作成日
:2019.05.30
2021.08.31 15:26
楽天株式会社(本社:東京都世田谷区玉川一丁目14番1号
)の仮想通貨関連企業である楽天ウォレット株式会社【以下、楽天ウォレットと称す】は、マネーロンダリング対策(AML)を強化することを目的に、ブロックチェーン分析およびセキュリティ企業のCipherTraceと提携したことを発表した。CipherTraceは、仮想通貨のトランザクション分析を実施するフォレンジクス(コンピュータセキュリティにおける原因究明)ツールやサービスを提供し、ハッキングやマネーロンダリングなどに利用された資金の特定または回収を可能にするという。このパートナーシップ締結によって、楽天ウォレットは、ブロックチェーン上での資金移動の追跡やウォレットアドレスと個人情報の紐付けなど、マネーロンダリング対策の機能を実装することになる。近年、各国政府は、仮想通貨取引所に対し、KYC(顧客確認)の徹底や調査の協力を求めるようになっており、このような背景から今回、楽天ウォレットもCipherTraceのソリューションの導入に至ったようだ。楽天ウォレットのリスク管理部門責任者は、法令遵守とマネーロンダリング防止が重要だと発言した上で、CipherTraceのソリューションが同社にとって必要な存在であると評価している。
一方、CipherTraceのCEOであるDave Jevans氏は、楽天ウォレットとのパートナーシップについて以下のようにコメントしている。
楽天ウォレットは、顧客を守るためにCipherTraceと協力し、最適なセキュリティを構築するでしょう。適切なコンプライアンス、透明性や信頼性の高まりが、仮想通貨市場の拡大に貢献することを願っています。それに向けて楽天ウォレットと協業できることを嬉しく思います。
Dave Jevans, CEO of CipherTrace - Apnewsより引用
もともと楽天ウォレットはみんなのビットコインから子会社化し、同グループの仮想通貨関連事業の中核企業としてリブランディングしたことからスタートした。今年の4月中旬に一部ユーザーを対象に楽天ウォレットは申込受付を開始しており、6月中のサービス開始が予想されている。しかしながら、正確な日時は明かされておらず、一般ユーザーが利用できるのかも含め、当月にならないとわからない状況だ。既に金融庁への登録は済んでおり、楽天ウォレットは、モバイルアプリケーションを統合した仮想通貨取引サービスを展開する計画だが、そのXデーはいつになるのか、今後の発表にも注目していきたい。
release date 2019.05.30
世界の仮想通貨市場では、企業のコンプライアンスやセキュリティ意識の向上が最重要課題のひとつとして挙げられているが、日本でも金融庁や大手企業を中心にその共通認識が確立されつつあるようだ。特にコインチェックやZaif(ザイフ)の大規模なハッキング事件が発生した2018年以降は、仮想通貨取引に対する規制が強化されると同時に、法令遵守意識が強い大手企業の参入が進んだことで、その流れが加速しているように感じられる。先日、サービスを開始したヤフージャパンが出資するTaotaoも、セキュリティ対策には万全を期しており、ソフトバンクグループが提供する最新鋭のセキュリティサービスを導入したという。このセキュリティサービスでは、サイバー攻撃の盾となるファイヤーウォールに加え、24時間の攻撃予兆と監視による犯罪の抑止と早期対処が可能になるようだ。現在、日本の仮想通貨市場は変革点にあると言えるが、政府や企業はどのような取り組みを行うのか、今後の展開にも引き続き注視していきたい。
作成日
:2019.05.30
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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