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Bakktがビットコイン先物の提供を開始

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update 2021.08.31 15:29
Bakktがビットコイン先物の提供を開始

update 2021.08.31 15:29

13カ月越しに現物決済の先物契約をローンチ

インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)【以下、ICEと称す】が手がける仮想通貨取引プラットフォームのBakktが、ビットコイン(Bitcoin)を対象とした現物決済の先物契約を今月23日にローンチしたことが明らかになった。[1]

これまで米商品先物取引委員会(Commodities and Futures Trading Commission)【以下、CFTCと称す】はBakktのビットコイン先物に関する申請への回答を2度延期してきたが、今回、13カ月越しに当局の承認が下りたことで同取引所はビットコイン先物の提供を開始した。Bakktのビットコイン先物は満期日に現物資産が引き当てられる決済方法を採用しており、2017年にCMEグループが提供を開始した現金決済の先物契約とは性質が異なるという。また、Bakktのビットコイン先物は最短1日単位の契約で満期日の2営業日後には現物資産が引き渡されるため、投資家の短期的な需要を満たす可能性がある。ユーザーはUTC(世界協定時刻)0時から22時までこの取引サービスにアクセス可能となっており、来年6月までは同取引所のデーターフィードが無料で利用できるようだ。

仮想通貨デリバティブの取引所であるLevelTradingFieldのLanre Sarumi氏は、このビットコイン先物に関して次のようにコメントしている。

1日単位の契約は現物市場のような役割を果たしますが、売りポジションを取ることも可能です。Bakktのビットコイン先物はうまく設計されており、現物市場の動向を見るのにも役立ちます。理論的に現物市場が先物市場の価格決定に影響するはずですが、実際には多くの場合その逆の現象が観測されているのです。Bakktのビットコイン先物もローンチ後に現物市場を主導する可能性があると言えるでしょう。

Lanre Sarumi, CEO of LevelTradingField - CoinDeskより引用

TradeBlockのリサーチ部門でディレクターを務めるJohn Todaro氏は、これに対して次のように反論した。

Bakktのビットコイン先物はCMEグループが提供する現金決済のものと同等の需要があると予測できるため、取引量も正常な範囲に留まると考えられます。しかしながら、仮想通貨市場が成熟するにつれ、これら商品の取引量は増加していくことでしょう。ただし、利用する機関投資家がこの商品を戦略的に使いこなせるようになるまでには時間が必要であり、仮想通貨市場の流動性や既存の金融市場との規制および税制の違いなどを理解しなければなりません。既存の金融機関は非常に保守的ですが、多くの企業が仮想通貨に注目し、この新しい資産クラスに関心を示しています。最近の仮想通貨市場におけるポジティブな動向は、Bakktがビットコイン先物をローンチしたことに起因する可能性があり、これが当局が仮想通貨を受け入れるきっかけとなるかもしれません。

John Todaro, Research Director at TradeBlock - CoinDeskより引用

Bakktがビットコイン先物をローンチしたことはビットコインETF(上場投資信託)など、米国で立ち上げが期待されている他のデリバティブ商品を後押しする形となったが、米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】のJay Clayton議長は仮想通貨市場の未熟さに懸念を抱いている。今年9月にICE傘下の企業がビットコイン先物を成立させるために管理会社を設立したものの、Bakktはその企業のウォレットアドレスを開示しておらず、どれほどのビットコインが保有されているかはわかっていない。先物市場は現物市場よりも管理が厳格だとされているが、機関投資家や個人トレーダーはBakktのビットコイン先物をどのように見ているのか、今後も仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。

release date 2019.09.23

出典元:

ニュースコメント

規制環境の整備に動き出した米政府

これまで米政府は仮想通貨に関する方針を明確にせず、SECやCFTCが仮想通貨を対象としたデリバティブ商品やファンドの立ち上げへの回答を延期する展開が続いていた。今年8月には必要なライセンスを保有していないことを理由に、CFTCがレッジャーXにビットコイン先物の提供を延期するよう命じる事態が発生した。その他にもErisXなどが個人投資家向けのビットコイン先物のローンチを計画しているが、依然として好ましくない状況が継続しているようだ。しかしながら、Facebookが主導するリブラ(Libra)をはじめとするステーブルコインの台頭で米政府は仮想通貨への対応を迫られており、それに合わせて関連機関が徐々に明確な判断を行うようになってきている。最近ではCFTCがイーサリアム先物の承認を検討するなど、米国における規制環境の整備が進みつつあるが、今後も同国の仮想通貨市場には注目していきたい。


Date

作成日

2019.09.23

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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