作成日
:2023.01.04
2023.08.21 18:59
2021年、NFTゲームは稼げると話題になって大流行し、2023年になっても開発活動が活発に行われています。しかし、多くはエコシステムが崩壊してしまったため、NFTゲームは稼げないと言われるようになりました。
そこで、NFTゲームで稼げない理由、稼ぐための方法や代表的なNFTゲームを解説していきます。
NFTゲームとは、NFTを利用したゲーム全般を指します。BNBチェーンやイーサリアム(ETH)などを中心に、NFTゲームの数は年々増加しています。
Footprint Analyticsの統計によると、2018年から2022年にかけて、その数は5倍の2,200件にまで増加しました。日本でも流行し、多くのプレイヤーが参入しています。
画像引用:Footprint analytics
無料のNFTゲームもありますが、多くの場合、最初にNFTの購入が必須であり、そして高額なものが多いです。NFTはOpenSeaや独自マーケットプレイスで取引されており、いつでも売買可能です。
この特徴を利用してゲームギルドと呼ばれるサービスも登場しており、プレイヤーはゲームギルドからNFTを借りれば、初期投資なしでゲームを開始できます。
ゲームギルドはNFTゲームのプレイヤー向けのコミュニティで、その多くがDAO(分散型自立組織)として運営されています。メンバーはNFTを借りてゲームすることができ、獲得報酬をゲームギルドと分け合います。逆に、NFTを保有していれば、他人に貸し出して報酬を得ることもできます。
NFTゲームのほとんどはPlay to Earnの要素を持ち合わせており、ゲームを通じて独自仮想通貨による報酬を付与しています。
Play to Earnとは、遊んでお金を稼ぐことを指します。すなわち、ブロックチェーンゲームで遊ぶと、NFTや独自仮想通貨などの報酬を得られます。Play to Earnから派生したMove to Earn(運動して稼ぐ)なども、流行しています。
多くのプレイヤーは稼ぐことを目的としており、報酬を獲得してNFTの初期投資を回収して、さらに利益を目指します。
2021年にNFTゲームが大流行した頃は、稼ぐことが比較的簡単で、中にはNFTゲームの報酬だけで生計を立てるプレイヤーもいたほどです。しかし、ブームが下火になってから久しく、NFTゲームは稼げないというのが定説となりつつあります。
稼げないといわれる理由として、以下のようなものが挙げられます。
NFTゲームのほとんどはPlay to Earnを売りにしており、独自仮想通貨による報酬システムが肝となっています。
プレイヤーは独自仮想通貨を獲得すると、利益を確定するために売却を急ぎます。このため売り圧力が強く、価格は下落しやすい構造です。
例えば、人気NFTゲーム「Axie Infinity」の報酬として支払われるSLPは、2021年7月の約40円をピークに下落し続けており、0.26円付近にまで落ち込んでいます。
画像引用:CoinMarketCap
価格下落を防ぐために、NFTゲームは独自仮想通貨をバーン(焼却)する仕組みを持っています。具体的には、NFTのレベルアップやメンテナンス、アイテム購入などを通じて、プレイヤーに独自仮想通貨の消費を促し、消費された独自仮想通貨をバーンします。
これは流通量を減らす効果がある一方、独自仮想通貨の新規発行数量はバーン数量を上回るため、売り圧力が消えることはありません。こうして価格は低下してゆき、稼げなくなります。
バーンとは、仮想通貨を永久に使えなくすることです。日本語で「焼却」という意味であり、バーンされた仮想通貨は焼却されたお金と同じように永久に使用できません。バーンアドレスと呼ばれる「秘密鍵は開発者を含めて誰も分からないウォレット」に送ることで行われます。
NFTゲームのトークンエコノミー(仮想通貨を軸とした経済)は、新規プレイヤーに依存しています。
新規プレイヤーはNFTや独自仮想通貨を購入してくれますので、新規プレイヤーが十分な割合で増え続けている間、既存プレイヤーはその恩恵を受けることができます。
しかし、新規プレイヤーの増加が鈍化すれば、NFTや独自仮想通貨は需要を失い、トークンエコノミーが崩壊してしまいます。
この構造により、NFTゲームはポンジスキーム(配当金を約束して出資を募り資金を騙し取る詐欺)的だと批判されています。
NFTゲーム界隈では、短期的に利益を上げる手法が確立されており、最大効率でNFTを運用して初期段階で資産を売り抜けます。
