作成日
:2023.08.16
2023.08.16 23:03
大手取引所のHuobi(フォビ)が破綻するという噂が、Twitter(ツイッター)上で拡散されています。真相は不明ですが、顧客資産をカバーするだけの十分な準備金を持っていないとの見解が広まっている状況です。
ジャスティン・サン氏が関与するstUSDTが不正に利用されているとの噂もあり、ユーザーの間で不安が広がっています。
当記事では、Huobiの破綻に関する怪しい噂や、stUSDTの仕組み、安全性について解説します。
仮想通貨(暗号資産)コミュニティでは、大手取引所Huobiが破綻するとの噂が広まっています。昨年から、Huobiは経営不振に陥っているとの噂がありましたが、ここに来てその噂が再燃しています。
画像引用:Huobi
この噂によって、Huobiユーザーは危機感を覚えており、取引所から出金を急ぐ流れが拡大しています。
2023年8月7日、ブロックチェーン分析ツールを提供するNansenは、Huobiからの資金流出額が過去24時間で約3,300万ドルに達したと報告しています。その規模は、Huobiが管理する資産全体の1%以上に相当します。
また、Huobiが所有する資産の50%以上が、Huobiやジャスティン・サン氏に関連するトロン(TRX)、フォビトークン(HT)、stUSDTで占められている点にも懸念が広がっています。
画像引用:DeFiLlama
ジャスティン・サン氏は、人気ブロックチェーン、トロン(TRX)の生みの親として知られています。2023年、Huobiはジャスティン・サン氏がリーダーとして同社を率いている事実を明らかにしました。現在でも、仮想通貨市場で強い影響力を持った人物として知られています。
Twitter(ツイッター)上では、Huobiの破綻に関する情報が飛び交っています。現時点で何が真実かは明らかではありませんが、噂されている主な内容は次の通りです。
業界関係者でインフルエンサーでもあるアダム・コクラン氏はTwitterにて、Huobiが準備金を確保していないと指摘しています。
2023年8月7日時点のアダム氏のツイートによると、Huobiが持つ約25億ドルの資産のうち、トロン(TRX)、ビットコイン(BTC)、フォビトークン(HT)、フォビビットコイン(HBTC)が約22億1,400万ドルを占めています。
残り約2億8,600万ドルの資産が残りますが、2023年7月1日時点のHuobiのPoR(プルーフ・オブ・リザーブ)によると、USDTだけでも約6億3,100万ドルの準備金を確保しているとしています。
画像引用:Twitter
PoRは、英語のProof of Reserveの頭文字を取った略称で、日本語で「準備金の証明」と訳されます。取引所が十分な準備金を保有していることを証明するために利用されます。具体的には、取引所が第三者の監査機関に調査を依頼し、監査結果を公開します。
つまり、トロンやビットコインなどの主要な仮想通貨を除く、その他の全て資産を合計しても、PoRに記載されているUSDTの準備金の半分にも満たないことになります。
アダム氏のツイートが正しい場合、Huobiは準備金を確保していない可能性が高いといえるでしょう。こういった噂により、Huobiの経営破綻に対する懸念が高まっています。
トロン(TRX)ブロックチェーン上では、stUSDTと呼ばれるプロトコルがリリースされています。USDTをトロン上のプロトコルに預け入れると、ユーザーにはstUSDTが付与される仕組みとなっています。
ステーキングされたUSDTは、RWA(RealーWorld Asset)と呼ばれる現実世界の資産に投資され、ユーザーに利回りを分配しています。
サン氏はこのプロトコルに対して影響力を持っており、ユーザーが預け入れたUSDTの運用などもコントロールしている可能性があります。そして、その資金はサン氏の個人ウォレットやHuobi、サン氏のBinanceアカウントに送金されていると噂されています。
また資金の大部分は、JustLendなどのサン氏が影響力を持つDeFi(分散型金融)プロトコルで運用されている可能性があります。
2023年8月8日、Huobiのウォレットアドレスに2億ドル相当のUSDTと、900万ドル相当のETHの大口入金が行われています。送金元のウォレットアドレスは、いずれもサン氏に紐づくものだと推測されています。
Huobiはウォレットアドレスがサン氏のものではないと回答していますが、破綻騒動が大きくなったため、事態の収拾を図るために資金を入金した可能性があります。
