Select Language

Huobiの破綻に関する噂を調査|stUSDTの安全性は大丈夫?

Huobiの破綻に関する噂を調査|stUSDTの安全性は大丈夫?

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2023.08.16 23:03
Huobiの破綻に関する噂を調査|stUSDTの安全性は大丈夫?

update 2023.08.16 23:03

大手取引所のHuobi(フォビ)が破綻するという噂が、Twitter(ツイッター)上で拡散されています。真相は不明ですが、顧客資産をカバーするだけの十分な準備金を持っていないとの見解が広まっている状況です。

ジャスティン・サン氏が関与するstUSDTが不正に利用されているとの噂もあり、ユーザーの間で不安が広がっています。

当記事では、Huobiの破綻に関する怪しい噂や、stUSDTの仕組み、安全性について解説します。

Huobiの破綻に関する噂

仮想通貨(暗号資産)コミュニティでは、大手取引所Huobiが破綻するとの噂が広まっています。昨年から、Huobiは経営不振に陥っているとの噂がありましたが、ここに来てその噂が再燃しています。

Huobiのロゴバナー

画像引用:Huobi

この噂によって、Huobiユーザーは危機感を覚えており、取引所から出金を急ぐ流れが拡大しています。

2023年8月7日、ブロックチェーン分析ツールを提供するNansenは、Huobiからの資金流出額が過去24時間で約3,300万ドルに達したと報告しています。その規模は、Huobiが管理する資産全体の1%以上に相当します。

また、Huobiが所有する資産の50%以上が、Huobiやジャスティン・サン氏に関連するトロン(TRX)、フォビトークン(HT)、stUSDTで占められている点にも懸念が広がっています。

Huobiが管理する資金の内訳

画像引用:DeFiLlama

knowledge ジャスティン・サン氏の経歴

ジャスティン・サン氏は、人気ブロックチェーン、トロン(TRX)の生みの親として知られています。2023年、Huobiはジャスティン・サン氏がリーダーとして同社を率いている事実を明らかにしました。現在でも、仮想通貨市場で強い影響力を持った人物として知られています。

Huobiの怪しい噂とは?

Twitter(ツイッター)上では、Huobiの破綻に関する情報が飛び交っています。現時点で何が真実かは明らかではありませんが、噂されている主な内容は次の通りです。

Huobiは準備金を持っていない?

業界関係者でインフルエンサーでもあるアダム・コクラン氏はTwitterにて、Huobiが準備金を確保していないと指摘しています。

2023年8月7日時点のアダム氏のツイートによると、Huobiが持つ約25億ドルの資産のうち、トロン(TRX)、ビットコイン(BTC)、フォビトークン(HT)、フォビビットコイン(HBTC)が約22億1,400万ドルを占めています。

残り約2億8,600万ドルの資産が残りますが、2023年7月1日時点のHuobiのPoR(プルーフ・オブ・リザーブ)によると、USDTだけでも約6億3,100万ドルの準備金を確保しているとしています。

Huobiの準備金
Huobiの準備金

画像引用:Twitter

point PoRとは

PoRは、英語のProof of Reserveの頭文字を取った略称で、日本語で「準備金の証明」と訳されます。取引所が十分な準備金を保有していることを証明するために利用されます。具体的には、取引所が第三者の監査機関に調査を依頼し、監査結果を公開します。

つまり、トロンやビットコインなどの主要な仮想通貨を除く、その他の全て資産を合計しても、PoRに記載されているUSDTの準備金の半分にも満たないことになります。

アダム氏のツイートが正しい場合、Huobiは準備金を確保していない可能性が高いといえるでしょう。こういった噂により、Huobiの経営破綻に対する懸念が高まっています。

stUSDTの資金が流用されている?

トロン(TRX)ブロックチェーン上では、stUSDTと呼ばれるプロトコルがリリースされています。USDTをトロン上のプロトコルに預け入れると、ユーザーにはstUSDTが付与される仕組みとなっています。

ステーキングされたUSDTは、RWA(RealーWorld Asset)と呼ばれる現実世界の資産に投資され、ユーザーに利回りを分配しています。

サン氏はこのプロトコルに対して影響力を持っており、ユーザーが預け入れたUSDTの運用などもコントロールしている可能性があります。そして、その資金はサン氏の個人ウォレットやHuobi、サン氏のBinanceアカウントに送金されていると噂されています。

また資金の大部分は、JustLendなどのサン氏が影響力を持つDeFi(分散型金融)プロトコルで運用されている可能性があります。

Huobiへの不審な入金

2023年8月8日、Huobiのウォレットアドレスに2億ドル相当のUSDTと、900万ドル相当のETHの大口入金が行われています。送金元のウォレットアドレスは、いずれもサン氏に紐づくものだと推測されています。

Huobiはウォレットアドレスがサン氏のものではないと回答していますが、破綻騒動が大きくなったため、事態の収拾を図るために資金を入金した可能性があります。

中国警察がHuobiを捜査?