この手法は多くのプレイヤーによって実践されており、ゲーム寿命の短命化の要因となっています。ゲームによっては、リリースから数日でエコシステムが崩壊する例もあります。
2021年末以降、仮想通貨市場全体が低迷しており、これに伴ってNFTゲームの独自仮想通貨価格も低下しています。Coinmarketcapに登録されているPlay to Earn関連銘柄は、ほとんどが直近1年間で大幅な下落に見舞われています。
画像引用:CoinMarketCap
NFTゲームで稼ぐのは難しいですが、やり方がないわけではありません。具体的には、以下のような方法が考えられます。
ホワイトリストとは、参加申し込みのようなものです。NFTゲームはリリース前に必要なNFTを売り出しますので、ホワイトリストに参加できれば、割安な価格または無料でNFTを獲得できます。
ホワイトリストへの参加方法はゲームごとに異なっており、コミュニティで積極的に発言したり、他のユーザーをコミュニティに勧誘したり、抽選に応募したりすることで参加できます。
割安な価格または無料でNFTを獲得できれば、初期投資のリスクを軽減できるので利益を出しやすくなります。
NFTゲームの中には、NFTを無料で提供するものも数多くあります。初期投資が不要なNFTゲームならば、少なくとも損はしません。
大きな利益を上げられないかもしれませんが、トークンエコノミーが崩壊した後でも、ストレスなく続けることが可能です。
NFTゲームのNFTはマーケットプレイスで取引されており、希少性の高いNFTであれば、驚くほど高値をつけることもあります。また、メタバースの土地などは、開発計画次第で値上がりが期待できます。
NFTゲームのNFTはマーケットプレイスで購入するだけでなく、ゲームプレイを通じて獲得することもできるので、それを売れば利益になります。
上記で解説したことを踏まえて、NFTゲームをいくつか紹介します。
Sorareは世界のサッカーリーグやMLB、NBAをテーマにしたファンタジースポーツNFTゲームで、NFTとして発行される選手を獲得して他のプレイヤーと順位を競います。選手の成績は現実世界とリンクしており、より高いパフォーマンスを出した選手を多く抱えているチームが上位にランクインします。
一定の基準を満たすとイーサリアム(ETH)を受けとることもでき、上位に入賞すると更に多くの報酬をもらえます。
選手のNFTはマーケットプレイスで売買することができ、NFTの価値は成績や年齢、人気などで変動します。このため、NFT取引で利益を上げることも可能です。
Sweatcoinは無料のMove to Earnです。STEPNと異なりNFTは必要ありませんが、NFTを用いるゲームモードも新しく実装しています。
Move to Earnは「運動して稼ぐ」をコンセプトにしたブロックチェーンゲームで、歩いたり走ったりすると仮想通貨を得られます。STEPNの流行もあり多数のMove to Earnゲームがリリースされています。
プレイヤーは報酬として独自仮想通貨のSWEATを獲得できます。SWEATは現金化できますし、ゲーム内ポイントのSweatcoinを使って提携企業の商品やサービスと交換可能です。また、ステーキングを実装しただけでなく、独自DEX(分散型取引所)の開設も計画しており、使い道は多様化していくと考えられます。
バックグラウンドでスマホアプリを稼働させて歩くだけで報酬を獲得できるので、手軽なのが魅力です。
The Sandboxはピクセルベースのメタバースゲームです。クリエイティブな要素を持っており、他のNFTゲームとは異なる遊び方で稼げます。
プレイヤーはLANDと呼ばれる土地で、オリジナルのゲームやキャラクターなどを作成します。作成したゲームが他人にプレイされると、独自仮想通貨「SAND」で報酬を得られます。加えて、作成したキャラクターなどのNFTはマーケットプレイスで販売可能です。コンテストやイベントも開催されており、入賞すると報酬を得られます。
NFTゲームは持続可能なモデルを模索しています。独自仮想通貨の使い道を強化したり、外部からの継続的な資金流入を確保したり、パートナーシップを拡大したり、そのやり方は様々ですが、未だ有効策は見つかっていません。
ほぼ全てのNFTゲームのエコシステムが崩壊しており、新しいモデルの確立が待ち望まれています。
作成日
:2023.01.04
最終更新
:2023.08.21
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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