作成日
:2023.09.14
2024.02.11 07:14
PBRレンディングは、最大年利12%を提供する仮想通貨(暗号資産)レンディングプラットフォームです。複数のインフルエンサーがTwitter(ツイッター)上で言及しており、一部のユーザーの間で注目されています。しかし、「PBRレンディングは怪しい」といった声があることも事実です。
当記事では、PBRレンディングの概要を説明した上で、怪しいと思われるポイントや利用する上でのリスクなどを解説します。
PBRレンディングは、株式会社Notting Hill TOKYOが運営する、仮想通貨(暗号資産)レンディングプラットフォームです。
仮想通貨レンディングとは、保有する仮想通貨を貸し出して金利を得られるサービスです。仮想通貨を貸し出すだけでなく、金利を支払って借り入れることもできます。
「国内最高クラスの賃借料率」を売りにしており、年利10%から12%のリターンを付与しています。なお、対応している仮想通貨銘柄と最低貸出数量は、以下の通りです。
銘柄 | 年率(*1)(*2) | 最低貸出数量 |
---|---|---|
BTC | 10% | 0.01 BTC |
ETH | 10% | 0.1 ETH |
ADA | 10% | 500 ADA |
USDT | 10% | 300 USDT |
USDC | 10% | 300 USDC |
年率(*1)(*2)
BTC | 10% |
ETH | 10% |
ADA | 10% |
USDT | 10% |
USDC | 10% |
最低貸出数量
BTC | 0.01 BTC |
ETH | 0.1 ETH |
ADA | 500 ADA |
USDT | 300 USDT |
USDC | 300 USDC |
(*1)表記の貸出年率は、利率部分の再貸出を行った上での複利的効果を加味したものです。
(*2)貸出枚数や期間によっては最大12%のプレミアムプランを利用できます。
上記の通り、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとした、主要な5銘柄に対応しています。通常の年利は10%ですが、プレミアムプランを利用すると、最大12%の年利で運用することも可能です。
PBRレンディングは、高利率で運用できる仮想通貨(暗号資産)レンディングとして、Twitter(ツイッター)上で評判となっています。
多数のインフルエンサーがPBRレンディングの利用を促し、始め方を解説するツイートやブログ記事が拡散されています。その他、PBRレンディングを利用しているとの報告が多数見られます。
購入した仮想通貨を放置するより、魅力的なインカムゲインを獲得する機会を得られるとして、PBRレンディングは一部ユーザー層の支持を受けている模様です。
インカムゲインとは、金融資産を保有していることで得られる利益のことです。株式投資では配当や株主優待、FXではスワップポイントがインカムゲインに該当し、時間の経過と共に積み上がっていきます。この他、預貯金の利息や不動産投資の賃料収入などもインカムゲインにあたります。
一方、「提供している年利が高すぎる」「具体的な仕組みの説明がない」「会社の住所がレンタルオフィスで怪しい」といったネガティブな意見も散見されます。
ユーザーは、PBRレンディングを通じて、仮想通貨(暗号資産)を貸出します。PBRレンディングは、運営会社Notting Hill TOKYOのグローバルネットワークを活用し、海外取引所や大手機関投資家などに集めた仮想通貨を貸し付けています。
PBRレンディングは、仮想通貨を貸し付けた機関投資家などから賃借料を取り、そこからユーザーに金利を分配します。
PBRレンディングは、通常年利10%のリターンを付与します。しかし、プレミアムプランに加入すると、最大年利12%までブーストされます。プレミアムプランの条件は貸出枚数や期間によって異なるとされており、登録後にマイページから詳細を確認できます。
なお、高い年利を提供できる理由として、預かった仮想通貨を海外取引所や機関投資家などに貸し出し、市場で収益を得ていることを挙げています。また、PBRレンディングの利益率の下限追求という企業努力によって、ユーザーへの還元率を高めているとも説明しています。
PBRレンディングでは、最短貸出期間を1ヶ月としています。貸出期間は1ヶ月ごとの自動更新となっており、自動的に複利運用されます。
貸出を終了したい場合、ユーザーが返還申請を行わなければいけません。返還申請を行うと翌月末にレンディングが終了し、そこから10営業日以内にユーザーに資産が返還される仕組みとなっています。
PBRレンディングを利用する際は、対応する仮想通貨を指定のウォレットに送金する必要があります。日本円などの法定通貨は利用できないので、その点は注意してください。
PBRレンディングは、効率よく仮想通貨(暗号資産)を運用できるサービスに見えますが、いくつか怪しい点が指摘されています。具体的には、次のような点が挙げられます。
一般的に、仮想通貨レンディングの利回りは、年利数%であるケースが多いです。需要と供給によって利回りは変動しますが、主要な仮想通貨であれば、年利10%を超えるケースはめずらしいです。
PBRレンディングは、年利10%から最大12%もの利回りを可能としています。これは業界の標準と比較して、かなり高い部類だといえるでしょう。その理由として、Notting Hill TOKYOのグローバルネットワークを活用し、機関投資家などに貸出していると説明しています。しかし、詳細な仕組みは解説されていないため、一部のユーザーから怪しいという声が上がっています。
PBRレンディングのサービスに関する情報は、ランディングページのような形で公開されているWebページのみです。開示されている情報は少なく、プラットフォームの安全性に関する説明などはほとんどありません。
具体的にどのようなセキュリティ対策が施されているか、といった情報は公式サイトからは確認できない状況です。
PBRレンディングが怪しいと思われる理由の一つとして、運営会社が仮想通貨やブロックチェーンを専門としていないことも挙げられます。
運営会社であるNotting Hill TOKYOは、「イベントセミナー会社」です。「ファイナンシャルプランナーが作った学びの会社」をキャッチフレーズとしています。
画像引用:Notting Hill TOKYO
ホームページを確認すると、以下の事業を展開していることがわかります。
その他、株式や不動産投資、仮想通貨などが学べる「ラーニング事業」も展開しているようです。しかし、少なくとも仮想通貨やブロックチェーンを専門にしている会社ではないといえるでしょう。
そのため、PBRレンディング公式サイトに記載されている通りの事業を運営できるのか、疑問が残ります。
運営会社のNotting Hill TOKYOは、「東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号 恵比寿ガーデンプレイスタワー18階」にオフィスを構えています。この住所には「SERVCORP」という会社が運営するレンタルオフィス、バーチャルオフィスが存在しています。
レンタルオフィスとは、賃貸契約をせずとも、初期費用を抑えて個室のオフィスが借りられるサービスです。一方、バーチャルオフィスは、法人登記や郵便物の受け取りに必要な住所だけを借りられるサービスです。
レンタルオフィスや、バーチャルオフィスを利用しているだけで問題があるとはいえませんが、Twitter(ツイッター)上では「レンタルオフィスにあるような会社に資産を預けられない」といった意見があることは事実です。
PBRレンディングを利用するリスクとしては、以下が挙げられます。
PBRレンディングのリスクとして、運営が管理するウォレットがハッキングされるリスクがあります。ハッキングされて秘密鍵が流出すると、ウォレットの中にある顧客資産が失われる可能性があります。
秘密鍵とはウォレットの所有者が管理する文字列で、仮想通貨の送金の際に必要となります。秘密鍵を他人に漏らすと、仮想通貨が不正に流出する可能性があります。
PBRレンディングには、顧客資産を返金する義務があります。しかし、運営会社が経営破綻して債務不履行に顧客に陥った場合、十分な資産が返還されない可能性があります。
ハードフォークで新しい仮想通貨(暗号資産)が誕生した場合、トークン保有者にエアドロップが実施されることがあります。しかし、PBRレンディングは貸出している仮想通貨でハードフォークが発生し、新通貨の獲得権利が生まれても、その権利は運営会社に帰属するとの方針を示しています。
つまり、PBRレンディングを利用している間は、新通貨を獲得できないという機会損失が発生する可能性があります。
フォークはブロックチェーンの仕様変更を指します。その中でも、ハードフォークは永続的な分岐が伴うものであり、旧ルールのブロックチェーンと新ルールのブロックチェーンに分かれます。
PBRレンディングでは、最短貸し出し期間を1か月としています。つまり、レンディングをしている間は、仮想通貨を引き出せません。また、レンディング期間が満了してから、ユーザーのウォレットに返却されるまでに、最長で10営業日かかります。この間に仮想通貨価格が変動し、損失を被るリスクがあります。
PBRレンディングは、年利10%以上のリターンを付与する魅力的な仮想通貨(暗号資産)レンディングです。長期保有を考えている仮想通貨がある場合、PBRレンディングに貸し出すことで効率的に運用できます。
しかし、Twitter(ツイッター)などでは怪しいという意見が散見され、実際に利用する上でのリスクがあることも事実です。利用を検討するのであれば、しっかりとリスクを把握した上で使うようにしましょう。
作成日
:2023.09.14
最終更新
:2024.02.11
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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