中国警察がHuobiおよびTronに関係する社員を調査していると噂されています。Huobiが不正に関与した可能性を捜査している模様です。

インフルエンサーのアダム・コクラン氏は、この捜査に関して幹部に確認しており、間違いない情報だと主張しています。

PYUSDの上場

2023年8月8日、Huobiは大手決済プロバイダのPayPalが発行するステーブルコイン、PYUSDを上場することを発表しました。今後、PYUSDとUSDTの取引ペアを上場し、手数料を永久無料にすると発表しています。

このHuobiの対応に対してTwitterでは、手数料の永久無料を怪しむ声や、破産疑惑からユーザーを取り返すのに必死といった意見が見られます。

噂に対するHuobiの反応

Huobiはいずれの噂に関しても否定しています。HuobiおよびTronに関連する社員が中国警察の捜査を受けているとの噂に対し、HuobiコミュニティマネージャーのXandi氏がFUDだと言及しています。

point FUDとは

FUDは、恐怖や不確実性、疑念を示す言葉です。仮想通貨市場では、出所不明な情報や悪意を持った噂が広がることが多々あります。こういったFUDは、ネガティブキャンペーンのような形で大衆心理を煽って、影響を及ぼします。

また、Twitterで拡散されている破産に関する噂に関しては、Huobi公式が完全にFUDだと声明を出しています。

stUSDTとは

stUSDTのロゴバナー

画像引用:stUSDT公式Medium

stUSDTはステーキングされたUSDTをRWA(RealーWorld Asset)に投資し、ユーザーに利益を分配するプロトコルです。トロン(TRX)上で構築されており、stUSDTはUSDTと1対1の割合で発行・償還されます。

なお、一般的にRWAとは、米国債などの現実世界の資産と定義されています。

stUSDTの仕組み

stUSDTトークンは、専用のプラットフォームで発行・償還されます。

stUSDTの仕組み

ユーザーはUSDTをステーキングし、それと引き換えにstUSDTを獲得します。預け入れたUSDTは、RWAに投資されます。

RWAから発生したリターンは、stUSDT保有者に分配されます。stUSDTを償還すれば、預け入れたUSDTを取り戻すことができます。

また、stUSDTの報酬はスマートコントラクトを通じ、stUSDTの形でユーザーに自動配布されます。仕組みとしては、Lido(ライド)が発行するstETHと同じだといえるでしょう。

DAOによる管理

stUSDTのプロトコルは、RWA DAOと呼ばれるDAOによって管理されています。

point DAOとは

DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。

RWA DAOは「諮問委員会」のメンバーを任命し、RWAへの投資活動を監督します。実際には、諮問委員会が「RWAアレンジャー」という部門のメンバーを任命して、RWAアレンジャーが投資戦略の策定や調整などを行います。

現状では、RWA DAOはサン氏のJustLend DAOの管理下にあります。

投資プロセス

RWAへの投資プロセスは、次のようになっています。

  1. RWAアレンジャーの投資戦略を諮問委員会が評価
  2. RWA DAOでの事前投票
  3. コントラクトの作成と投資戦略を実行するか投票
  4. コントラクトの有効化

stUSDTの安全性は大丈夫?

従来のリキッドステーキングは、集めた仮想通貨(暗号資産)をメインネットのステーキングに割り当てて、その利益を分配しています。

point リキッドステーキングとは

リキッドステーキングとはその名前のとおり「流動性のあるステーキング」です。通常のステーキングでは、預け入れた仮想通貨がロックされる一方、リキッドステーキングでは、それと等価のLSTの現金化や送金、運用などができます。

一方でstUSDTは、集めたUSDTをRWAに投資します。RWAと一言でいってもその範囲は広く、定義が曖昧です。米国債に投資されているとの情報もありますが、現実世界の資産全てが投資対象となる可能性もあります。