中国警察がHuobiおよびTronに関係する社員を調査していると噂されています。Huobiが不正に関与した可能性を捜査している模様です。
インフルエンサーのアダム・コクラン氏は、この捜査に関して幹部に確認しており、間違いない情報だと主張しています。
2023年8月8日、Huobiは大手決済プロバイダのPayPalが発行するステーブルコイン、PYUSDを上場することを発表しました。今後、PYUSDとUSDTの取引ペアを上場し、手数料を永久無料にすると発表しています。
このHuobiの対応に対してTwitterでは、手数料の永久無料を怪しむ声や、破産疑惑からユーザーを取り返すのに必死といった意見が見られます。
Huobiはいずれの噂に関しても否定しています。HuobiおよびTronに関連する社員が中国警察の捜査を受けているとの噂に対し、HuobiコミュニティマネージャーのXandi氏がFUDだと言及しています。
FUDは、恐怖や不確実性、疑念を示す言葉です。仮想通貨市場では、出所不明な情報や悪意を持った噂が広がることが多々あります。こういったFUDは、ネガティブキャンペーンのような形で大衆心理を煽って、影響を及ぼします。
また、Twitterで拡散されている破産に関する噂に関しては、Huobi公式が完全にFUDだと声明を出しています。
画像引用:stUSDT公式Medium
stUSDTはステーキングされたUSDTをRWA(RealーWorld Asset)に投資し、ユーザーに利益を分配するプロトコルです。トロン(TRX)上で構築されており、stUSDTはUSDTと1対1の割合で発行・償還されます。
なお、一般的にRWAとは、米国債などの現実世界の資産と定義されています。
stUSDTトークンは、専用のプラットフォームで発行・償還されます。
ユーザーはUSDTをステーキングし、それと引き換えにstUSDTを獲得します。預け入れたUSDTは、RWAに投資されます。
RWAから発生したリターンは、stUSDT保有者に分配されます。stUSDTを償還すれば、預け入れたUSDTを取り戻すことができます。
また、stUSDTの報酬はスマートコントラクトを通じ、stUSDTの形でユーザーに自動配布されます。仕組みとしては、Lido(ライド)が発行するstETHと同じだといえるでしょう。
stUSDTのプロトコルは、RWA DAOと呼ばれるDAOによって管理されています。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
RWA DAOは「諮問委員会」のメンバーを任命し、RWAへの投資活動を監督します。実際には、諮問委員会が「RWAアレンジャー」という部門のメンバーを任命して、RWAアレンジャーが投資戦略の策定や調整などを行います。
現状では、RWA DAOはサン氏のJustLend DAOの管理下にあります。
RWAへの投資プロセスは、次のようになっています。
従来のリキッドステーキングは、集めた仮想通貨(暗号資産)をメインネットのステーキングに割り当てて、その利益を分配しています。
リキッドステーキングとはその名前のとおり「流動性のあるステーキング」です。通常のステーキングでは、預け入れた仮想通貨がロックされる一方、リキッドステーキングでは、それと等価のLSTの現金化や送金、運用などができます。
一方でstUSDTは、集めたUSDTをRWAに投資します。RWAと一言でいってもその範囲は広く、定義が曖昧です。米国債に投資されているとの情報もありますが、現実世界の資産全てが投資対象となる可能性もあります。
またstUSDTは、DAOで管理するとの体裁になっています。しかし、実質的にはジャスティン・サン氏の影響力により、中央集権型の仕組みに近い部分もあると考えられます。
stUSDTはリリースされたばかりで、リスクを評価するのは時期尚早かもしれませんが、その仕組みに懸念すべき点があるのも事実です。
Huobiは仮想通貨(暗号資産)市場でトップクラスの規模を誇る取引所です。その規模は、OKXやBybit、Crypto.comなどに匹敵します。もしHuobiが破綻すれば、2022年のFTX級のインパクトとなる可能性も否定できません。仮想通貨市場が復調の兆しを見せているだけに、Huobiの破綻騒動が杞憂に終わるのを願いたいところです。
作成日
:2023.08.16
最終更新
:2023.08.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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