作成日
:2020.04.07
2021.08.31 15:33
大手コンサルティングファームであるPricewaterhouseCoopers LLP【以下、PwCと称す】は、仮想通貨業界のM&A(企業の合併・買収)および資金調達が鈍化しているにも関わらず、大手仮想通貨関連企業を中心に企業買収が継続していることを明らかにした。
PwCの報告によると、昨年の仮想通貨業界におけるM&Aの案件数は、2018年の189件から114件に減少したものの、純粋な仮想通貨関連企業による企業買収比率は同期比で全体の42%から56%にまで上昇したという。M&Aの総額は19億ドルから7億5,100万ドルへと76%下落しているが、PwCの仮想通貨部門で責任者を務めるHenri Arslanian氏は、大手仮想通貨関連企業が自社のサービス強化を目的に企業買収を継続していると言及した。一方、2019年の資金調達額は前年の40%減となる22億4,000万ドルを記録し、案件数自体も122件にまで落ち込んでいるようだ。しかしながらPwCは、2019年のシードラウンド後の資金調達額が前年から8%増加した事実を指摘しており、仮想通貨業界が成熟に向かっていることを示唆している。
また、Arslanian氏はこの仮想通貨業界の動きに次のようにコメントした。
一部の大手企業は、競合他社に直接的な買収を仕掛けるのではなく、事業を補完する動きを見せています。これらの企業は垂直統合よりも水平統合を選択しており、タコのように様々な事業分野に触手を広げているのです。業界が成熟するにつれ、案件の流動性やエグジットの可能性が向上するため、多くの仮想通貨分野のベンチャーキャピタルが成功を収めるようになるでしょう。我が社は欧米の大手企業が事業拡大の観点からだけでなく、戦略投資の資金調達においてもアジア市場に注目していることを目の当たりにしています。
Henri Arslanian, Global Crypto Lead at PwC - CoinDeskより引用
この報告書の中でPwCは、昨年の第2四半期および第3四半期にかけてのビットコイン(Bitcoin)価格の上昇が資金調達額の落ち込みに歯止めをかけることはなく、反対に2020年初旬からの世界経済の後退がその傾向を拡大する可能性があると主張した。実際に先月にはビットコイン価格の暴落を受け、ローン市場でマージンコールが発生するなど、仮想通貨を担保にした借入による資金調達スキームが崩壊しつつある。それでも欧州およびアジア地域での規制環境の整備が進んだことを背景に、2019年には仮想通貨市場におけるベンチャーキャピタルの関与が倍増しており、徐々に影響力を強め始めているようだが、仮想通貨業界はどのように偏移していくのか、今後もその動向を見守っていきたい。
release date 2020.04.07
これまで仮想通貨業界におけるベンチャーキャピタルの投資は、そのほとんどがブロックチェーンのインフラ開発に割り当てられていたが、2019年にはコンプライアンス関連ソリューションに多くの資金が流入しているようだ。また、地域別ではその比重がアメリカ大陸からアジアや欧州地域に大きくシフトしており、昨年はM&Aおよび資金調達の大半が米国外で行われたという。特にアジア地域ではシンガポールの仮想通貨業界に多額の投資が流入するなど、一部市場が目覚ましい発展を遂げている。一方、個人向けのサービスでは大手取引所のKrakenがインド市場への事業拡大を決定すると同時に、競合のバイナンスなども同国への参入を見据えた企業買収を行なっている状況だ。その他にも香港には仮想通貨関連企業が集中しており、機関投資家向けサービスが活発になってきているだけに、今後しばらくこの資金シフトの流れが継続する可能性は高いと言えるだろう。
作成日
:2020.04.07
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー