作成日
:2019.04.17
2021.08.31 15:26
楽天株式会社(本社:東京都世田谷区玉川一丁目14番1号
)【以下、楽天と称す】の完全子会社である楽天ウォレット株式会社【以下、楽天ウォレットと称す】は、同社の新しい仮想通貨ウォレットサービスにおける新規口座開設の申請受付を今月15日から開始したことを伝えた。発表によると、楽天ウォレットは、今年3月25日に仮想通貨交換業者の登録を完了しており、現時点では、楽天会員IDまたは楽天銀行口座を保有するユーザーを対象に申請を受け付けるという。また、楽天ウォレットは、スマートフォン向けのアプリケーションをリリースすることについても言及し、将来的には、入出金や仮想通貨取引などの操作が、モバイル端末から利用できるようになると説明した。以前から、楽天ウォレットは、カスタマーサポートの利便性向上を目的に、AI技術を搭載した自動応答のチャットサービスを導入すると公表しており、今回公開となったWebページでは、その詳細についても触れられている。
金融庁(Japan Financial Services Association, JFSA)が法整備を進めていることもあり、日本の仮想通貨市場は、世界でも有数の先進的な市場となったが、大量のネム(NEM)が不正流出した大手取引所コインチェックのハッキング被害が発生して以来、当局は、市場での取り締まりを強化している。楽天ウォレットの前身であるみんなのビットコインも、金融庁から管理体制の不十分さを指摘されていたが、2018年、楽天グループによる買収がきっかけとなって、最終的には、正式な事業者としての営業が認められている。
最近金融庁が登録した事業者は、楽天ウォレットだけではなく、先月には仮想通貨取引所のディーカレットがライセンスの発給を受けており、同社は今月15日から、ビットコイン(Bitcoin)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、リップル(Ripple)、ライトコイン(Litecoin)の取引サービスを開始している。更に、Yahoo Japanが支援する取引所も、来月からのサービス開始を目論み、先月当局の承認を得ているようだ。その他の動きとしては、楽天グループと並ぶ、大手インターネット企業のSBIホールディングスが、FXCoinへの資金提供を行なった事実が報道されており、仮想通貨市場への本格的な参入準備に入ったことが伺える。
release date 2019.04.17
2017年以降の仮想通貨バブルの勢いに乗り、日本の仮想通貨市場は、目覚ましいほどの成長を遂げたが、金融庁が仮想通貨交換業者向けのライセンス制度を導入して以来、ブロックチェーンや仮想通貨関連プロジェクトによる資金調達が難しくなったと言われている。ICO(イニシャルコインオファリング)の実施を望む事業者は、当局への登録が必須となり、現在、それをクリアしている企業数は20社以下しか存在していない。新しく金融庁への申請を提出することも可能だが、これまで当局は、判断に極めて慎重な対応を見せており、早期にライセンス発給を受けることは、あまり現実的ではないようだ。このような背景から、日本の仮想通貨市場では、ベンチャー企業などによる新規プロジェクトの立ち上げが停滞し、米国や中国に遅れをとる要因になっているという。一方、潤沢な資金を有するインターネットや金融分野の大企業は、その穴を埋めるように、自己資金によるテクノロジー開発を進めているが、今後国内の仮想通貨市場では、どのような動きが見られるのだろうか。
作成日
:2019.04.17
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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