Select Language

米商品先物取引委員会がイーサリアム先物の承認を検討

米商品先物取引委員会がイーサリアム先物の承認を検討

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
米商品先物取引委員会がイーサリアム先物の承認を検討

update 2021.08.31 15:26

機関投資家の参入と当局による監視が強化する可能性

米商品先物取引委員会(Commodities and Futures Trading Commission)【以下、CFTCと称す】の関係者によると、当局が、イーサリアム(Ethereum)を対象とした先物取引の承認を前向きに検討していることが明らかになった。[1]

今回、CFTC関係者は、この情報がイーサリアム先物の承認を決定付けるものではないと言及しており、あくまでも当局が、公正な審査を行うということを強調している。しかしながら、同時にCFTC関係者は、企業からの申請が当局の要件を満たすものであれば、イーサリアム先物が承認される可能性も十分にあるとの見解も示した。事実、米国のデリバティブ市場を監視する役割を担うCFTCは、過去にビットコイン(Bitcoin)先物に関する申請を承認した経緯があり、2017年末から、大手先物市場を運営するCMEグループとCboe Global Exchange【以下、Cboeと称す】が、それぞれ現金決済の先物取引サービスを開始している。

昨年12月、CFTCはイーサリアム先物の審査のためにRequest for Input(情報提供依頼書)【以下、RFIと称す】を発行し、Chamber of Digital Commerceや、シンクタンクのCoin Center、スタートアップ企業のBlockchains LLCやCircle、取引所のコインベース、ビットコインの考案者を自称するCraig Wright氏など、合計35社から関連テクノロジーの質問に対する回答を得ている。このRFIの質問は、プルーフ・オブ・ステーク(イーサリアムが実装を進めている新しいコンセンサスアルゴリズム)やイーサリアムの監査方法、そのユースケースなど、多岐に亘るものだったようだ。

CFTCの市場監視部門でシニアエコノミストを務めるGeorge Pullen氏は、このRFIの意義に関して、以下のように述べている。

我々にとって、テクノロジーの多様性や市場、コミュニティの違いを理解することは、非常に重要です。もし我々が、組織内部や企業、中央政府の声だけに耳を傾けるのであれば、この判断における全体像を見誤る可能性があります。

George Pullen, Seiner Economist of CFTC - CoinDeskより引用

また、別角度からの意見として、仮想通貨取引所ErisXのCEOであるThomas Chippas氏は、このイーサリアム先物が、CFTCのスポット市場に対する監視が強化されるきっかけになり得るとRFIで言及している。仮想通貨が証券または商品のどちらに該当するかに関しては、議論の余地が十分にあるものの、少なくともCFTCは、先物の原資産となるスポット市場における詐欺や価格操作に対し、事後での権限行使を行えるようだ。

先物およびデリバティブ関連法の専門家であるAnne Termine氏は、CFTCの権限について次のようにコメントしている。

CFTCによるスポット市場の監視は、制限されていますが、詐欺や価格操作などの行為に関しては、その権限が行使されることになるでしょう。更にCFTCの権限が、詐欺や価格操作を超えた範囲で利用される可能性もあり、より広いコミュニティにCFTCの監視が及ぶかもしれませんが、同時に仮想通貨の正当化が進む潜在性も秘めています。

Anne Termine, Leader of The Futures and Derivatives Practice Group at Covington & Burling LLP - CoinDeskより引用

一時は、ビットコイン先物の提供を見送っていたCboeとCMEグループが、ビットコイン先物をローンチした際には、市場は非常にポジティブな反応を見せており、その勢いはCboeの契約業者のウェブサイトがアクセス過多によってクラッシュしたほどであった。一部、懐疑的な見方もあるものの、ビットコイン先物のローンチは、同仮想通貨価格が過去最高値となる2万ドル突破に貢献したとされるため、今回のイーサリアム先物に関するCFTCの動向にも期待して見守っていきたい。

release date 2019.05.07

出典元:

ニュースコメント

未知のテクノロジーが最大のリスク要因

金融工学によって生まれたデリバティブ商品の先物契約は、機関投資家および個人投資家にリスクヘッジや効率的な短期投資の手段として広く利用されているが、その複雑な構造が、市場全体のリスクを高めているとの見方もある。特にETFやインデックス、その他のファンド型商品に連動した先物契約は、リスク要因の明確化が難しく、その典型だと言えるだろう。他方で、ビットコイン先物やイーサリアム先物は、単一の原資産を対象としたシンプルな構造になっているが、ブロックチェーンや分散型ネットワークといった未知のテクノロジーを基礎とすることが最大のリスクと見られているのが現状だ。そのため、CFTCは、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムなどを検証し、安全性の確保を試みているものの、運用実績が少ない仮想通貨のシステムが信頼に値するかの判断は極めて難しいと言えよう。実際、過去には、スマートコントラクトのプログラムに脆弱性が見つかるなど、安全性の根幹を揺るがす事態も発生しているだけに、当局には、慎重な判断が求められる。


Date

作成日

2019.05.07

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨SOLVの将来性は?ビットコインのステーキングプロトコルSolv Protocolを解説

仮想通貨(暗号資産)SOLVは、ビットコイン(BTC)のステーキングプロトコル「Solv Protocol」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨SOLVの特徴やSNSでの評判、将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2025.01.10 19:30

【無料ツールも】MT4/MT5で複数チャートを同期スクロールし、分析を劇的に変える方法!

MT4/MT5ではインディケータを使うことで複数チャートを同期してスクロールできます。この記事ではMT4/MT5の複数チャートを同期してスクロールできるインディケータについて、実際に使ってみた感想も交えながら紹介していきます。
update2024.11.07 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

MT4/MT5でも日本時間を簡単に表示できる!日本との時差については図解で理解しておこう

MT4/MT5では通常、表示される時間が日本時間から6時間ほどずれています。頭の中で「表示される時間 + 6時間」などと計算すれば、日本時間に変換可能です。しかし慣れないうちは少し不便なので、日本時間を表示させる外部ツールも活用されています。
update2024.11.27 19:30

bitbankからBybitに送金してみた!トラベルルールの対応状況も解説

Myforex編集部では、bitbank(ビットバンク)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.11.28 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00

初心者でも安心!MT4ストラテジーテスターの使い方完全ガイド ~EA活用とバックテストで一歩先のトレードへ~

MT4でEAを使って自動売買をするならストラテジーテスターにより利益が出るかテストが必要です。本記事では、ストラテジーテスターの実践的な使い方や疑問を感じやすいポイントを解説します。
update2025.01.10 19:00

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

このローソク足あと何秒!?残り時間を表示するMT4/MT5のインディケータを比較

MT4やMT5でトレードする際、インディケータを使えばローソク足が確定するまでの残り時間を表示できます。アラート機能付きや残り時間以外の情報も表示するインディケータもあります。本記事では、MT4・MT5にローソク足の残り時間を表示するインディケータを紹介します。
update2024.12.12 19:30

SONYのレイヤー2「Soneium」がIP侵害を理由にミームコインをブラックリスト化

ソニーグループによるイーサリアムレイヤー2のSoneium(ソニューム)が、メインネットローンチの同日に、IP侵害のあるミームコインをブラックリスト化し、SNSで話題となっています。本記事では、Soneiumの概要やブラックリスト化の内容、SNSでのユーザーの声などを解説します。
update2025.01.17 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル