作成日
:2024.03.05
2024.03.05 14:54
2024年3月のポンド相場は、BOE(英中銀)の金融政策発表と経済指標に注目!
円安圧力とポンドの底堅さによりポンド円はレンジまたは上昇予想
3月のポンド円は、底堅いポンドと円安圧力から上昇方向を予想しています。
昨年末は日銀による金融正常化への期待から円高が進みましたが、年が明けてすぐの能登半島地震の影響で円高要因は後退しました。2月に入っても能登半島地震の影響は少なからず残っているものの、マーケットは地震の影響を織り込んでおり再度日銀による金融正常化の時期を伺う展開となっています。
ただしマーケットの反応などを見る限り、金融正常化を織り込むのはまだ先のようです。実際、2月末に発表された日本のCPI(消費者物価指数)は市場予想と日銀の目標水準である2%を上回る結果となりましたが、マーケットは円高に反応はしませんでした。
現況では、日銀の金融正常化はまだ先と予想されており、金融正常化の明確な見通しが立つまでは、円高圧力は弱まると考えられます。
年明けに新NISAが始まったことで、当初の予想を超えて対外株式投資も多く、1兆円を超える買い越しとの報道もされています。1月は積み立て以外の買い越しも予想されることから、2月以降1兆円を超える対外投資が続くとは考えにくいものの、それでも大きな額の対外投資が続いていくと考えられます。
このような対外投資は円安要因となります。なぜなら対外投資の資金を用意するためには、円を売ってドルを調達する必要があるからです。
また1月の貿易赤字額は1.7兆円と12月と比べて赤字額が拡大していることからも、ドル資金が調達されていたと分かります。したがって対外投資と貿易赤字、2つの実需による円売りから底堅い円安トレンドとなると考えています。
ただし円安トレンドが続くと、起こりうる円買い介入には注意しておきたいと思います。円買い介入に関しては、ドル円の152円付近が防衛ラインではないかと予測しています。
ポンド円の上昇要因は円安による部分が大きいため、円安が進みドル円が上昇して円買い介入が実施された場合は、ポンド円も大きく下落するリスクがあります。ドル円が152円付近まで上昇した際に、口先介入のレベル感が高まらないか、実際に介入が実施されないかを注意しておきたいと思います。
円安方向が基本だが、円買い介入に関する発言等には要注意!
2月末時点の、ポンド円日足チャートです。2月のポンド円は上昇トレンドを描いています。
画像引用:Tradingview
押し目の第1ターゲット:188.7円
押し目の第2ターゲット:186.6円
押し目の第3ターゲット:185.2円
画像引用:Tradingview
戻りの第1ターゲット:194.9円
戻りの第2ターゲット:204.7円
戻りの第3ターゲット:207.8円
底堅いポンドと米ドルの綱引きによりポンドドルはレンジ予想!
3月のポンドドル相場は、底堅いポンドと底堅い米ドルの綱引きでレンジ相場を予想しています。
マーケットは昨年末に今年の利下げ回数として5〜6回を織り込んでいましたが、2月末の段階で今年の利下げ回数は3回を織り込んでいます。そのため1月から2月にかけて米ドルの買い戻しが進みました。
ただ、FOMC(米連邦公開市場委員会)のメンバー(FRB理事と地区連銀総裁)が予想する2024年の利下げ回数を示したドットチャートでは、昨年12月FOMC時点で3回の利下げがメイン予想となっていました。つまり2月末の時点でマーケットが織り込みすぎていた利下げ回数は、FOMCメンバーが予想した利下げ回数と同程度になっているのです。
このことから利下げ織り込みに関する米ドルの動きは、方向感に乏しい展開となっています。
3月のポイントは、QT(量的引き締め)終了と3月FOMCで発表されるドットチャートです。
FRBは利上げと同時に、QTによる引き締めも行ってきました。政策金利の利上げは終了していますが、QTに関しては現在も継続中です。
利下げをする前にQTの終了が先なのではないかと注目されており、3月FOMCでQT終了に関する議論がされると予想されています。3月FOMCでQT終了に関して言及があった場合はドルが売られる可能性はあるものの、議論されただけでは反応は限定的だと予想しています。
またドットチャートに関しては、昨年12月FOMCで発表された今年の利下げ回数3回から変わらない結果であれば、マーケットの反応は限定的だと考えています。直近の雇用指標や物価指標などを見ると、さらに今年の利下げ回数を増やすことは考えにくいので、ドットチャートの結果からドル売りが加速するとは考えにくいと予想しています。
したがって米ドルは底堅く推移すると考え、同じく底堅く推移するポンドと綱引き状態となり、レンジ相場が続くと予想しています。
3月FOMCの声明文や記者会見、ドットチャートに注目!
2月末時点での、ポンドドルの日足チャートです。2月のポンドドルは、上昇トレンドを描いています。
画像引用:Tradingview
押し目の第1ターゲット:1.260
押し目の第2ターゲット:1.247
画像引用:Tradingview
戻りの第1ターゲット:1.288
戻りの第2ターゲット:1.316
3月のポンド相場は、底堅く推移すると予想しています。
注目されていた2月のBOEの金融政策発表は、投票配分と声明文、経済見通しがポイントだったものの、総括では方向感を決めるには難しい内容でした。
金融政策を決定する9名の英国中央銀行金融政策委員会(MPC)メンバーのうち2名が利上げを支持(前回も2名)。6名が据え置きを(前回は7名)、1名が利下げを(前回は0名)支持する結果となりました。利上げ支持と利下げ支持が混在する異例の状況となっています。
声明文からは追加利上げに関する記載が削除(ハト派な内容)されたことで、利上げサイクルは終了と受け止められています。またインフレ抑制のためにも高金利を長期にわたり維持する必要がある(タカ派な内容)という文言が追加されるなど、声明文においてもタカ派・ハト派が混在する内容となっています。
そして経済見通しでは、前回の見通しと比べて2024年第1四半期のインフレ・GDPともに下方修正されましたが、25年・26年は上方修正される結果となりました。このように、金融政策の内容からは利上げサイクルの終了が分かるものの、マーケットが予想するような早期の利下げには否定的な結果となっています。
そこで重要視されるのが、経済指標です。2月に発表された雇用指標・物価指標は、強弱入り混じる結果となっています。
具体的には、雇用状況は失業率が低く、賃金は高い状況となっています。ただし物価は市場予想を下回って、順調に低下が続いています。このように、雇用状況は堅調で物価は落ち着きを取り戻しつつあるという、BOEにとっては動きづらい結果となっています。
金融政策・経済指標の結果をみる限り、すぐにBOEが動く可能性は低いとの観測から、ポンドは売られるでもなく買われるでもない、つまり底堅い状況が続くと予想されます。
すぐにポンドが大きく売られる状況に変化するとは考えにくいですが、3月に発表される経済指標には注目です。雇用指標・物価指標ともに弱い結果となり、さらにその結果を受けてMPCメンバーの発言がハト派に変化するようであれば、ポンドが売られる状況に変化する可能性があります。
各指標結果と発言に注目しておきたいと思います。
作成日
:2024.03.05
最終更新
:2024.03.05
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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