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シンガポール金融管理局の幹部がセキュリティトークンに対する見解を明かす

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update 2021.08.31 15:22
シンガポール金融管理局の幹部がセキュリティトークンに対する見解を明かす

update 2021.08.31 15:22

トークンを分類する枠組みで規制の要否を判断

事実上、中央銀行の役割を担うシンガポール金融管理局(The Monetary Authority of Singapore)【以下、MASと称す】は、CoinDeskが主催したコンセンサスシンガポール2018のイベント[1]で、現在までに確認されているデジタルトークンは、証券法の下で規制される必要性はないという考えを明かした。

フィンテックやイノベーションに関わるMASテクノロジーインフラストラクチャ部門の責任者であるDamien Pang氏は、今週水曜日に開催されたイベントで、MASが2017年に発行した「A Guide to Digital Token Offerings(デジタルトークンオファリングの手引き)」[2]という枠組みについて、すでに世界の規制当局では、何を以て証券とみなすかという独自の判断基準を定めているため、自身の見解と世界の見解が異なることを強調し述べており、そのため、米証券取引委員会(Securities and Exchange Commission, SEC)のような規制当局が提示していく枠組みは異なった結論に達する可能性があると予想している。

13ページに及ぶMASの文書では、トークンをユーティリティトークン、ペイメントトークン(決済型トークン)、セキュリティートークン(証券型トークン)の3つに分類することが提唱されているが、Pang氏は、これらの分類はトークンの今現在と今後の性質に応じて時間経過とともに変化する可能性があるとし、イベント参加者に以下のように語っている。

MASは、開発された技術そのものではなく、過去、現在、未来に渡るトークンの性質を注視しています。MASは、特定のサービスを利用するためのユーティリティトークンを規制するつもりはありませんが、価値の保有や支払いでの実用性が求められるペイメントトークンは、今年中に規制が実施されます。

Damien Pang, Head of Technology Infrastructure Office at MAS - Coindeskより引用

Pang氏は、もしもユーティリティトークンやペイメントトークンまでもが将来的な配当を約束するなどの資金調達の側面をもち、証券との類似性が高くなれば、シンガポールではそれらのトークンは規制の対象となることを繰り返し述べた。

加えて、規制緩和でイノベーションを後押しするMASのサンドボックス戦略や、仮想トークンプロジェクトがそのリソースを活用しているかについても語っており、今のところ受け入れられているトークンプロジェクトは存在しないものの、米国の生命保険会社であるMetLife Inc.がより制限された環境下で、ブロックチェーンベースの医療保険関連アプリケーションをテストしていることを明らかにした。

また、参加者からのMASはなぜ米国の規制当局のように規制の対象外になる特定の仮想通貨の名前を挙げようとしないのかという質問に対しては、MASはあくまでもイノベーションを促進する姿勢で、明確なフレームワークに則って規制を実施する考えであり、1,000種類以上のトークンがある中で特定の名前を挙げるのではなく、分類のための明確な指針を提供するとコメントしている。

release date 2018.9.20

出典元:

ニュースコメント

シンガポール国内の仮想通貨規制事情

世界で仮想通貨取引に対する規制が強化されていく中、シンガポールは寛容な態度を示している数少ない国のひとつで、多国籍のテック企業が国内市場へ参入するニュースが相次いで発表されている。先日、Binanceシンガポールが、法定通貨建てで仮想通貨取引が行える取引所の開設を計画していることを明かしたり、7月には、SNSアプリを運営するLINEがシンガポールで仮想通貨取引所BIT BOXの設立を発表するなどし、注目を集めた。しかしその一方で、シンガポール金融管理局はICOを証券先物法の規制対象としたりするなど、健全な仮想通貨取引環境の構築にも取り組んでいる。金融業界が盛んなシンガポールで仮想通貨に関連するサービスや商品、取引などが活発に行われれば、長期的な目線での業界の成長が見込まれるだろう。


Date

作成日

2018.09.20

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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