作成日
:2023.06.21
2024.08.25 18:48
仮想通貨(暗号資産)の将来性などを判断する指標の一つとして、FDV(Fully Diluted Value)があります。FDVは、現在のトークン価格と総発行枚数をかけた時価総額であり、日本語では「完全希薄化後時価総額」とも呼ばれています。
本記事では、FDVの概要や一般的な時価総額(MarketCap)との違い、FDVを確認する方法などを紹介します。また、FDVと時価総額が大きく乖離する仮想通貨の特徴も解説します。
FDVの概要や、MarketCap(時価総額)との違いなどを解説します。
FDV(Fully Diluted Value)とは、現在のトークン価格と総発行枚数をかけた時価総額のことです。日本語では「完全希薄化後時価総額」と呼ばれています。
仮想通貨(暗号資産)プロジェクトの中には、初期の投資家や創業者にトークンを分配し、市場に流通しないようにロックアップしていることがあります。また、今後の発行が予定されている未発行トークンがあるケースも存在します。
仮想通貨を一定期間売れないようにする仕組みです。プロジェクト開始初期に、大口投資家等が安価で多数のトークンを買うことがあります。そのトークンが一度に市場に放出されると価格が暴落する可能性があるため、売却を一定期間禁止します。
FDVは、それらのトークンも含めた総発行枚数で時価総額を算出します。
FDV(完全希薄化後時価総額) =
現在の仮想通貨の価格 × 総発行枚数
プラットフォームによっては、FDMC(Fully Diluted Market Cap)などと呼ばれることもありますが、意味は同じです。
仮想通貨プロジェクトの規模を判断する際、一般的にはMarketCap(時価総額)が使われます。時価総額では、現在のトークン価格と市場での流通(供給)枚数をかけて算出します。
MarketCap(時価総額) =
現在の仮想通貨の価格 × 市場での流通(供給)枚数
仮想通貨の「時価総額ランキング」といった言葉をよく聞きますが、これはMarketCap(時価総額)をもとに作成されています。
時価総額では、計算時点でのトークン流通枚数を使用します。そのため、現時点での仮想通貨の規模や人気を測る際に役立つ指標だといえるでしょう。
FDVを確認するのは簡単です。CoinGecko(コインゲッコー)や、CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)などの価格追跡サイトで確認できます。
画像引用:CoinMarketCap
画像引用:CoinGecko
例えばビットコイン(BTC)の場合、当記事執筆時点(2023年6月13日)では約1,940万枚発行されています。1BTCの価格が約360万円なので、1,940万枚と360万円をかけた約70兆円が時価総額となります。
一方、FDVではまだ発行されていないBTCも計算に含めます。BTCの総発行枚数は2,100万枚なので、2,100万枚と360万円をかけた約76兆円がFDVとなります。
イーサリアム(ETH)のように、あらかじめ発行上限が決まっていない仮想通貨も存在します。そういった仮想通貨の場合、今後新規発行されるトークンの枚数は不明です。
そのため、基本的には時価総額=FDVとなります。ただし、発行上限がない仮想通貨でも、全てが市場に流通していない場合、FDVと時価総額が異なるケースは存在します。
画像引用:CoinMarketCap
仮想通貨(暗号資産)プロジェクトの将来性などを判断する上で、FDVは非常に重要です。主な理由を2つ紹介します。
仮想通貨プロジェクトは、初期段階で創業者や開発者などにトークンを分配しているケースが多いです。また、投資ラウンドで比較的安い価格でトークンを販売し、投資家から資金調達することもあります。
資金調達ラウンドとも呼ばれ、プロジェクト開始直後のベンチャー企業などによる資金調達を指します。規模が年々拡大し、1回の投資ラウンドで100億円を超える資金調達をする例もあります。ベンチャーキャピタルなどが資金提供に応じています。
こういった形で配布されたトークンは、流動性が低いタイミングでの売り圧を抑えるために一定のロックアップ期間が設けられます。ロックアップされている仮想通貨は市場に流通していないため、時価総額には反映されません。
つまり、時価総額を見るだけでは、現在のトークン価格が本当に適正なのか判断しづらいです。そういった際にFDVを確認することで、将来のトークン価格を予想しやすくなります。
一般的にトークンのアンロック(ロックアップ期間の終了)方式は、「クリフ型」と「ライナー型」の2種類があります。クリフ型は数ヶ月ごとにまとまった数量のトークンをアンロックし、ライナー型は少量のトークンを頻繁にアンロックします。クリフ型の方が供給量が一度に増えるため、投資家から警戒されています。
仮想通貨プロジェクトによって、トークノミクスは大きく異なります。創業者などへのトークン分配割合やロックアップ期間もさまざまです。そのため、個別のプロジェクトをしっかり理解するためには、FDVの確認は必要不可欠でしょう。
トークノミクスとは、「Token」と「Economics」をかけあわせた造語です。仮想通貨プロジェクトにおけるトークンを利用した仕組みや経済圏のことを指しており、トークンの価値に大きな影響を及ぼします。トークノミクスでは、トークンの総発行枚数やユーティリティ、創業者などへのアロケーション(配分)などが決められています。
このようなトークンを活用した独特な仕組みがあるため、仮想通貨市場においてはFDVが重要視されています。
仮想通貨をトレードする上で、トークンのアンロックのタイミングが重要になる可能性があります。正確なロック期間を知るには、プロジェクトのホワイトペーパーを確認するのが確実です。しかし、ホワイトペーパーは英語で書かれていることが多く、確認するには時間もかかります。
ホワイトペーパーとは開発チームが公開する文書であり、仮想通貨プロジェクトの全体像や将来像を示しています。ユーザーは、自己資金を投入する前にホワイトペーパーを読み込んで、プロジェクトの成功可能性やリスク等を確認します。
手軽にトークンのロック期間を確認するなら、Twitter(ツイッター)を活用するのが便利です。主要なプロジェクトがアンロックを行う前に、知らせてくれるアカウントなどが存在します。
DYDX will unlock tokens worth $15.2m on April 11
— Wu Blockchain (@WuBlockchain) April 4, 2023
BIT will unlock tokens worth $96.67m on April 15
APE will unlock tokens worth $66.46m on April 17
AXS will unlock tokens worth $32.1m on April 17
RON will unlock tokens worth $39.3m on April 27
Read more https://t.co/tuQYnSlfTZ
また、トークンのロックアップ期間をまとめているサイトを活用するのも有効な手段です。例えば「TokenUnlocks」というサイトでは、さまざまなプロジェクトのアンロックをまとめて確認できます。
画像引用:TokenUnlocks
FDVと時価総額が大きく乖離する仮想通貨は、以下のような問題が起きる可能性があります。
FDVと時価総額が大きく乖離している仮想通貨は、今後多量のトークンが市場に流通することを意味します。つまり、将来的にインフレを起こす可能性があるでしょう。
FDVと時価総額の差が大きい・小さいと判断する基準はありませんが、取引をする際は注意が必要です。
FDVと時価総額の差が大きいと、アンロックを待っている投資家が多いと判断できます。そのため、トークンのアンロックが行われると、強い売り圧が発生する可能性があります。
売り圧が発生した例として、NFTゲーム「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」のガバナンストークン 、AXSが挙げられるでしょう。2022年10月25日、Axie Infinityは初期投資家やアドバイザーなどに対するアンロックを行い、合計2,100万枚以上のAXSが市場に放出されました。
2022年10月25日時点ではAXSは約1,250円を記録していたものの、約1ヶ月後の11月後半には約860円まで価格を下落させています。アンロック前から価格は低下傾向でしたが、アンロックによって価格下落がより確実になった可能性があります。
画像引用:CoinMarketCap
FDVからは、時価総額ではわからないことを確認できます。特に、将来的なトークンのインフレや売り圧の発生を予想できます。FDVと時価総額が大きく乖離していないかどうかを確認することで、トレードを有利に立ち回れる可能性があるでしょう。
作成日
:2023.06.21
最終更新
:2024.08.25
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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