Select Language

クリアリングハウス業界団体がEUの仮想通貨規制に賛同

クリアリングハウス業界団体がEUの仮想通貨規制に賛同

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:28
クリアリングハウス業界団体がEUの仮想通貨規制に賛同

update 2021.08.31 15:28

将来的に仮想通貨の分類が重要になることを指摘

欧州のクリアリングハウス業界団体であるEuropean Association of CCP Clearing Houses【以下、EACHと称す】は、EU(欧州連合)が提案した仮想通貨の規制を目的とするフレームワークの構築に賛同した。[1]

ベルギーを拠点とするEACHは、欧州15のCCP(Central Counterparty、中央清算機関)を束ねる業界団体であり、そのメンバーにはICE(インターコンチネンタル取引所)やLSE(ロンドン証券取引所)、Deutsche Boerse AGなどの企業が所有するクリアリングハウスが含まれているという。今回、EUの提案に対してEACHは、領内全域で仮想通貨関連の規制を標準化する可能性があると評価すると同時に、曖昧さに起因する不正な裁定取引や市場の断片化リスク、全般的な不整合性などを排除することができると言及している。それに加え、EACHはユーティリティトークンやセキュリティトークン、ハイブリッドトークンなどの例を挙げ、仮想通貨の種類を明確に分類することが将来的に極めて重要になると指摘しており、特にセキュリティトークンに関しては、取引や資産管理の観点から段階的なアプローチで規制する必要があると提言した。

声明の中でEACHは、ブロックチェーン技術が様々な事業領域に影響を与えるとの懸念を表明しており、既に複数のイニシアチブを立ち上げ、そのユースケースの実現に向かって動き出していることを明らかにした。また、クリアリングハウスの役割に関してEACHは、ブロックチェーン技術が発展しても、CCPのデフォルト管理プロセスや取引を担保する機能が維持されるとの見解を示し、この取引スキームが時代遅れにはならないと断言している。その上でEACHは、仮想通貨ウォレットプロバイダーが第5次マネーロンダリング対策指令(The Fifth EU Anti-Money Laundering Directive, AMLD5)に基づいて定義されている事実に触れ、適切な規制を課すべきだと述べた。

これまでEUは多様な仮想通貨が存在することを認めているが、包括的な分類方法が欠如しているため、このような資産が第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFIDⅡと称す】に該当するかどうか判断できずにいるようだ。しかしながらセキュリティトークンに関しては、MiFIDⅡの適応範囲内とし、過去2年間で取引所やICO(イニシャルコインオファリング)の主催者、取引に関与した個人を厳しく取り締まっているという。現在、欧州ではFacebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)のような世界的なステーブルコインが潜在的な脅威となっており、金融市場の安定性が失われてることが懸念されている。依然としてEUはリブラへの対応を模索しているが、一刻も早く具体的な規制のフレームワークを確立することが望まれているだろう。

release date 2020.03.23

出典元:

ニュースコメント

コンセンサス形成が課題となる欧州市場

これまでトークンの分類方法に関しては、欧州各国でも議論されており、例えば英国ではFCAが仮想通貨に関するガイダンスを発表し、エクスチェンジトークンおよびユーティリティトークン、セキュリティトークン、それぞれの特徴を明示している。その中でFCAはビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)などをエクスチェンジトークンと定めているものの、実際にはリップル社が発行するXRPに代表されるように、非常に曖昧な特性を持つ仮想通貨も存在するため、国家間でコンセンサスを形成するのは難しいと言えるだろう。しかしながらグローバル市場では、既に証券のトークン化やそれらの取引プラットフォームの開発が進められている状況だ。東南アジアではiSTOXがMASの承認を受けて正式始動するなど、セキュリティトークンを活用したサービスが立ち上がっているが、EUはこのグローバル市場の動きに対して適切な対応を取れるのか、今後も当局の動向に注目していきたい。


Date

作成日

2020.03.23

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

2025年以降、オンラインカジノ規制の影響と見られる海外FX業者の国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル