作成日
:2019.07.15
2021.08.31 15:30
世界最大の仮想通貨取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】は、独自に発行する取引所トークンであるバイナンスコイン(Binance Coin)のバーン(焼却処理)を行ったことを発表した。
バイナンスによると、現在、2億通貨のバイナンスコインがICO(イニシャルコインオファリング)を通じて発行されており、同取引所はその40%にあたる8,000万通貨(約24億万ドル)を保有しているという。今回、バイナンスはその内の80万通貨(約2,380万ドル)をバーンしたことに加え、将来的に全体の供給量を半分の1億通貨まで制限することを発表した。なお、バイナンスコインは利益配当や投票の権利が付随し、さらにバイナンス独自のブロックチェーンプロトコルであるバイナンスチェーンが仮想通貨価格に影響することから株式のような性質を持つと言われているが、定期的なバーンの実施によって価値上昇に努めることを保有者に約束している点において、株式と異なっている。
バイナンスの方針に関してZhao氏は、同取引所のコミュニティ向けに行なったAMA(Ask Me Anything)のビデオセッションで以下のように発言した。
我社は保有するバイナンスコインを現金化せず、全てバーンする予定です。これがバイナンスのミッションであり、より多くの利益をコミュニティに還元することが、信頼につながると思っています。現段階ではバイナンスの収益性を求めるだけでなく、バイナンスコインの有用性を高め、多くの人々に利用してもらうことが最適だと言えるでしょう。
Changpeng Zhao, CEO of Binance - Binanceより引用
多くの仮想通貨プロジェクトと同様に、取引所が発行するトークンはその大部分が運営企業によって保有されており、バイナンスのようにバーンを実施することはコミュニティに対する公平性を保つ上で重要な要素になると言えよう。例えば、仮想通貨プロジェクトのリップル(Ripple)では、開発元のリップル社が19億ドル相当の55億XRP(リップルの通貨単位)を保有しており、2018年にその一部が市場で売却されたことで5億3,500万ドルの時価総額減少につながった。Zhao氏は取引所トークンを保有しなくとも、ユーザーへ対するインセンティブが最終的に取引所の利益につながると主張し、バイナンスコインの価値向上にコミットする姿勢を見せている。これにコミュニティもポジティブな反応を示しており、バーン完了の発表後、バイナンスコイン価格は29.02ドルから32.45ドルまで、11.8%上昇した。
バイナンスコインのバーンと同時に、バイナンスは同トークンを利用した取引手数料の25%割引を継続することを発表している。さらに今月11日には仮想通貨の証拠金取引プラットフォームを立ち上げ、既に1万人の登録者を獲得し、1,500万ドル相当の借入資金が利用されているという。加えて、Zhao氏は将来的にビットコイン(Bitcoin)とUSDの通貨ペアを対象とした先物取引サービスの開始について言及しており、バイナンスに対するコミュニティの期待は益々高まっているようだ。
release date 2019.07.15
バイナンスのバイナンスコインに続き、競合の大手取引所は独自トークンを発行し、ユーザーにインセンティブを付与することで取引量の拡大や資金調達、コミュニティの活性化に役立てているようだ。特にバイナンスと同じく中国系資本を後ろ盾に持つHuobi(フォビ)のフォビトークン(Huobi Token)やOKExのOKBトークン(OKB Token)は時価総額で30位圏内に位置しており、バイナンスコインと並ぶ主要な取引所トークンである。これらの中国系三大取引所は中国国外に拠点を構えているが、今年4月に多数のブロックチェーン関連企業が中国政府機関から承認を得たことが追い風となり、今後当局からの承認を得て中国本土でサービスを開始することが期待されている。また、これらの取引所トークンは2018年以降、仮想通貨市場の復調もあって軒並み値を上げている状況だ。今年1月にデューカスコピーがビットスタンプとの提携に先駆けて独自トークンであるDukascoinを公表するなど、今後は多くの取引所で、大手取引所と同様に独自トークンの乱立と競争激化が予想されるが、バイナンスをはじめとした大手取引所の優勢を覆する力となるのか、仮想通貨市場の動向に注目していきたい。
作成日
:2019.07.15
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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