作成日
:2023.08.09
2023.10.29 16:59
2023年8月7日、PayPal(ペイパル)は、独自ステーブルコインのPYUSD(PayPal USD)を発表しました。
大手決済プロバイダPayPalのステーブルコインということもあり、その影響力は大きく、全世界から注目が集まっています。PYUSDは、一般的な中央集権型のステーブルコインです。今のところ、PYUSDは米国ユーザーに購入資格が与えられています。
当記事では、PayPalによる発表の内容に加え、PYUSDの概要や特徴、将来性などを解説します。
2023年8月7日、PayPalがPYUSD(PayPal USD)のリリースを発表しました。
画像引用:ペイパル公式サイト
PayPalは、米大手オンライン決済プロバイダで、日本国内にもサービスを展開しています。以前から仮想通貨(暗号資産)関連の機能を統合しており、Web3.0での決済需要に対応するため、初のステーブルコインとなるPYUSDを発表しました。
Web3.0とは分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
公式のプレスリリースにて、PayPalのCEOダン・シュルマン氏は「デジタル通貨への移行には、デジタルネイティブで米ドルなどの法定通貨と接続できる安定した手段が必要です」とコメントしています。
PYUSDは、PayPalのネットワーク内でサポートされる唯一のステーブルコインです。家族や友人との個人間送金や、商品購入時の決済、国際送金などに利用できるとされています。
また、イーサリアム上で発行されるERC−20トークンであり、仮想通貨(暗号資産)取引所やDApps(分散型アプリケーション)などでの利用も想定されています。
分散型アプリケーション(DApps)とは、管理者不在で自律的に行動を行う非中央集権のアプリケーションのことをいいます。「Decentralized Applications」の略称で、Dappsと呼ばれることもあります。ブロックチェーンを利用したサービスなどを提供するアプリケーションの総称であり、中央管理ではなく分散管理であるためサーバーダウンによるサービス停止の心配も少ないといった特徴を持ちます。
PYUSDは、米ドルの価格に連動するように設計されています。PYUSDの価値は準備金によって裏付けられており、米ドルと1対1で交換可能です。
当記事執筆時点(2023年8月8日)では、PYUSDは米国のPayPalアカウントを保有するユーザーが利用できるとされています。
PYUSDは、以下の用途で利用できます。
基本的にPYUSDの利用に手数料はかかりません。アプリ上でのPYUSDの売買や保有、送金は全て無料です。しかし、イーサリアムネットワーク対応のウォレットに送金する場合、ネットワーク手数料が発生する場合があります。
また、PYUSDと他の仮想通貨の両替に関しては、PayPalのプラットフォームで規定されている手数料が発生します。
PYUSDは、その価値が準備金によって担保されています。具体的には、米ドルや米国債、現金に準ずる安全性の高い資産を準備金としています。
画像引用:パクソス公式サイト
PYUSDは、PayPalのステーブルコインですが、パートナーのパクソス(Paxos)社によって発行・管理されます。パクソスは、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に規制監督を受けている企業です。
2023年9月以降は、準備金報告書を毎月公開し、準備金の運用が公正に行なわれていることを示していく予定です。また、米国公認会計士協会(AICPA)の基準に則った、第三者による準備資産証明書も発行します。
PYUSDの仕組み自体は、ごく一般的な中央集権型のステーブルコインです。しかし、 PYUSDは他のステーブルコインと比較すると、より厳格な規制に守られたステーブルコインだと考えられます。
発行会社のパクソスは、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)のライセンスを取得した企業です。そのため、PYUSDはアメリカ規制下で、明確にコントロールされているといえるでしょう。
万が一、パクソスが倒産したとしても規制当局が介入し、顧客資産が守られる可能性があります。
PYUSDの将来性は高いと考えられます。その理由を考察します。
PayPalは、200以上の国と地域で、4億3,000万人を超えるユーザーに利用されています。当記事執筆時点(2023年8月8日)、PYUSDは米国ユーザーのみ利用できるとされていますが、将来的に対象となるユーザーは拡大していく可能性があります。
CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)によると、世界最大のステーブルコインUSDTでさえ、ホルダーのウォレット数が400万アカウント程度なので、PayPalのユーザーベースの規模は桁違いです。
PYUSDがPayPalユーザーに普及すれば、世界最大のステーブルコインになる可能性も十分に考えられます。
米国内の仮想通貨(暗号資産)市場では、環境の変化や規制当局の締め付け強化で、波乱の展開が巻き起こっています。ステーブルコインも影響を受けており、その勢力図が変わりつつあります。
以下の画像は、コインベースとサークル社が発行するUSDCの時価総額の推移です。
USDCは、シリコンバレー銀行の破綻をきっかけに、ユーザーのリスク回避の動きで時価総額が低下し続けています。USDCの準備金の一部は、シリコンバレー銀行に保管されていました。
画像引用:CoinMarketCap
シリコンバレー銀行は、FRB(米連邦準備制度)の度重なる利上げで保有国債の価格が下落し、多額の評価損を抱えていました。これが引き金となり、預金者の取り付け騒ぎに耐えることができず、経営破綻を起こします。シリコンバレー銀行は、仮想通貨業界に好意的な銀行として知られていました。
BUSDも米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)に発行停止を命令され、時価総額が激減しています。Binanceの米国向けサービスBinance.usは、BUSDの通貨ペアを上場廃止するに至っています。
このように、米国内では主要なステーブルコインが失速しており、PYUSDにとって好機といえるような状況となっています。上手くいけば、米国内の需要を総取りできるかもしれません。
PayPalは、Web3.0との架け橋とすべく、PYUSDをリリースしました。当記事執筆時点(2023年8月8日)では、送金や決済など、基本的な利用例しかありませんが、将来的にエコシステムが拡大していくと考えられます。利用例が増えれば、より実用的なステーブルコインとなるので、今後が楽しみな存在です。
作成日
:2023.08.09
最終更新
:2023.10.29
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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