作成日
:2019.01.18
2022.07.08 16:00
グローバル展開を図る海外FX・CFDブローカーであるAlpari(本社:11th Floor, Maeva Tower, Silicon Avenue, Cybercity, Ebene, Quatre Bornes, 72201, Mauritius
)は1月18日、テクニカル的な問題として、2019年3月までVISA付きクレジットカード/デビットカードでのユーロとドルの出金を一時停止する旨を、Alpariサイト内にて発表した。2018年11月30日以前に利用されたVISA付きクレジットカード/デビットカード取引に関しては、現在も出金可能であるが、それ以降のものについては、この度のAlpariの決定の影響を受ける模様だ。Alpariは、VISA付きクレジットカード/デビットカードを利用した出金サービスのテクニカル問題が解消され、通常サービスを再開次第、改めて通知を行うとしている。なお、マスターカード付きクレジットカード/デビットカードは、従来通り出金が可能となっている。
Alpariでは、VISA以外にもマスターカードを始めその他の決済手段を複数提供していることから、一時的にVISAを利用した出金が出来なくなったとしても、Alpariにとって大きな影響を与えることはないものと考えられるが、昨今、リテールFX業界では、多くのブローカーが、ブローカレッジサービスを営んでいくうえで必要となる、充実した決済サービスの提供が難しくなっているのが現状だ。これは、EU(欧州連合)の新たな規制枠組みのもと、マスターカードが無認可ブローカーなどへのサービスを停止したことを筆頭に、VISAも無認可ブローカーの取締り強化を発表し、その他にも、オンライン決済サービス会社であるSkrillも未認可ブローカーの取締りを強化し始めたことが影響していると言えよう。
なお、イスラエル・テルアビブを拠点にブローカー向けの金融サービスプロバイダーであるLeverateのCEOを務めるYasha Polyakov氏は、ブローカーにとって当局が打ち出す規制策に適宜対応していくことは非常に困難な課題ではあるが、現実問題として決済サービスを提供できなくなることは、ブローカレッジ業務を営んでいくうえで死活問題となっている、とコメントを残している。
Alpariはこの度のVISAを利用した出金停止の要因をテクニカル問題としているが、当局と民間企業が協働する形で規制強化が進められる現状においては、コンプライアンスを遵守したうえで、使い勝手が良く充実した決済サービス手段を提供することは、1つの差別化要因となりそうだ。
release date 2019.01.18
VISAは世界のクレジットカードシェア率第一位を誇る企業であり、シェア第二位にはマスターカードが続く。VISAやマスターカードは、現在、ブローカーにて主に用いられる決済方法の一つであるが、規制強化が関連し、この大手クレジットカード会社2社が無認可やライセンス未取得のブローカーへのサービス提供を停止したことは、主にオフショアブローカーらの事業継続に大きな影響を与えていることは確かである。この度のAlpariでのVISA出金停止は、一時的なものであるとされているものの、やはり昨今の状況を踏まえると一抹の不安を感じずにはいられない。VISAを始めとした決済サービス会社による規制策の効果は、今後さらに明確になってくるだろう。Alpariは1998年に設立されて以降、グローバルベースでサービス展開を行っており、2017年には1.3兆米ドルの取引高を記録した大手海外FXブローカーであるが、昨年12月にロシアの中央銀行からライセンスを剝奪された結果、Alpariはロシア法人の全ての業務停止を余儀なくされている。ロシアでは最大手のFXブローカーとして知られていただけに、この決定は非常に残念ではあったが、今後の事業再構築に期待したい。
作成日
:2019.01.18
最終更新
:2022.07.08
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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