作成日
:2023.10.04
2023.10.04 17:22
大手仮想通貨(暗号資産)取引所のCoinbaseとBinanceが、レイヤー2(L2) ブロックチェーンを相次いで発表しました。CoinbaseのL2はBase、BNB ChainのL2はopBNBと呼ばれます。
両社は、「OP Stack」という技術を使っています。OP StackはOptimismというプロジェクトが提供しており、仮想通貨コミュニティの間で注目を集めています。
さらに、スーパーチェーン構想も発表されており、これが実現すれば、OP Stackで構築されたブロックチェーン同士をシームレスに利用できます。
今回の記事では、Optimismが提供するOP Stackとは何かに加え、スーパーチェーン構想をわかりやすく解説します。
画像引用:Base
OP Stackとは、イーサリアムの問題点を解決する技術「Optimistic rollup」を使ってL2を構築できる技術です。Optimistic rollupは、Optimismが提供しています。
イーサリアムはトランザクションの処理能力が低く、トランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します(スケーラビリティ問題)。イーサリアムは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
画像引用:Optimism
Optimismは、イーサリアムの課題を解決するL2ブロックチェーン「OP Mainnet」を開発しています。
そして、OP Mainnetは、イーサリアムのセキュリティレベルを維持しながら、ガス代の安さと高速取引を実現します。
取引の安全性と高速取引の両立は、Optimistic rollupという技術で実現しています。Optimistic rollupは、OP Mainnet上の数多くの取引を束にまとめて、最小限のデータをイーサリアムに送って処理します。
この技術で、取引コストの低下、スピードの向上、イーサリアムと同等のセキュリティレベルを実現しました。Optimismによると、OP Mainnetは$30億ドル以上のガス代を節約しています。
画像引用:Optimism
OP Stackを使うと、Optimistic rollupを使ってL2ブロックチェーンを構築できます。
OP Stackの特徴は、そのシンプルさにあります。公式ドキュメントには「コードベースをシンプルに保つことが、巨大な開発コミュニティの構築につながる」という理念が記されています。
OP Stackは、シンプルなコード(プログラム)やインフラを使っています。シンプルなのでミスの可能性を減らせますし、外部の開発者でも扱いやすいというメリットがあります。
また、その拡張性の高さも特徴に挙げられます。OP Stackはオープンソースかつモジュラー式であり、エンジニアは互いのコードを利用しあって機能を拡張できます。
モジュラー式のブロックチェーンとは、核となる機能を別々に切り離して連結したブロックチェーンを指します。特定の機能を変更・追加したい場合、その機能が組み込まれたモジュールを変更するだけで済みます。
これにより、全体を何度も作り直す作業を回避でき、効率的な開発につながります。
さらに、OP Stackはイーサリアム上の開発ツールと互換性があります。イーサリアムは業界最大級のエコシステムと開発者数を誇りますから、そのリソースを活用できるのは魅力です。
結果的に、大手取引所のCoinbaseやBinanceが、L2ブロックチェーン構築の基盤として利用しています。当記事執筆時点(2023年9月29日)で、Base (Coinbase) の1日あたりの利用者数は約8万人、opBNB(Binance)は約6,000人となっています。
画像引用:BNB Chain
今後、さまざまなプロジェクトがOP Stackを利用してL2ブロックチェーンを構築するかもしれません。
そんな中、Optimismはスーパーチェーン構想を発表しました。これは、OP Stackで構築されたブロックチェーン同士を相互につなげて、シームレスに利用できるようにする構想です。
画像引用:Optimism
スーパーチェーン構想では、OP Stackで構築したブロックチェーンを相互運用できます。すなわち、あるブロックチェーン上の仮想通貨を、別の仮想通貨に安全かつスムーズに移動できます。
ブロックチェーン間の仮想通貨の移動に関して、現時点でもブリッジやCEX(中央集権型取引所) などの手段があります。しかし、手軽かつ安全とはいえない面があります。
Optimismのスーパーチェーンは、これまでバラバラだったブロックチェーンをひとつにつなげて、手軽かつ安全にしようとしています。仮想通貨業界にとって、仮想通貨の一般層への普及が課題であり、スーパーチェーン構想は一般層への普及の鍵となるかもしれません。
一方で、OP Stackの課題として、シーケンサが中央集権的であることが挙げられます。シーケンサとは、ユーザーから取引情報を受け取ってスマートコントラクトを実行する存在です。
OP Stackでは、シーケンサは単体の組織によって運営されており、分散性を欠いています。
また、OP Stackには競合プロジェクトがあり、例としてArbitrum OrbitやZK Stackが挙げられます。
Arbitrum Orbitを提供するArbitrumは、イーサリアムのL2ブロックチェーンとして最大級のTVL (預かり資産) を誇ります。
OP StackはCoinbaseなどの支持を得て注目を集めていますが、変化の激しい仮想通貨業界では状況が一変する可能性もあります。
画像引用:DefiLlama
OP Stackやスーパーチェーン構想の成否は、Optimismの仮想通貨「OPトークン」の価格にも影響するでしょう。そこで、OPトークンの特徴などについて紹介します。
OPトークンはOptimismのガバナンストークンであり、OPトークン保有者が投票を通じて重要事項を決定します。
ガバナンストークンとは、DeFi(分散型金融)において、プロジェクトの新しい機能の追加・削除・変更や、開発などの方針の提案(投票)を行う権利を持つトークンを指します。
将来、OP Stackが広まり、スーパーチェーン構想が実現すると仮定します。すると、取りまとめ役であるOptimism(OP Mainnet)の重要性が増すと考えられます。結果的に、OPトークンへの需要が高まるかもしれません。
なお、今後のOPトークンの放出スケジュールに注意が必要です。当記事執筆時点(2023年9月29日)で、OPトークンの市場での流通量は最大供給量の約18%です。
残りの8割近くのOPトークンは、今後数年間にわたって徐々に市場に放出されます。マーケットに出回るトークンが増えるので、売り圧力につながるかもしれません。
画像引用:Optimism
上のグラフは、OPトークンの放出スケジュールです。時間が経過するに従い、徐々に供給量が増える様子を示しています。
画像引用:CoinMarketCap
OPトークンの価格推移を見ると、直近価格は最高値の半値未満で推移している一方、CoinMarketCapに掲載された当初の価格よりも高値で推移しています。
2023年9月29日現在、OPトークンは、日本国内の取引所で取り扱われていません。そのため、取引は海外取引所で行います。各海外取引所におけるOPトークンの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) | 〇 |
〇 |
(バイナンス) | 〇 |
〇 |
(ゲート) | 〇 |
〇 |
(メクシー) | 〇 |
〇 |
(ビンエックス) | 〇 |
〇 |
(ビットゲット) | 〇 |
〇 |
(コインイーエックス) | 〇 |
〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
海外の取引所であれば、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
Bybitでは、3つの手順でOPを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、OPの購入ページ(OP/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには、口座を開設しておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でOPを購入するには、以下のように操作をして「OPを買う」をクリックします。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます。 |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
OPはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「OPを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したOPは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
シンプルさが魅力のOP Stackは、今後様々なプロジェクトと協力してスーパーチェーンの実現を目指します。ブロックチェーンがもっと便利で身近になるかもしれません。一方で、Arbitrum Orbitなどの競合サービスと、どのような差別化を図っていくのかに注目です。
作成日
:2023.10.04
最終更新
:2023.10.04
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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