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Binance Research、顧客向けのアンケート結果を公開

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update 2021.08.31 15:30
Binance Research、顧客向けのアンケート結果を公開

update 2021.08.31 15:30

機関投資家および大口投資家の傾向が明らかになる

大手仮想通貨取引所のBinance【以下、バイナンスと称す】における調査部門であるBinance Researchは、機関投資家および大口顧客向けにアンケートを実施し、その分析結果をまとめたレポートを公開した。[1]

バイナンスによると、同取引所の大口顧客の50%以上がポジションを少なくとも1週間以上保有しているが、機関投資家の3分の1は高頻度取引やマーケットメイキング戦略(買い気配と売り気配の内側を売買する戦略)を採用していることが明らかになった。また、高頻度取引を行うクライアントは大規模なポートフォリオの管理者と同様に、複数のプラットフォームを利用し、反対に資金量が少ないクライアントは単一のプラットフォームを利用する傾向があることがわかっている。これらクライアントの90%は取引通貨に米ドルを選択しているため、米ドルまたはそれと連動するステーブルコインを取り扱う取引所に対して有利に働いているという。バイナンスの調査対象となった機関投資家については、ほぼ全員がステーブルコインを利用していると回答し、その大半がテザー(Tether)に集中しているが、パクソス(Paxos)やUSDコイン(USD Coin)など、新興のステーブルコインにもある程度の需要があるようだ。尚、その内20%は仮想通貨を後ろ盾とするステーブルコインのダイ(Dai)によるものだと伝えられている。

バイナンスの調査では、93%のクライアントが仮想通貨取引を始める前に金融市場での経験があったと回答し、87%がHuobi(フォビ)OTCやGalaxy Digital、Binance Trading DeskなどのOTC(店頭取引)サービスも利用しているとの結果が出た。調査対象となったクライアントのほとんどは1年以上仮想通貨取引を継続しており、同時に機関投資家の約50%は株取引、約25%が為替取引を行っているという。その中には熟練者やリスクを求めるクライアントも多く、67.5%が先物や証拠金取引などのレバレッジを掛けたトレードを実行していることが明らかになった。

利用するウォレットに関しては、2,500万ドル以上の資産を保有するクライアントのほとんどがコールドウォレットまたは信頼できるサードパーティのソリューションを使用し、機関投資家の3分の2がバイナンスのTrust WalletやコインベースのCoinbase Walletなどのホットウォレットを使用していないという。高頻度取引や短期投資を行うクライアントは、不確実性を排除するために分散型取引所(Decentralized Exchange)を避ける傾向があり、例外的に取引所のホットウォレットに資金を保管して取引を行っているようだ。現在、分散型取引所は流動性の低さやインターフェースのデザイン性などの問題を理由に全般的に敬遠されがちだが、今後その評価が覆る可能性は十分にある。

調査の結果、仮想通貨の技術的な問題やセキュリティ侵害などのリスクがクライアントの脅威となっており、他にもテザーの個人情報漏洩や法的問題も懸念材料となっていることがわかった。反対に成長要因としては、ビットコイン(Bitcoin)ETFの承認やフィデリティ投信などの既存金融企業の仮想通貨市場への参入、オプション契約の開発などに加えて、Facebook(フェイスブック)やJPモルガンチェースのステーブルコインプロジェクト、BakktやLedgerXなどの現物決済の先物プラットフォームなどの存在が具体例として挙げられている。また、ブロックチェーンインフラの開発は過小評価されがちだが、バイナンスのクライアントはICONやNebulas、Zilliqaといったブロックチェーンプロジェクト、サムスンのスマホウォレット、ビットコイン、モネロ(Monero)、リップル(Ripple)など、主要な仮想通貨による決済システムの導入拡大についても期待をかけているようだ。

今回の調査はサンプル数が少なかったことから、バイナンスはこれらの結果が必ずしも仮想通貨市場全体の傾向を表すわけではないと留意している。しかしながら、バイナンスの分析結果は様々な角度から現状を解き明かし、業界にとっても新しい発見をもたらしたと言えるだろう。

release date 2019.07.22

出典元:

ニュースコメント

他取引所でもステーブルコインの利用拡大が顕著化

バイナンスの調査結果の中で、ステーブルコインが同社の機関投資家や大口投資家に幅広く利用されていることが明らかになったが、この傾向は決して局地的なものではないことが予想される。テザー、パクソス、トゥルーUSD(True USD)、USDコイン、ジェミニドル(Gemini Dollar)などに対応する大手取引所のHuobiでは、現在取引量の85%以上がステーブルコインを基軸とした取引となっており、ビットコインやイーサリアム(Ethereum)などの主要通貨はマイナーな取引通貨として取り扱われている状況だ。そればかりではなく、最近Huobiは、自社開発のステーブルコインであるHuobi USDをERC-20に移行することを発表し、利用拡大を促す動きを見せている。先日、FATFがFacebookのリブラが抱えるリスクを警告したものの、ステーブルコインは利用拡大の一途を辿っており、社会にも少なからず影響を与え始めているだけに、今後もこのトレンドを注視していきたい。


Date

作成日

2019.07.22

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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