Select Language

金市場、次のカタリストはパウエルFRB議長の議会証言

金市場、次のカタリストはパウエルFRB議長の議会証言

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
金市場、次のカタリストはパウエルFRB議長の議会証言

update 2021.08.31 15:26

ハト派姿勢を示すかが最大の注目点

7月5日に発表された米雇用統計が市場予想を上回る強い数字であったことを受け、金先物8月限は売りに押され、9日現在1オンス=1,400ドルを僅かに下回る水準で推移している。[1]10日と11日の両日には、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が半年に一度行う議会証言を控えており、金市場の次のカタリストを探るべくトレーダーの注目が集まっている状況だ。

強い米雇用統計をきっかけに、7月30日、31日に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)[2]で50ベーシスポイント(bp)利下げするとの予想は急速にしぼみ、25bpの利下げに留まるとの見通しが市場の大勢を占めている。足元ではFRBの利下げ幅が最大の焦点となる中、金市場のトレーダーの先行き見通しも分かれており、London Capital Groupのシニア・マーケットアナリストであるIpek Ozkardeskaya氏は、仮にFRBがハト派姿勢を示さなければ、金市場は大きな調整を余儀なくされる可能性があると指摘し、5月から7月にかけて形成した上昇トレンドのサポート水準として、フィボナッチ・トレースメント(テクニカル指標の1つ)の38.2%戻しである1オンス=1,375ドルを挙げている。また良好な米雇用統計を受け、FRBが利下げを行わない懸念も浮上しており、これまでの金価格の上昇トレンドが崩れると予想するトレーダーも出てきている状況だ。

一方で、RBCウェルスマネジメントのマネージングディレクターを務めるGeorge Gero氏は、世界的な景気後退懸念や混沌とする英国のブレグジットに揺れるEU圏内外の動向、米国の圧力によるイランのSWIFT利用停止措置を始めとした両国の対立鮮明化による中東の地政学リスクなど、株式市場が大きく崩れると予想される中で、安全資産である金が買われる条件は十分揃っているとコメントしている。

金価格はFRBによる利下げや金保有コストの低下期待を背景に上昇基調を辿ってきており、年初来で9%超値上がりし、6月には6年ぶりの高値をつけていた。FOMCを前に行われる10日、11日の議会証言にてパウエルFRB議長がハト派姿勢を示すか否かが、金市場の今後のトレンドを占うイベントとして注目を集めているといえよう。

release date 2019.07.09

出典元:

ニュースコメント

安全資産としての金の行方

近年、金価格の上昇が続いており、安全資産の代表格とも呼ばれる金に対する市場の注目が高まっている。本来安全資産である金は、株価の上昇局面では売られ、株が下落する際に買われることが通例となっているが、最近の金価格上昇の注目すべき点として株も金も上昇傾向にある点が挙げられる。現在の市場では、アベノミクスに代表される各国の大規模な金融緩和からカネ余りが継続しており、2018年では数多くの国で株価が史上最高値を更新している。株以外にも原油や金属をはじめ、コモディティ価格全般が上昇し、さらにブレクジットに代表される地政学的リスクが高まっていることから、投資家の間で漠然とした不安が市場に溢れ、安全資産としての金の需要を下支えしていると考えられている。一方で、昨年末に米国株式市場が大幅に下落した際、ビットコイン価格が上昇した事に代表されるように、従来金が担ってきた投資対象としての地位を仮想通貨に奪われつつある状況となっている。金相場の変動要因が益々複雑化する中で、FRBの金利政策発表後市場がどのような動きを見せるのか注視していきたい。


Date

作成日

2019.07.09

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル