作成日
:2023.09.25
2023.09.27 15:12
2023年9月13日、Astar Networkはイーサリアムのレイヤー2、Astar zkEVMのリリースを発表しました。これを受け、Twitter(ツイッター)では肯定的な意見もあれば、批判の声も投稿されています。
当記事では、Astar Networkの発表やTwitterでの賛否両論の意見、批判の内容とそれに対する渡辺創太氏の回答などをご紹介します。また、Astar zkEVMの特徴についても解説します。
画像引用:Astar Network
2023年9月13日、Astar Networkは、Astar zkEVMの立ち上げを発表しました。Astar zkEVMは、イーサリアム(ETH)のレイヤー2です。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
Astar Networkは、ポリゴン(MATIC)と協力し、Astar zkEVMを立ち上げると発表しています。Astar Networkの創業者である渡辺創太氏は、「今後はPolygon Labsと共にAstar zkEVMを通て日本企業のWeb3進出をサポートし、ブロックチェーン技術の社会実装を更に加速します」とコメントしています。
Astar zkEVMは、Astar Networkのエコシステムに貢献する技術群のひとつとして機能します。
画像引用:Astar Network
Astar Networkは、日本発のブロックチェーンであり、独自の仮想通貨(暗号資産)ASTRを発行しています。Polkadot(ポルカドット)上に構築されたプロジェクトとしてリリースされ、日本国内の企業との連携を進めています。
Astar zkEVMは、ブロックチェーン技術の社会実装を推進する、グローバル企業のための汎用的なソリューションと位置付けられています。また、ポルカドットとイーサリアムの架け橋になることも目的としています。
今後の計画として、2023年第4四半期にテストネットをリリースし、その後にメインネットが立ち上げられる予定です。
画像引用:CoinMarketCap
上記は、2023年9月以降のASTRの価格チャートを示した画像です。9月上旬には、一時的に約7.7円まで下落する場面もありましたが、その後、約9円までの価格上昇を記録しています。
しかし、9月13日から下落に転じ、当記事執筆現在(2023年9月17日)では前回の安値を下回る約7.5円で推移しています。
Twitter(ツイッター)上では、Astar Networkの発表に対して、賛否両論の意見が投稿されています。
賛成派は、Astar Networkがトレンドとなっているイーサリアムのレイヤー2に参入し、エコシステムが拡大するのを歓迎しています。
一方、否定派はAstar zkEVMの発表をネガティブに捉えています。Astar zkEVMの登場により、Astar Networkが今のポルカドット中心のエコシステムを諦め、イーサリアムに乗り換える可能性があるのでは、などの意見が投稿されています。
Astar zkEVMの発表に対する批判としては、主に次のようなものが挙げられます。
元々、Astar Networkは「DeFiハブ」となることをコンセプトに、ポルカドット上で立ち上げられました。インターオペラビリティを高めることが重要という発想から、ポルカドットとイーサリアムやその他多数のブロックチェーンをまたぎ、DeFi関連サービスを展開しようとする取り組みです。
日本語で「相互運用性」と訳されますが、ブロックチェーン業界では、クロスチェーン技術などを用いて異なるブロックチェーンと相互通信することを意味します。
しかし、今回のAstar zkEVMの発表により、Astar Networkはイーサリアムレイヤー2の開発にも注力することがわかりました。
こういった取り組みに対し、「既存チェーンを支援してきた投資家・開発者にとって、想定外の利益相反となり得る」「VCから資金を集めたスタートアップ起業家が、別法人を立ち上げてコミットメントするムーブメントに近い」といった内容が投稿されています。
ASTRは、Astar Network上での基軸通貨として取り扱われています。具体的には、ガバナンストークン・ユーティリティトークンとして、ガバナンス投票やステーキング、ガス代の支払いなど、様々な用途で使用可能です。
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
一方、Astar Networkは、Astar zkEVMのテストネットのガス代にイーサリアム(ETH)を採用すると発表しています。そのため、ASTRのユーティリティが縮小し、「ASTRが通貨として普及する未来が見えず、あくまでガバナンストークンにしか過ぎなくなる」との意見が投稿されています。
Astar zkEVMの発表に対して、ポルカドットの切り捨てだという批判も見られます。
