毀損したことになる。そのため、ESMAは投資家からの信頼を回復すべく、ドイツの同スキームを審査する必要があるという。ESMAは厳格な財務レポーティングや監督システムを求める透明性指令(Transparency Directive, TD)下において、BaFinとFREPによる財務情報の執行に関するガイドライン(Guidelines on the Enforcement of Financial Information)【以下、GLEFIと称す】の適用動向を主に調査するとのことだ。また今回のファストトラック審査は、GLEFIとESMAのピアレビューメソドロジーに基づいて実施される。Wirecardの破綻が公共の利益を害すると共に、ドイツ特有の財務報告に関する法執行制度に鑑みつつ、ESMAは調査報告書を作成することができるとのことだ。尚、欧州委員会(EC)が6月25日に公表したレターにおいて、同局にドイツの財務報告スキームの審査を要請していた。

ESMAは、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)【以下、IFRSと称す】と調和の取れた財務報告スキームの適用及び監督を目指し、2014年にGLEFIを公表した。また同局は2017年に同ガイドラインを適切に運用すべく、ドイツを含むEU加盟7か国の現地調査を伴うピアレビューを実施している。同レビューではGLEFIにおける人的及び財務資本や財務報告手法の選定、審査手続きに着目していたが、各国の適用状況に大きな差異があったという。中でもBaFinとFREPのピアレビューにおいては、両者の監督・監視スキームや発行体の審査プロセス、FREPの独立性などに改善の余地があると指摘されていた。

ESMAがドイツの財務報告スキームに如何なる評価を下すか、その動向を見守りたい。

release date 2020.07.17

出典元:

ニュースコメント

健全性と透明性が高い金融監督スキームの構築が求められるドイツ金融当局

ドイツの財務報告制度は、BaFinが上場企業における財務会計の監督・監視機能をFREPに委託するスキームをとる。仮に上場企業の財務会計に問題が生じたとしても、BaFinは独自調査を実施する権限を有していない。Wirecardの不正に関しては、以前より大手メディアや内部告発によって指摘されてきたものの、BaFinがこうした声に耳を貸してこなかったことで、ドイツの金融監督体制に対し疑念が高まっている。また2019年には、韓国当局が相場操縦をしたドイツ銀行に罰金を科したほか、同行は2018年にもFTCから罰金を科せられる一方で、ドイツ金融当局による不正の取り締まりに対する対応の遅れが目立っており、早急に同国特有の金融監督制度の改良が求められている状況だ。他方で、ムーディーズ(Moody's)がWirecardをジャンク級に格下げしたほか、新型コロナウイルス(COVID-19)危機において、信用格付機関(CRA)による欧州域内のローン担保証券(CLO)などの格下げが相次いでいる。こうした市場環境下において、ESMAはCRA関連のフォローアップレポートを公表したことに加え、ESMAはScope Ratingsに罰金を科すなど、CRAによる格付けプロセスの改善を要請している。欧州全域において健全性と信頼性の高い金融市場の構築に向けた、ESMAや各国規制当局(NCAs)の規制動向に注目したい。


Date

作成日

2020.07.17

Update

最終更新

2022.01.13

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨SOLVの将来性は?ビットコインのステーキングプロトコルSolv Protocolを解説

仮想通貨(暗号資産)SOLVは、ビットコイン(BTC)のステーキングプロトコル「Solv Protocol」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨SOLVの特徴やSNSでの評判、将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2025.01.10 19:30

【無料ツールも】MT4/MT5で複数チャートを同期スクロールし、分析を劇的に変える方法!

MT4/MT5ではインディケータを使うことで複数チャートを同期してスクロールできます。この記事ではMT4/MT5の複数チャートを同期してスクロールできるインディケータについて、実際に使ってみた感想も交えながら紹介していきます。
update2024.11.07 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

MT4/MT5でも日本時間を簡単に表示できる!日本との時差については図解で理解しておこう

MT4/MT5では通常、表示される時間が日本時間から6時間ほどずれています。頭の中で「表示される時間 + 6時間」などと計算すれば、日本時間に変換可能です。しかし慣れないうちは少し不便なので、日本時間を表示させる外部ツールも活用されています。
update2024.11.27 19:30

bitbankからBybitに送金してみた!トラベルルールの対応状況も解説

Myforex編集部では、bitbank(ビットバンク)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.11.28 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00

初心者でも安心!MT4ストラテジーテスターの使い方完全ガイド ~EA活用とバックテストで一歩先のトレードへ~

MT4でEAを使って自動売買をするならストラテジーテスターにより利益が出るかテストが必要です。本記事では、ストラテジーテスターの実践的な使い方や疑問を感じやすいポイントを解説します。
update2025.01.10 19:00

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

このローソク足あと何秒!?残り時間を表示するMT4/MT5のインディケータを比較

MT4やMT5でトレードする際、インディケータを使えばローソク足が確定するまでの残り時間を表示できます。アラート機能付きや残り時間以外の情報も表示するインディケータもあります。本記事では、MT4・MT5にローソク足の残り時間を表示するインディケータを紹介します。
update2024.12.12 19:30

SONYのレイヤー2「Soneium」がIP侵害を理由にミームコインをブラックリスト化

ソニーグループによるイーサリアムレイヤー2のSoneium(ソニューム)が、メインネットローンチの同日に、IP侵害のあるミームコインをブラックリスト化し、SNSで話題となっています。本記事では、Soneiumの概要やブラックリスト化の内容、SNSでのユーザーの声などを解説します。
update2025.01.17 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル