作成日
:2024.07.25
2024.08.20 04:05
仮想通貨(暗号資産)ウォレットの代表格として有名なのがメタマスク(MetaMask)です。しかし、メタマスク以外の仮想通貨ウォレットのことはあまり知らない、という方も多いのではないでしょうか。
実は、メタマスク以外にもさまざまなウォレットが存在し、それぞれに特徴があります。
当記事では、メタマスク以外のウォレットの種類や特徴、選び方などについて解説します。
仮想通貨(暗号資産)ウォレットとは、仮想通貨やNFTなどを管理するためのデバイスやソフトウェアのことです。厳密には、仮想通貨やNFTそのものを管理しているわけではなく、ブロックチェーンへのアクセスに必要な公開鍵や秘密鍵を管理しています。
仮想通貨ウォレットによって、種類や利用可能なプラットフォーム、対応するネットワークなどが異なり、さまざまな特徴があります。まずは、ウォレットの基礎知識を見ていきましょう。
仮想通貨ウォレットは、大きくハードウェアウォレットとソフトウェアウォレットの2種類に分けられます。
ハードウェアウォレットは、専用のデバイスを使用して秘密鍵を管理するタイプのウォレットです。インターネットから切り離した環境で保管できるため、ハッキングのリスクが低く安全性が高い一方で、利便性はやや劣ります。主流はUSBタイプで、取引などの際には、パソコンなどに専用アプリをインストールした上で、USBポートに差し込んで仮想通貨を管理します。
ソフトウェアウォレットは、スマートフォンやパソコンにアプリをインストールしたり、ブラウザに拡張機能を追加したりして使用するタイプのウォレットです。インターネットに接続された状態で使用するため、取引の利便性が高い一方で、常にハッキングのリスクにさらされています。代表的なウォレットのメタマスク(MetaMask)は、ソフトウェアウォレットの1つです。
どちらのタイプを選ぶかは、セキュリティと利便性のバランスを考慮して決める必要があります。
仮想通貨ウォレットは、さまざまなプラットフォームで提供されています。主なプラットフォームは以下のとおりです。
デスクトップアプリ | パソコンにインストールして使用するタイプのウォレット |
---|---|
モバイルアプリ | スマートフォンやタブレットのアプリとして提供されているタイプのウォレット |
ブラウザ拡張機能 | ウェブブラウザの拡張機能としてインストールして使用するタイプのウォレット |
デスクトップアプリ | パソコンにインストールして使用するタイプのウォレット |
---|---|
モバイルアプリ | スマートフォンやタブレットのアプリとして提供されているタイプのウォレット |
ブラウザ拡張機能 | ウェブブラウザの拡張機能としてインストールして使用するタイプのウォレット |
複数のプラットフォームに対応しているウォレットも多く、ユーザーは使い勝手や利用目的に応じてプラットフォームを選べます。
仮想通貨ウォレットは、それぞれが決まったブロックチェーンネットワークに対応しています。ウォレットによって、単一のネットワークにのみ対応しているものもあれば、複数のネットワークに対応しているものもあります。
ウォレットを選択する際は、自分が保有したい仮想通貨がどのネットワーク上で運用されているかを確認し、そのネットワークに対応したウォレットを選ぶ必要があります。対応していない仮想通貨を誤って送金してしまうと、資産を失う可能性があるため注意が必要です。
マルチチェーン対応ウォレットとは、複数のブロックチェーンネットワークに対応している仮想通貨ウォレットのことです。マルチチェーン対応ウォレットを使用することで、1つのウォレットで異なるネットワーク上の仮想通貨をまとめて管理できます。
複数のウォレットを使い分ける手間を省くことができ、異なるネットワーク間での資産移動も比較的容易に行える点がメリットです。
ただし、単一のネットワークに特化したウォレットに比べると、各ネットワーク固有の機能が制限される場合もあるため、使用目的に応じてウォレットを選ぶことが重要です。
ここから、代表的な仮想通貨(暗号資産)ウォレットを紹介していきます。
まずは、ハードウェアウォレットです。
高い安全性が求められるハードウェアウォレットは、信頼できる製品を購入することが重要です。現在、仮想通貨市場では、以下の2つのブランドが2大勢力となっています。
画像引用:Ledger
Ledgerは、フランスに本拠を置くLedger社が開発するハードウェアウォレットです。Ledgerの主力製品であるLedger Nano S PlusやLedger Nano Xは、コンパクトなサイズながら多機能な設計となっています。
また、Ledger Liveという専用のウォレットアプリと連携することで、仮想通貨の保管だけでなく、購入や売却、スワップ、ステーキングなど幅広いサービスを利用可能です。
管理できる仮想通貨の種類も豊富で、ビットコインやイーサリアムなどのメジャーな通貨からアルトコインまで5,500種類以上に対応しています。
セキュリティ面では、リカバリーフレーズのバックアップ機能を提供しており、ウォレットの復元をより簡単に行えます。また、50以上のソフトウェアウォレットと連携でき、幅広い仮想通貨サービスを安全に利用できます。
画像引用:Trezor
Trezorも、Ledgerと並ぶ代表的なハードウェアウォレットの1つです。1,000種類以上の仮想通貨に対応しており、ビットコインキャッシュ(BCH)やライトコイン(LTC)などのビットコイン系の仮想通貨に手厚く対応しています。
また、専用ウォレットアプリのTrezor Suiteは、仮想通貨の送受信からポートフォリオの追跡、取引、支払いなどさまざまな機能が利用可能です。
Trezor Suiteでは、複数のウォレットを作成できるため、日常的な支払い用と長期保有用など、目的に応じてウォレットを使い分けられます。
ステーキング機能も提供されており、Trezor上から仮想通貨をブロックチェーンにロックして、ステーキング報酬の獲得が可能です。また、モバイルアプリのTrezor Liteを使用すれば、外出先でもポートフォリオの状況を確認できます。
続いて、ソフトウェアウォレットです。
メタマスク以外の代表的なソフトウェアウォレットとして、以下の4つを紹介します。
画像引用:Trust
Trust Walletは、多彩な機能を備えたソフトウェアウォレットです。モバイルアプリとブラウザ拡張機能から利用できます。2017年に誕生し、1億3千万人以上のユーザーに利用されています。
ビットコインやイーサリアム、ソラナ、コスモス、オプティミズムなど、100以上のブロックチェーンを利用可能です。
Trust Walletは、セキュリティとプライバシーを最優先事項とし、業界リーダーによる独立した監査やISO認証を取得しています。危険なアドレスやDApps接続に対するアラート機能も備えており、ユーザーの安全性を確保しています。
画像引用:Exodus
Exodusは、デスクトップアプリとモバイルアプリ、およびブラウザ拡張機能から利用できる多機能なソフトウェアウォレットです。デスクトップアプリではハードウェアウォレットTrezorとの連携機能も提供しています。
Exodusはビットコイン、イーサリアムをはじめとする50以上のブロックチェーンと300以上の仮想通貨(暗号資産)に対応しています。ユーザーは多数のウォレットやリカバリーフレーズを管理する必要がなく、ひとつのウォレットで幅広い仮想通貨を安全に保管することが可能です。
内蔵しているスワップ機能により、ウォレット内で瞬時に仮想通貨を交換できます。サポート面では、24時間年中無休のカスタマーサポートを提供しており、ユーザーの質問にすぐに対応できる体制を整えています。
画像引用:Phantom
Phantomは、ソラナをはじめビットコイン、イーサリアム、ポリゴンに対応したマルチチェーンのソフトウェアウォレットです。ブラウザ拡張機能とモバイルアプリから利用できます。
Phantomは、Trust WalletやExodusと同様に基本的な仮想通貨の管理機能を提供しており、特にソラナエコシステムで広く利用されている点が特徴的です。ソラナを主に利用するユーザーにとっては、スワップやステーキング、NFT関連機能など総合的なサービスが利用できる便利なウォレットといえるでしょう。
Phantomは、ハードウェアウォレットのLedgerと接続して、仮想通貨をさらに安全に保管することが可能です。また、グローバルサポートチームによる24時間年中無休のサポートも提供されています。
画像引用:Coinbase
Coinbase Walletは、仮想通貨取引所Coinbaseが提供するソフトウェアウォレットです。ブラウザ拡張機能とモバイルアプリから利用可能で、幅広い仮想通貨やNFTに対応しています。
Coinbase Walletは、DeFiサービスに簡単にアクセスできる点が特徴の1つです。流動性プールを通じた仮想通貨の貸借や、DEXでの資産のスワップなど、Web3のさまざまなサービスを利用できます。
NFTの管理機能も充実しており、複数のネットワーク上のNFTを一箇所で安全に保管・管理することが可能です。トレンドのNFTの検索や、チェーン・名前・日付などでの並べ替えなど、便利な機能も提供しています。
ここまで紹介した、汎用的に利用できる仮想通貨(暗号資産)ウォレットのほかに、各種サービスの専用ウォレットもあります。
特にGameFiプラットフォームでは、ゲームで使われる仮想通貨を管理するための専用ウォレットが用意されている場合が少なくありません。代表例として、以下の2つを紹介します。
画像引用:PlayMining
PlayMiningは「JobTribes」や「麺屋 ドラゴンラーメン」などの人気ゲームを展開するGameFiプラットフォームです。PlayMiningでは、ゲーム報酬やプレイに使われる仮想通貨DEAPcoin(DEP)を管理するために専用ウォレットが利用されます。
対応している仮想通貨はERC-20規格のDEPのみで、他の通貨を取り扱うことはできません。専用ウォレットがあれば、PlayMiningで展開されている複数のゲームをプレイできます。
画像引用:STEPN
Move to Earn(歩いて稼ぐ)で人気を呼んだSTEPNにも、専用ウォレットがあります。2024年7月9日現在、STEPNはソラナ、BNB、イーサリアムの3つのチェーンで展開しており、ウォレットもそれぞれのチェーンに対応したものが用意されています。
各チェーンのウォレットがサポートしている仮想通貨は以下のとおりです。
仮想通貨(暗号資産)ウォレットは、利用目的に合わせて、セキュリティと利便性のバランスを考慮して選ぶことが重要です。ウォレットを選ぶ際の4つの注意点を解説します。
セキュリティは、仮想通貨ウォレットを選ぶ上で最も重要なポイントのひとつです。
安全性の高さでは、ハードウェアウォレットが、ソフトウェアウォレットに勝ります。一方で、取引時の利便性はソフトウェアウォレットの方が優位です。
選び方のポイントの1つとして、仮想通貨の保管目的に応じて使い分ける方法があります。移動予定のない大きな資金を長期間保管する場合には、安全性を重視してハードウェアウォレットを利用すると良いでしょう。一方、頻繁に取引するための仮想通貨は、ソフトウェアウォレットに入れておくと便利です。
なお、どのようなウォレットを使う場合でも、リカバリーフレーズや秘密鍵は、絶対に他人に教えてはいけません。
対応している仮想通貨やネットワークは、仮想通貨ウォレットによってそれぞれ異なります。例えば、代表的なウォレットであるメタマスク(MetaMask)は、イーサリアムとEVM互換性をもつブロックチェーンの仮想通貨に対応しています。必ず、保管したい仮想通貨に対応しているウォレットを選ぶようにしましょう。
対応していないウォレットに誤って仮想通貨を送金してしまうと、仮想通貨を失ってしまう可能性があります。ウォレットに初めて仮想通貨を送金する際には、少額でテストすると良いでしょう。
仮想通貨ウォレットを選ぶ際は、使いやすさも重要です。代表的なウォレットであるメタマスクは、特に初心者にとっては使いやすいとはいえません。
直感的なインターフェースで、操作手順が分かりやすいウォレットを選ぶことで、ミスを減らし仮想通貨を安全に管理できます。また、日本語対応やカスタマーサポートが充実したウォレットなら、安心して利用できるでしょう。
ただし、使いやすさを重視するあまり、セキュリティが不十分なウォレットを選ばないように注意しましょう。
仮想通貨ウォレットによって、仮想通貨の保管以外にもさまざまな機能が提供されています。
例えば、ウォレット上での仮想通貨の購入・売却や、スワップ、ステーキングなどが代表的です。また、DeFiサービスへの接続やNFTの取引などが可能なものもあります。
こうした豊富な機能を楽しみたい人は、機能が充実したウォレットを選ぶと良いでしょう。一方で、DeFiサービスやNFT取引には詐欺や大きな損失のリスクもあるため、簡単にできるからといって初心者が安易に手を出すのは危険です。十分に知識をつけてから利用するようにしましょう。
仮想通貨(暗号資産)ウォレットには、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。長期保管を目的に安全性を重視するならハードウェアウォレットを、日常的な取引にはソフトウェアウォレットを使うなど、目的に応じて使い分けるのがよいかもしれません。
また、保有する仮想通貨の種類や利用するサービスによっても、最適なウォレットは異なります。自分自身のニーズに合わせて適切なウォレットを選び、資産を安全に管理していきましょう。
作成日
:2024.07.25
最終更新
:2024.08.20
フリーランスのWebライター。ブロックチェーンがもたらす非中央集権的な世界観に惚れ込み、暗号資産・NFT・ブロックチェーンゲームなどweb3のジャンルにしぼって記事を執筆。自らの暗号資産投資やNFT売買の経験を活かし、暗号資産の投資情報をできる限りわかりやすくお届けします。
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