またstUSDTは、DAOで管理するとの体裁になっています。しかし、実質的にはジャスティン・サン氏の影響力により、中央集権型の仕組みに近い部分もあると考えられます。

stUSDTはリリースされたばかりで、リスクを評価するのは時期尚早かもしれませんが、その仕組みに懸念すべき点があるのも事実です。

破綻すればFTX級のインパクトか

Huobiは仮想通貨(暗号資産)市場でトップクラスの規模を誇る取引所です。その規模は、OKXやBybit、Crypto.comなどに匹敵します。もしHuobiが破綻すれば、2022年のFTX級のインパクトとなる可能性も否定できません。仮想通貨市場が復調の兆しを見せているだけに、Huobiの破綻騒動が杞憂に終わるのを願いたいところです。


Date

作成日

2023.08.16

Update

最終更新

2023.08.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨USUALの将来性は?RWA活用のステーブルコインプロトコルを解説

仮想通貨USUALは、ステーブルコインプロトコル「Usual」のガバナンストークンです。Usualは、BlackRockなどからRWA(現実資産)を集約してステーブルコインを発行し、その収益をコミュニティに再分配するプロトコルとして注目を集めています。
update2024.11.20 20:00

Milton Marketsが2024年11月より最大100%分入金ボーナスを開催

Milton Marketsで期間限定の100%入金分ボーナスキャンペーンが開催されます。当記事では100%入金分ボーナスの概要や、注意点を中心に解説していきましょう。
update2024.11.20 19:30

スマホ版MT4のやさしい使い方ガイド~iPhone&Androidの基本操作~

この記事では、優先的に押さえておきたいMT4アプリの機能を5つのグループにまとめ、iPhone版とAndroid版での使い方を解説します。「基本操作を手っ取り早く確認したい!」という方はぜひご活用ください。
update2024.11.20 19:00

ZoomexがクリプトバトルZを開催!毎週開催の取引大会で現物USDTやボーナスを獲得

2024年11月1日、海外取引所のZoomex(ズーメックス)が、取引大会シリーズ「クリプトバトルZ」を開催しました。ラウンドごとの特典総額は3,480ドル相当です。当記事では、クリプトバトルZの詳細や参加方法、注意点を解説します。
update2024.11.15 20:00

ゴールドラッシュXMは本当に儲かるのか?ほぼ破綻リスクゼロのEAの実力は

ゴールドラッシュXMのランディングページで謳われている「1ヵ月で取引資金が2倍に」、「破綻リスクはほぼゼロ」という宣伝文句に違わぬ実力が備えられているのか、フォワードテスト・バックテストを実施して検証しました。
update2024.11.14 20:30

Titan FXがブラックフライデーキャンペーンを開催!取引でキャッシュバックが付与

Titan FXが、2024年11月25日(月)からブラックフライデーキャンペーンを開催します。今回のキャンペーンでは、FX通貨ペア銘柄またはゴールドを1ロット取引するごとに500円のキャッシュバックが付与されます。
update2024.11.14 20:00

XMTradingが仮想通貨CFDのスプレッドを縮小!どのくらい狭くなったか検証

2024年10月25日にXMTradingが仮想通貨CFDのスプレッドを縮小しました。この記事では、BTCUSDとETHUSDのスプレッドの計測結果やほかのFX業者と比較した結果を解説します。
update2024.11.14 19:30

Milton Marketsが11月の1万円FXチャレンジとXリポストキャンペーンを開催!

Milton Marketsで、11月の1万円チャレンジが開催されます。この記事では、開催期間や上位入賞の条件、これまでの1万円チャレンジと変わった点などを解説します。
update2024.11.14 19:00

XMTradingがお歳暮プロモを開催!100%入金ボーナスを付与

海外FX業者のXMTradingが2024年10月15日から11月15日までお歳暮プロモを開催することを発表しました。キャンペーン期間中に対象口座へ入金すると、100%の入金ボーナスが付与されます。新規・既存ユーザーの両方が対象です。
update2024.11.12 19:30

Zoomexがあったか冬支度応援キャンペーンを開催!総額76万円相当のビットコインとAmazonギフト券がもらえる

Zoomex(ズーメックス)が、あったか冬支度応援キャンペーンを開催しました。各種条件をクリアすると、総額76万円相当のビットコインとAmazonギフト券を獲得できます。キャンペーン開催期間は、2024年11月19日〜11月25日までです。
update2024.11.07 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル