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欧州連合、マルタ政府に資金洗浄対策の強化を要求

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update 2021.08.31 15:26
欧州連合、マルタ政府に資金洗浄対策の強化を要求

update 2021.08.31 15:26

MFSAがコンプライアンスソリューションの導入を検討

欧州連合(European Union)【以下、EUと称す】が、地中海の島国であるマルタの中央政府に対し、マネーロンダリング対策(AML)水準の引き上げを求めていることが明らかになった。[1]

欧州委員会によると、近年、金融やカジノ業と並び、マルタ政府は仮想通貨取引へ前向きな方針を発表していることから、適切なマネーロンダリング対策が必要になってきているという。これに対してマルタ政府は、政府機関のFinancial Intelligence Analysis Unit(FIAU)に更なる人員と予算を割り当てており、欧州委員会に協力的な姿勢を示している。しかしながら、欧州委員会は、政府機関内部で利益相反リスクが存在し、汚職がビジネス環境や投資家に悪影響を及ぼす可能性があることを指摘した。

マルタ政府は、ブロックチェーンおよび仮想通貨業界に友好的な法案を積極的に可決しており、過去には世界最大の仮想通貨取引所のひとつであるOKExがマルタを新拠点に決定するほか、バイナンスなどの大手取引所の誘致に次々と成功している。欧州委員会は、規制の為のフレームワークとその執行の組み合わせが重要だと述べているが、マルタでは経済犯罪を取り締まる警察のEconomic Crimes Unitが十分に機能しておらず、法規制の執行に課題を抱えている現状がうかがえる。

先月、マルタ金融サービス局(Malta Financial Services Authority)【以下、MFSAと称す】は、疑わしい仮想通貨取引を効率的に発見するために、セキュリティ企業のCipherTraceが提供するコンプライアンスソリューションの導入を検討していることを発表した。CipherTraceによると、このソリューションはブロックチェーン分析とフォレンジクス(コンピュータセキュリティにおける原因究明技術)を使用し、犯罪利用の可能性があるウォレットアドレスを特定することができるという。CipherTraceは、仮想通貨取引所やATM、コインミキサー(送金履歴を隠匿するサービス)、マネーロンダリングシステムのプロファイリングを行い、トランスアクションのリスクレベルの判定や評価のスコア化を実現した。

MFSAは、このソリューションがブロックチェーンのアドレスを非匿名化することができるため、仮想通貨関連事業を評価および監視することが可能だと述べている。CipherTraceが楽天ウォレットと提携した際、CipherTraceの提供するソリューションは楽天ウォレットのリスク管理にとって重要であると評されているが、マルタ政府や欧州連合が求める解決策ともなり得るのか、同国の対応には今後も注目していきたい。

release date 2019.06.06

出典元:

ニュースコメント

税制優遇政策が飛躍的な成長をもたらす

人口40万人程度の小国であるマルタは、テクノロジーの発展と共に飛躍的な経済成長を遂げており、近年では欧州連合の加盟国の中でもトップクラスの伸びを見せている。実際に2016年のGDPは110億ドルを記録し、欧州圏内ではアイスランド、アイルランドに続く5.04%の成長率を示した。その背景には、個人への徹底した税制優遇政策があり、キャピタル・ゲイン税や相続税、固定資産税、贈与税などを免除することでマルタ領内への資金流入を促しているという。それと同時にマルタ政府は、法人税を実質5%程度に抑えることで数多くの企業の誘致に成功し、インターネットベースの事業を展開するIT企業や金融機関などを中心に受け入れをしている。現在は、仮想通貨金融資産法(VFA)を整備するなど、ブロックチェーンおよび仮想通貨関連企業の更なる受け入れに備えており、今後も仮想通貨市場は拡大することが予想されるだけに、同分野でのマルタの更なる躍進に期待したい。


Date

作成日

2019.06.06

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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