これまで、イーサリアムのスケーラビリティ問題により、BNBチェーンやSolana(ソラナ)といった、高速でトランザクション処理ができる複数のレイヤー1が大きく注目されてきました。
そういった状況の中、様々なブロックチェーンの相互運用性を高めることを念頭に置く、ポルカドットが注目されてきたといえるでしょう。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの障害の一種です。ブロックチェーンの処理能力が送金需要よりも小さいと発生します。主な障害は、取引手数料の高騰と送金遅延です。
しかし、レイヤー2の台頭により、イーサリアムのセキュリティを活用しながら、迅速かつ安価に取引を処理できるようになってきています。そのため、Astar Networkはポルカドットを切り捨て、レイヤー2路線への方向転換したと考えるユーザーも存在しているようです。
Astar Networkの創設者である渡辺創太氏は、Twitter(ツイッター)上での批判に対して、以下のように回答しています。
渡辺氏は、「今までもこの先もAstarにおいてトークンはASTR一つであり希薄化はしません」と明言しています。
新株(トークン)を発行するわけではないことから、前述の「VCから資金を集めたスタートアップ起業家が、別法人を立ち上げてコミットメントするムーブメントに近い」という意見を否定しています。
渡辺氏は、「Ethereum L2をローンチしたらかなりの数のTier1プロジェクトがAstarエコシステムに参加してくることになると思います」とコメントしています。これらのプロジェクトは、エコシステムの拡大とASTRのユーティリティ増加に直結するとしています。
また、Astar zkEVMの取引手数料は、Astar財団に徴収され、 ASTRの買い戻しに利用するとしています。つまり、Astar zkEVMの利用が拡大すれば、ASTR価格の上昇にもつながる可能性があります。
渡辺氏は、ポルカドットとイーサリアムそれぞれによい部分があるとし、「Ethereum L2を作るのはPolkadotを捨てたわけではない」と明言しています。事実、Astar zkEVMは「ポルカドットとイーサリアムを繋ぐゲートウェイ」だと、公式サイトにも記載されています。
また、どのネットワークを使っているか?といった短期的な視点ではなく、いかにしてユーザーに使ってもらえるか、社会をよくできるかにこだわるべきだとの意見も述べています。
Astar zkEVMの特徴は、次の通りです。
画像引用:Polygon
Astar zkEVMは、Polygon(ポリゴン)の技術をベースに開発されています。
ポリゴンは、レイヤー2の開発キットであるPolygon CDK(Polygon Chain Development Kit)を公開しています。これを利用することで、簡単に独自のイーサリアムレイヤー2のブロックチェーンを構築できます。
Astar zkEVMは、zkロールアップを採用しています。
ロールアップは、オフチェーンでトランザクションを処理し、それらをまとめてレイヤー1ブロックチェーンに書き込む技術です。その中でも、zkロールアップは、有効性証明と呼ばれるゼロ知識証明を基礎としています。
ゼロ知識証明(ZKP:Zero Knowledge Proof)とは、ある人がある情報を持っていることについて、詳細を明かさずに証明する手法です。プライバシーを保護しながら正当性を確認できるので、ブロックチェーンにおける安全性や匿名性の向上に寄与しています。
Astar zkEVMは、EVM等価性を備えたブロックチェーンです。
EVMはEthereum Virtual Machineの略称で、日本語ではイーサリアム仮想マシンと訳すことができます。イーサリアムがスマートコントラクトの実行や管理を行うための技術です。EVMはイーサリアムと互換性を高める手段として、他のブロックチェーンにも実装されています。
EVM等価性を持つブロックチェーンは、イーサリアムのスマートコントラクトが利用可能となります。つまり、イーサリアム向けに構築されたDApps(分散型アプリケーション)を、簡単にAstar zkEVMでも展開できます。
こういった特徴から、Astar zkEVMは開発者にとってより良い環境を提供します。
Astar zkEVMの発表に対して、Twitter(ツイッター)では様々な意見が投稿されており、批判の声も見られます。しかし、Astar Networkとユーザーの間でのコミュニケーション不足により、誤解を招いている部分もあると考えられます。
いずれにせよ、Astar zkEVMがAstar Networkのエコシステムにどのように作用していくのか、今後も注目です。
作成日
:2023.09.25
最終更新
:2023.09.27
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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