作成日
:2019.11.14
2021.08.31 15:29
大手ソーシャルネットワーキングサービスであるFacebook, Inc.(本社:1 Hacker Way, Menlo Park, California 94025
)【以下、Facebookと称す】は、同社のプラットフォーム上で利用可能な決済サービスであるFacebook Payをローンチすることを発表した。今月12日の発表によると、Facebook PayはペイパルやVenmoと同様にオンライン決済を可能にするソリューションであり、モバイルデバイスを介して小売店での支払いや他ユーザーへの送金に利用できるという。現在、Facebook(フェイスブック)は独自仮想通貨であるリブラ(Libra)の立ち上げに取り組んでいるものの、同社はFacebook Payがそれとは関係なく、既存のサービスをアップグレードしてブランディングの変更を施したものだと説明している。Facebookのプラットフォーム上ではマーケットプレイスでの支払いや寄付、個人間送金向けに決済サービスが既に導入されているが、Facebook Payは最終的に同社が展開するMessenger(メッセンジャー)やInstagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)でも利用可能になるようだ。この新しい決済サービスは米国内のユーザーに限定してゲーム内の支払いやイベントチケットの購入、Messengerでの個人間送金、マーケットプレイスでの支払いに対応する。
決済ソリューションに関してGAFAの中ではFacebookにばかり注目が集まっているが、先日、Google(グーグル)はシティ銀行およびスタンフォード大学の信用組合と提携し、来年初めにCache(キャッシュ)と呼ばれる当座預金口座サービスをローンチすることを発表した。GoogleのエグゼクティブであるCaesar Sengupta氏によると、このサービスはオンライン決済の普及促進を目的としており、ユーザーはGoogle Payを経由して利便性の高い決済機能を利用することが可能になるという。Sengupta氏はパートナーの金融機関が実際の決済処理を担当すると言及し、Googleが金融分野に参入するわけではないことを強調すると同時に、取得した個人情報を広告事業で利用しないと約束している。
Facebookが仮想通貨分野での取り組みを本格化して以来、CEOのザッカーバーグ氏が公聴会でリブラに関して証言させられるなど、同社に対して逆風が吹く展開が続いている。先日、ペイパルがLibra Associationからの脱退を表明したのに加え、Visa(ビザ)やStripe、Mastercard(マスターカード)、eBay(イーベイ)、Mercado Pago、Booking.comなどの企業も次々とリブラのプロジェクトから離脱する意思を示しているが、Facebookはこの窮地をどう乗り切るのか、今後も同社の動向に注目していきたい。
release date 2019.11.14
米国を中心とするデジタル産業の発展と共に成長を遂げたGAFAは、凄まじい勢いでグローバル市場を掌握しつつあるが、各国政府はこれら企業に対する締め付けを強めることで統制を図る動きに出ているようだ。特に全世界に20億人以上のユーザーベースを誇るFacebookは、プライバシー侵害をめぐる問題を抱えていたこともあって槍玉に挙げられており、個人情報を適切に保護しなかったとして米連邦取引委員会(Federal Trade Commission)に50億ドルもの制裁金の支払いを命じられている。また、欧州ではEU圏内に住むユーザーの音声データが不当に外部業者に送信されていたことが発覚し、Facebookは当局による追加調査の対象になったという。これに加え、英国ではFCAがリブラの詳細情報を求めるなど、同社に対する警戒が高まっているだけに、同仮想通貨プロジェクトはますます厳しい状況に追い込まれていると言えるだろう。
作成日
:2019.11.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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