作成日
:2019.06.06
2021.08.31 15:26
今月5日、国税庁は、拡大する仮想通貨取引やインターネットビジネスへの対応を強化するために、情報紹介手続きの整備や実勢調査の拡充、適正申告のための環境づくりの3つを柱とした改革を行う方針であることを発表した。
近年、動画配信やシェアリングサービスなどを利用し、個人で収益を上げることが比較的容易になってきているが、これまで国税庁では、その実態を正確に把握できずにいたことが課題とされてきた。特に仮想通貨取引においては、取引の追跡が難しい匿名通貨なども存在することから、無申告や過少申告による脱税を防止するために効果的な施策が必要だったという。
これまでも国税庁は情報紹介の申し出を行えば、対象となる事業者に情報の開示を求めることが可能であったが、事業者側の対応は任意となっていたため、個人情報保護の観点から協力を拒まれるケースも少なからずあった模様だ。今年3月に参議院で新しく可決された改正国税通則法には、政府当局が事業者の協力を求める権利があるとの記載があり、この情報紹介の制度に対する法的根拠がより明確なものとなった。この法律に基づいて、来年1月から国税庁は、正当な理由なく協力を拒んだ事業者に対し1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処す構えだ。
また、国税庁は、今年7月から電子商取引の情報収拾や調査を担当する職員の増員を予定しており、全国の国税局や事務所に専門のプロジェクトチームを組織する見通しだ。仮想通貨やインターネットビジネスに関する税務は、個人および企業レベルで更なる拡大を見せることが予想されるが、国税局はうまく時代の流れに適応できるのか、今後も当局の働きに期待しながらその動向を見守っていきたい。
release date 2019.06.06
2017年以来、仮想通貨取引が一種のブームとなっている日本市場では、ここ数年間で少なくとも50件の申告漏れが発生しており、約100億円規模の税金が未納となっていることが明らかとなった。特に個人の仮想通貨取引による利益には、最大55%も課税されるため、意図的に申告を避ける投資家も少なからず存在することが予想できる。このような仮想通貨にまつわる税金の問題は、日本以外でも発生しており、ロシアやポーランド、ベラルーシ、ジョージアなどの東欧諸国では、どのように個人や企業に納税を徹底させるかの議論が進んでいるという。ロシアでは、仮想通貨法案の成立が待ち望まれているが、厳罰化よりも経済活動の自由を尊重するような規制が必要だとの意見もあるようだ。一方イスラエルでは仮想通貨が課税対象となる判決が先日下され、ビットコイン(Bitcoin)は資産に分類されたことにより、非課税である外国為替とは対照的に、仮想通貨で得た収益はキャピタル・ゲイン税にあたるとされている。日本の国税庁においては、仮想通貨市場への締め付けを強めることで対応を促す様子だが、果たして期待する成果は得られるのか、今後も日本市場の状況には注目していきたい。
作成日
:2019.06.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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