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シンガポール、IRASが仮想通貨にかかる消費税免除を提案

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update 2021.08.31 15:26
シンガポール、IRASが仮想通貨にかかる消費税免除を提案

update 2021.08.31 15:26

ステーブルコインを除くペイメントトークンが対象となる

今月5日、シンガポール内国歳入庁(Inland Revenue Authority of Singapore)【以下、IRASと称す】は、「GST:Digital Payment Tokens」というタイトルの報告書を公開し、仮想通貨取引にかかる物品サービス税(Goods and Services Tax, GST)の免除を議会に提案することを明らかにした。[1]

この報告書の中でIRASは、仮想通貨を支払いに使用する行為がトークンの供給には該当しないため、物品サービス税を計上する必要はないとの見解を示している。加えて、IRASは法定通貨や仮想通貨と引き換えにペイメントトークンを売買することも物品サービス税の対象外とし、これらを課税所得に含まない方向で提案する意向だ。本法案が議会で可決された場合、2020年1月1日からの施行となる見通しだが、現段階では7月26日までにパブリックコンサルテーションが予定されている。

また、この報告書では仮想通貨の分類についても触れており、ペイメントトークンに関して、代替可能で法定通貨に紐付いておらず、公に受け入れられている交換媒体であると定義されている。例としてビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、ライトコイン(Litecoin)、ダッシュ(Dash)、モネロ(Monero)、リップル(Ripple)、ジーキャッシュ(Zcash)が挙げられているが、法定通貨に価値を裏付けられているFacebookのリブラ(Libra)やテザー(Tether)などのステーブルコインに関しては対象の範囲外だという。

仮想通貨に関する税制の課題は世界中で注目されており、米国のロビイストたちも適切な法律を定めるよう政治家たちの活動を支援している。シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore)は、仮想通貨が抱える潜在的なリスクに対し、慎重に対処するべきだとの考えを表明しているが、議会はどのような判断を下すのか、今後の展開を見守っていきたい。

release date 2019.07.09

出典元:

ニュースコメント

法改正で税制の整備が進む日本市場

仮想通貨に関する税制の整備は世界各国の重大な課題となっているが、日本では資金決済法改正の可決に伴い、仮想通貨市場を既存の経済システムに取り込むための包括的で明確な税務基準が確立されている。これまで仮想通貨は「モノ」として扱われてきたが、改正法が施行された2017年以降、当局が仮想通貨を「価値の記録」と解釈したことから、取引所などでの購入にかかる消費税が撤廃となった。また、仮想通貨マイニングの報酬に関しても、その行為が不特定多数のユーザーまたは全体システムの維持を目的とするため、国税庁は消費税計算に含める必要はないとの見解を発表した。これに加えて国税庁は、2017年12月に仮想通貨取引による利益が雑所得に分類されることを明示し、トレーダーの申告義務をより具体的な形へと落とし込み、仮想通貨取引による所得税の計算ツールを公開している。更に今年6月には国税庁は情報公開制度を強化するなど個人の申告状況の実態把握に務める積極的な方針を打ち出している状況だ。国税庁は拡大する仮想通貨取引に懸念を抱いているようだが、他国と比較しても迅速かつ適切な対応を行っていると言えるだろう。


Date

作成日

2019.07.09

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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