作成日
:2018.11.22
2021.08.31 15:27
先日、国税庁(National Tax Agency Japan)が、納税者の適切な義務の履行を促すために、「仮想通貨の税務上に関するFAQ」と仮想通貨取引による所得の税額を自動計算するツールを公開することを発表した。
これまで、ビットコイン(Bitcoin)を含む仮想通貨の納税は、複数の取引所で取引を行なった場合や、海外の取引所を利用した際などの計算が複雑だという問題が存在していた。これに関して国税庁は、「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を4月以降6回にわたって開催し、納税者の悩みを解決するための策を検討した中で、今回のFAQとツールの公開を決定している。FAQに関しては、国税庁に問い合わせがあった事項をまとめて参考情報として提供するという。
前年まで、必要な取引情報は、各自収集、計算しなければいけないケースもあったが、2018年度分の確定申告から、国内すべての仮想通貨交換事業が、統一された年間取引報告書のフォーマットを交付するという。自動計算ツールを利用すると、その年間取引報告書に記載された情報をもとに入力するだけで、税額を算出することが可能となり、納税者にとっては大幅な時間短縮となることが見込まれる。年間取引報告書では、仮想通貨同士を交換した場合や仮想通貨で商品を購入した場合などの情報も区分けされており、これらの特殊なケースでも、ツールへの直接入力で計算が済むとのことだ。
今まで仮想通貨の納税額を自動計算するサービスが多くの民間企業からリリースされていたが、今後は国税庁の統一フォーマットを利用できるため、より正確な納税額の計算が可能となることが予測される。
release date 2018.11.22
日本国内では、仮想通貨取引は課税対象となり、取引によって得た利益は雑所得に区分されることが国税庁によって昨年正式に発表された。総合課税が適応される雑所得は、給与所得など他の所得と合算した額の大きさで税率が決定され、最高税率は所得が4,000万円以上のクラスで45%に設定されている。一律20%に設定されている株やFXのキャピタル・ゲイン税と比べるともの凄い重税となり得ることがよくわかる。2017年ごろから、日本でも億り人と呼ばれる仮想通貨で億単位の利益を上げた投資家が誕生し、今年の確定申告シーズンには納税のための資金を捻出できない事が問題となっている。この税率の高さは、国内の投資家を苦しめ、早々に仮想通貨離れが進む要因として懸念されているが、日本政府が一度決定した方針を曲げることは期待薄だ。一方で、他国では仮想通貨を促進することを念頭に制作を進めているところもあり、フランスでは仮想通貨税率の引き下げが補正予算案の中で提案され、キャピタルゲイン税を30%に低減することを検討しており、日本の仮想通貨業界や投資家から見れば羨ましい限りだろう。
作成日
:2018.11.22
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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