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FCA、仮想通貨に関するガイダンスを発行

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update 2021.08.31 15:30
FCA、仮想通貨に関するガイダンスを発行

update 2021.08.31 15:30

規制対象となるトークンの種類を明確化

英国の金融監督当局である英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】が、仮想通貨に関するガイダンスを発行し、具体的にどのようなトークンが規制の対象となるかを明確にした。[1]

このガイダンスでは今年1月にFCAが公表した仮想通貨に関する諮問書の内容がほぼ採用されており、既存の規制環境に劇的な変化をもたらすわけではないが、規制対象となるトークンの判定方法が記されている。それによると、ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)などのエクスチェンジトークンはFCAの規制対象外となっているが、欧州連合(EU)の第5次マネーロンダリング防止指令(5AMLD)が適応されるという。また、ガイダンスの中でFCAは株式や債券のような所有権が付随するものをセキュリティトークンと定め、それを特定投資商品として取り扱う方針を示した。対象的にこのような特性を持たないユーティリティトークンは、新しいカテゴリーである電子マネートークンに該当しない限り、FCAが規制することはないことが明らかになった。

FCAは利用者に対してこのガイダンスを基本的な判断基準に活用するよう推奨しているものの、トークンがどのカテゴリーに分類されるかは最終的にケースバイケースの解釈になることを強調している。また、セキュリティトークンに関してFCAは、株式と同様に発行にライセンスの取得は不要でも、アドバイザリーやブローカー業務、プロモーション活動には当局の承認が必須だと述べた。セキュリティトークンが欧州連合内の資本市場で取引可能となる場合、これに加えて金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive, MiFID)にも準拠しなければならない。

ロンドンの法律事務所であるOrrickのJacqui Hatfield氏は、セキュリティトークンとユーティリティトークンの境界線が曖昧になることを危惧しており、例えば規制を回避することを目的にこれらの分類を悪用された場合、どのような対処をとるのか考察すべきだと警笛を鳴らしている。FCAはトークンの分類を明確にすることに努めているが、法定通貨との等価性が保証されているステーブルコインは電子マネートークンとしての特性も持ち合わせているためその判断は難しいと言える。

FCAのディレクターであるNick Cook氏は、この問題に関して次のようにコメントしている。

特にステーブルコインはセキュリティトークンまたは電子マネートークン、規制対象外のトークンに分類される可能性があるが、当局の判断がその名称に左右されることはありません。個人や法人が多様な解釈ができるトークンを発行しても、当局は常にその本質的な特性を見極めるでしょう。

Nick Cook, Director of Innovation at FCA - Coindeskより引用

このガイダンスの発行とは別にFCAはオプション、先物、CFD、ETN(Exchange Traded Note)など、仮想通貨関連のデリバティブ商品の取引を禁止することを提案し、個人投資家の保護に動いている。これに関してHatfield氏は仮想通貨関連のデリバティブ商品が特別危険なわけではないと反論すると同時に、その他デリバティブ商品との対応の差を批判した。FCAはCFDレバレッジ制限を8月1日から適用開始することを決めており、最終的には全面的な禁止措置を取ると言われているが、英国市場はどのような反応を示すのか、今後も当局の動向に注目していきたい。

release date 2019.08.01

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨に関する個人の知識レベルに懸念

今回、ガイダンスを発行したことによってFCAは、ビットコインなど主要な仮想通貨が当局の規制対象外だということを明確にし、仮想通貨市場に歩み寄る姿勢を見せたが、依然として仮想通貨デリバティブの取り扱いには強硬な態度を崩していない。先日実施された調査では英国の消費者の内73%が仮想通貨の定義すら理解しておらず、ほとんど予備知識なく仮想通貨を購入している事実が明らかになり、規制環境が整っていない仮想通貨市場で個人が重大なリスクを抱えていることが露呈した。実際に英国では仮想通貨を謳う詐欺が横行しており、FCAもビットコイン関連のなりすましメールへの注意喚起を促している状況だ。このような背景から、FCAが規制強化に走ることは理解できるが、仮想通貨デリバティブの全面的な禁止は行き過ぎた政策だともいえるだろう。仮想通貨コミュニティはこれに反発しており、一部では個人の投資機会を奪うべきではないとの議論もあるが、FCAは妥協点を見つけることができるのか、今後の対応に期待したい。


Date

作成日

2019.08.01

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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