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ESMA、Scope Ratingsに64万ユーロの罰金

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update 2022.01.13 13:16
ESMA、Scope Ratingsに64万ユーロの罰金

update 2022.01.13 13:16

信用格付機関規則に違反

欧州証券市場監督局【以下、ESMAと称す】は、ドイツ・ベルリンを拠点とする信用格付機関【以下、CRAと称す】のScope Ratings GmbH(本社:Lennéstraße 5 D-10785 Berlin[1])【以下、Scopeと称す】に対し、同社が2015年に導入したカバードボンドの格付手法【以下、CBMと称す】及びその改訂版の系統的な適用に係る信用格付機関規則【以下、CRARと称す】に違反したとして64万ユーロの罰金を科したことを発表した。[2]

2015年、Scopeは発行体の信用力に加え、法的枠組み及び破綻処理制度(Resolution Regime)、原資産となるローン等の資産で構成されるカバープールや、格付け取得済である全てのカバードボンドの担保として用いられるカバープールの分析を含むCBMを導入していた。しかしながら、同社は同年9月と11月に格付けを付与して以降、カバープールの分析を適切に行っておらず、CBMの系統的な適用を怠っていたという。Scopeが2015年に同手法を導入して以降、格付けを付与した622件の内559件がCBMを遵守した分析が行われていなかったとのことで、ESMAは同社に対し55万ユーロを科した。また、Scopeが2016年にカバープールの分析に関するCBMの重大な変更を行う前に、同局に対して通知及びステークホルダーとのパブリックコンサルテーションを怠ったとして、9万ユーロの罰金も科している。

CRARにおいては、健全で信頼の置ける格付けスキームを構築し、CRAによる恣意的な判断から投資家を保護するために、格付手法の系統的な構築や適用及びその一般公開などが求められている。CRAは格付手法の変更や情報公開、パブリックコンサルテーション、ステークホルダーの意見の公表、ESMAへの通知など複数のプロセスを踏まなければならない。ESMAはCRAの役割や格付け付与に伴う投資家に対して与える影響に鑑み、格付けは健全性や信頼性及び透明性の高い手法を採用することが重要であるという。また、Scopeが欧州監督当局【以下、ESAと称す】傘下の上訴委員会(Board of Appeal)に控訴することにより、同委員会はESMA規則第60条3項に基づきESMAの決定を見合わせる可能性があるとのことだ。

尚、新型コロナウイルス(COVID-19)禍において、ESMAはMiFIDⅡの行動規範遵守の徹底を要請したほか、EASがデリバティブ取引のRTS草案を公表した。また、EU各国当局の空売り規制延長にESMAが同意する方針を示すなど、欧州の規制当局が金融市場の安定化に向けた様々な施策を講じている。そして今回、ESMAが規制を適切に遵守しないCRAを厳罰に処すことで、投資家にとってより安心・安全な取引環境が整備されることを期待したい。

release date 2020.06.08

出典元:

ニュースコメント

強固な格付けスキームの構築を目指すESMA

ESMAは2020年の監督業務計画を公表した際、CRAを重点監督事項の1つに定めており、強固な格付けスキームの構築に向け、規制を遵守しない企業の取り締まりを強化している模様だ。また、足元では新型コロナウイルスの感染拡大が、世界各国の実体経済や金融市場に甚大な影響を及ぼす中、ムーディーズ(Moody's)やS&PなどのCRAは、複数のローン担保証券(CLO)の格下げを実施もしくは計画している。ESMAは金融市場の安定化と投資家の保護を目的に、CLOの格付けプロセスに懸念を示しており、CRAに対しCLOの格付け手法に関しても透明性の確保及び徹底した分析を行うよう求めている状況だ。グローバル投資需要が拡大する中、投資家が効率的な投資意思決定を下すためには、CRAが信頼性と透明性の高い格付けプロセスを構築することは極めて重要である。ESMAとしても、強固な格付けスキームの構築に向け、改善の余地があると見るCRA各社の格付け手法に関して規制を強化すると予想される。


Date

作成日

2020.06.08

Update

最終更新

2022.01.13

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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