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コロナ禍で景気後退も仮想通貨ヘッジファンドが躍進

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update 2021.08.31 15:32
コロナ禍で景気後退も仮想通貨ヘッジファンドが躍進

update 2021.08.31 15:32

2019年にファンド全体の運用資産残高が倍増

現在、世界経済は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で景気後退が確実視されているが、仮想通貨市場ではビットコイン価格が2カ月ぶりに1万ドルを突破するなど好調な流れが継続しており、特に仮想通貨ヘッジファンドがその恩恵を享受していることが明らかになった。[1]

仮想通貨ヘッジファンドの躍進は昨年から続いており、大手コンサルティングファームのPwC(PricewaterhouseCoopers)とElwood Asset Managementが公開した報告書では、全体の運用資産残高が前年から倍増して20億ドルに達したことが明示されている。また、調査対象となった仮想通貨ヘッジファンドは、平均200万ドル程度の規模からスタートしたものの、同期間中に2,000万ドル以上の運用資産残高を保有する企業の割合が19%から35%にまで増加しているという。

これらの仮想通貨ヘッジファンドの大多数は家族経営企業や富裕層を中心に平均28社のクライアントを抱え、投機や分散投資を目的に仮想通貨を利用しているようだ。PwCが50社以上のファンドを調査した結果、その内の97%がビットコイン(Bitcoin)、67%がイーサリアム(Ethereum)、56%がその他仮想通貨デリバティブを取り扱っていることがわかった。PwCのパートナーであるHenri Arslanian氏によると、新型コロナウイルスの被害が収束すれば、更に多くの人々が仮想通貨市場に関心を示すようになり、仮想通貨ヘッジファンドの市場への影響力が強まる可能性があるという。しかしながらこのような仮想通貨ヘッジファンドの介入がビットコインと株式の相関性を高めるとも指摘されている。

今年3月、コロナショックを受けてビットコイン価格が過去最大級の下げ幅を記録するなど、仮想通貨市場でボラティリティが拡大しているが、仮想通貨ヘッジファンドはこの機会を利益に変えているという。例えば米サンディエゴのBlockforce Capitalは2020年に入ってから18%のリターンを上げており、同社の共同創設者であるEric Ervin氏は、ここ数カ月間でビットコイン価格が高騰したことによって利益を得られたと述べた。これに関してPantera CapitalのPaul Veradittakit氏は、同社が時間を費やしてトレーダーを育成してきた事実に触れ、将来的にポートフォリオの比重をより仮想通貨に傾けていきたいとコメントした。

近年、仮想通貨市場では仮想通貨ヘッジファンドの台頭が著しく、Arslanian氏は現代の仮想通貨業界が90年代のヘッジファンド創成期と似た状況にあると主張している。PwCの報告書によると、150社のアクティブな仮想通貨ヘッジファンドの内、63%が2年以内に設立された新興企業のようだが、これらの企業は生き残ることができるのか、今後も仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。

release date 2020.05.12

出典元:

ニュースコメント

大手ヘッジファンドの仮想通貨市場参入が実現する可能性

ヘッジファンドは投資戦略の幅を広げるための手段として世界中の投資家に重宝されており、その市場規模は2兆5,000万ドルに達すると言われている。現時点でRay Dalio氏が率いるBridgewater Associatesが世界最大のヘッジファンドとされているが、同社の運用資産残高は1,500億ドルにも上るという。最近ではこのような大手ヘッジファンドが仮想通貨に興味を示しており、米国の伝説的なヘッジファンドマネージャーであるPaul Tudor Jones氏のTudor Investment Corpも仮想通貨市場への参入を検討しているようだ。同社は380億ドルの資金を運用しているが、Jones氏はその内の数%をビットコイン先物のポジション構築に充てる可能性があると言及した。昨年には英国でFCA認可の仮想通貨ヘッジファンドが誕生するなど、仮想通貨市場でも受け入れ体制が整いつつあるだけに、今後も大手ヘッジファンドの取り組みに期待したい。


Date

作成日

2020.05.12

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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