作成日
:2023.10.02
2024.05.30 09:23
仮想通貨MNTは、Mantleのガバナンストークンです。そしてMantleとは、BitDAOからリブランディングしたプロジェクト「Mantle」が手掛けるレイヤー2のブロックチェーンです。
当記事では、仮想通貨MNTとMantleの概要を説明し、その将来性、使い道、技術的な特徴を解説します。
仮想通貨(暗号資産)MNTは、Mantleの独自トークンです。MantleはDAOとして運営され、Mantle Networkなどを開発しています。
かつて、MantleはBitDAO(ビッダオ)の名でBITトークンを使って活動していました。2023年5月のコミュニティ投票を経て、BitDAOの名称はMantleに変わり、そしてBITはMNTと交換されました。
2023年5月、BitDAOのリブランディングについてDAOで投票があり、可決しました。背景には、BitDAOと、そのプロジェクトであるMantleがそれぞれ異なるコミュニティを作ってしまい、連携やコミュニケーションが難しくなったという問題がありました。
Mantleはプロジェクトの名称であり、同時に、ブロックチェーンの名前でもあります。Mantleを中心にネットワークが形成され、MNTはガバナンストークンとして機能しています。
Mantleは独立したチェーンでなく、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンです。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
既存のレイヤー2はハッキング被害に遭うなど複数の問題点があり、これを解決するために開発されました。EVM環境を実装しており、多様なDapp(分散型アプリ)の開発・展開が可能です。
EVMはEthereum Virtual Machineの略称で、日本語でイーサリアム仮想マシンと訳します。この技術を使って、スマートコントラクトの実行や管理が可能になります。
また、Mantleは前身のBitDAO時代から現在に至るまで、大手取引所Bybit(バイビット)の支援を受けてきました。以下は、支援例です。
画像引用:Bybit
Bybitのローンチパッドでは、USDTと並んでMNTを使用可能であり、事実上の取引所トークンとして使われています。
取引所トークンとは、各取引所が発行する独自仮想通貨です。保有者に対して、取引手数料の割引やIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)への参加権などの特典が付与されます。有名なものとしては、BinanceのBNBがあります。
ただし、Bybitとの結びつきがあまりに強いと、MantleはBybitと同一視されてしまうリスクがあります。オフショア取引所に対する各国の姿勢は厳しくなる一方で、Mantleがその悪影響を受ける可能性が指摘されていました。
そこで、数度の投票を経て、BybitとMantleの関係を簡素化する取り組みもなされています。
画像引用:CoinMarketCap
MNTの価格推移を見ると、2023年7月を頂点にして右肩下がりになっています。MNTやMantleに問題があったのではなく、アルトコイン市場の低調さが主な原因でしょう。
アルトコインとはビットコイン以外の仮想通貨全体を指します。アルト(alternative)は「別の」「代替の」を意味します。
仮想通貨MNTは、過去にByStarterで無料配布されてX(旧ツイッター)で話題になりました。ByStarterとは、2023年7月にBybitで開催されたMNT無料配布イベントです。
画像引用:Mantle
また、Mantle Journeyのインセンティブプログラムも話題になっています。
MNTの使い道として、以下の例があります。
BybitでMNTをステーキングできます。ステーキング期間は自由で、報酬は2段階に分けられています。
ステーキング数量 | 利率(APY) |
---|---|
1,000 MNT以下 | 6.00% |
1,000 MNT~ | 0.90% |
ステーキングとはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仮想通貨で採用される仕組みで、ブロックチェーンの維持に貢献する対価として報酬を得ることを指します。また、仮想通貨を貸し出して報酬を得られるサービスをステーキングと呼ぶこともあります。
複利運用した場合の年間利回り。単利運用の場合はAPR(Annual Percentage Rate)と表記します。
なお、名称はステーキングですが、実際にはMNTをBybitに貸し出して報酬をもらうサービスです。
MantleはDAOであり、運営について様々な提案が出され、議論されています。議論で一定の方向性が見えると投票にかけられ、MNT保有者が投票します。議論を経たうえでの投票ですから、可決される例が多くなっています。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
当記事執筆時点(2023年10月2日)で、投票は27回あり、否決は1件でした。
BitDAOからMantleへのリブランディングや、BITトークンとMNTトークンの交換も、DAOの投票を経て決められています。
MNTは、Mantle Network内でのユーティリティトークンとしての役割も果たします。すなわち、Mantle Network内のトランザクション手数料(ガス代)をMNTで支払います。
Mantle Networkには数多くのDAppsが構築されており、ガス代として使用されています。
仮想通貨MNTの将来性について、3つの視点で紹介します。
Mantle Networkは、その財産の大きさに定評があります。
仮想通貨情報分析サイトDeFi Llamaによると、当記事執筆時点(2023年10月2日)で、Mantleは総額31億5,000万ドルの資産を保有しています。これは全プロトコルの中で2位を誇ります。
画像引用:DeFi Llama
この潤沢な資産を使って各種プロジェクトに投資し、資産を増やすことが目標の一つになっています。
その他の目的としては、DeFi関連プロジェクト支援があります。既に複数のプロジェクトへの投資実績があり、以下は支援先プロジェクトの例です。
プロジェクト名 | 活動内容 |
---|---|
zkDAO | イーサリアムにおけるレイヤー2の開発 |
EduDAO | 大学教育などの支援 |
Game7 | ブロックチェーンゲームの開発 |
PleasrDAO | NFTアートへの投資 |
AfricaDAO | アフリカにおけるWeb3.0の普及促進 |
どこに投資するかという点についても、DAOの投票で決定しています。
Mantleの投資先はMantleに好意的ですから、強力なパートナーになります。
ただし、Mantleの資金力は大変強く、資金力に物を言わせて投資先に介入すると、逆効果になる可能性もあります。そこで、Mantleは各プロジェクトに資金を投入する際に、自身の発言権を投資額に見合わない大きさに制約しています。
資金を受けたプロジェクトは、多額の資金を受容しながら発言権を同時に確保しており、Mantleにとって強力なパートナーになると期待できます。
その他、Mantleによる単独投資だけでなく、他のベンチャーファンド等と組んで投資する場合もあります。資金力がある機関と手を組むことで、相乗効果を期待できます。
Mantleはモジュラー式のブロックチェーンを採用しており、カスタマイズが容易です。モジュラー式のブロックチェーンとは、機能別に独立してプログラムを組み、連結したブロックチェーンを指します。
特定の機能を変更・追加したい場合、その機能が組み込まれたモジュールを変更するだけで済みます。
一方、従来のブロックチェーンは、1つのブロックチェーンが複数の機能を同時に担っており、これをモノリシック式といいます。特定の機能を変更したい場合、ブロックチェーン全体の修正や検証が必要になり、時間と労力を要します。
モジュラー式を採用することで、効率性と柔軟性を高められます。
Mantleはレイヤー2であり、複数の競合プロジェクトがあります。例えば、Arbitrum、Optimism、Baseが強力なライバルです。
その中で、Mantleは下記の点などで競争力を持つと考えられます。
イーサリアムへのデータ書き込みの際のコストを減らす技術の一つです。EigenLayerが開発しており、2023年末までのローンチが予定されています。
下の表は、DeFi Llamaの情報を元に他の有力プロジェクトと比較したものです(2023年10月2日時点)。
名称 | TVL | 独自通貨 |
資産
(米ドル)
|
プロトコル数 |
---|---|---|---|---|
Mantle | 35位 | MNT | 31億5,000万 | 33 |
Arbitrum | 4位 | ARB | 34億5,000万 | 457 |
Optimism | 6位 | OP | 12億8,000万 | 190 |
Base | 8位 | なし | ー | 128 |
TVL
Mantle | 35位 |
Arbitrum | 4位 |
Optimism | 6位 |
Base | 8位 |
独自通貨
Mantle | MNT |
Arbitrum | ARB |
Optimism | OP |
Base | なし |
資産(米ドル)
Mantle | 31億5,000万 |
Arbitrum | 34億5,000万 |
Optimism | 12億8,000万 |
Base | ー |
プロトコル数
Mantle | 33 |
Arbitrum | 457 |
Optimism | 190 |
Base | 128 |
TVLはTotal Value Lockedの頭文字をつなげた言葉で、ブロックチェーンやDAppに預け入れられた仮想通貨の総額を示します。この金額は人気のバロメーターとしても使用されます。
Mantle Networkを採用しているプロトコル数は、他に比べると少ないのが現状です。しかし資金は潤沢で、ポテンシャルは大きいと考えられます。
2023年10月5日現在、仮想通貨(暗号資産)MNTは、日本国内の取引所では取り扱われていません。そのため、取引は海外取引所で行います。各海外取引所におけるMNTの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
〇 |
〇 |
(バイナンス) |
× |
× |
(ゲート) |
〇 |
〇 |
(メクシー) |
〇 |
〇 |
(ビンエックス) |
〇 |
× |
(ビットゲット) |
× |
× |
(コインイーエックス) |
〇 |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
× | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
海外の取引所であれば、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
Bybitでは、3つの手順でMNTを購入できます。
まずは以下のリンクをクリックし、MNTの購入ページ(MNT/USDT)にアクセスします。
なお、Bybitを利用するには口座を開設し、本人確認(KYC)レベル1を完了させておく必要があります。
ここでは最もシンプルな「成行」での購入方法を紹介します。成行でMNTを購入するには、以下のように操作をして「MNTを買う」をクリックします。
番号 |
項目名 |
説明 |
---|---|---|
1 |
「買い」または「売り」 |
通貨ペアの左の通貨を買って右の通貨を売るなら「買い」、左の通貨を売って右の通貨を買うなら「売り」を選びます。 |
2 |
注文方法 |
成行を選びます。 |
3 |
注文価格 |
購入したい数量を入力します。 |
MNTはUSDTを支払って購入します。そのため、USDTの残高が十分でない場合は、入金や両替が必要です。
内容を確認して「MNTを買う」をクリックします。注文は即座に確定し、購入したMNTは現物アカウント残高に反映されます。
以下の記事では、買い方に関してより詳しく説明しています。有利な価格を指定する「指値」の使い方なども解説しています。
有力なレイヤー2が複数登場しており、Arbitrum、OptimismやBaseの知名度はMantleよりも高いと予想できます。Mantleの技術的優越性と潤沢な開発資金で、他のレイヤー2プロジェクトといかに差別化を図っていくか、今後も注目です。
作成日
:2023.10.02
最終更新
:2024.05.30
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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