作成日
:2023.05.02
2024.09.02 23:06
2022年11月に起こったFTXの破綻騒動を受け、仮想通貨(暗号資産)コミュニティでは取引所の安全性について関心が高まっています。各取引所は信用の獲得に努めていますが、どこが安全なのか気になる人は多いでしょう。
本記事では、Bybit(バイビット)の安全面に焦点を当てます。本記事を執筆するにあたり、Myforex編集部からBybit担当者に問い合わせており、そこで得られた回答も踏まえて記載していきます。
Bybit(バイビット)の安全性に関する事項を7つに分けて紹介します。
Bybitはドバイに本社を構えています。ドバイは中東のアラブ首長国連邦を構成する都市であり、その中心地は高層ビルが立ち並ぶ巨大都市となってます。
画像引用:ビジット・ドバイ
以前、Bybitの本社機能はシンガポールにありましたが、ドバイに移転しています。
シンガポールは仮想通貨(暗号資産)の規制が厳しい一方、ドバイは世界の中心地になるために仮想通貨関連企業を積極的に受け入れています。これを受けて、Bybitは2022年にドバイに移転しました。
なお、Binance(バイナンス)やCrypto.com(クリプトドットコム)など複数の有名企業も、ドバイにオフィスを構えています。
下はBybitのプレスリリースの写真です。BybitのCEOであるBen Zhou氏とドバイ政府の協力関係がうかがえます。
画像引用:Bybit
また、下はドバイオフィスの様子です。ドバイのビル「One Central(ワン・セントラル)」内にあります。オフィスの所在地を公開している海外取引所は珍しく、Bybitの情報公開に対する意識の高さが伺えます。
画像引用:Bybit
画像引用:Bybit公式Youtube
BybitのCEOはBen Zhou氏で、経歴を見ると精力的に活動してきた様子が分かります。
10代の頃にニュージーランドで過ごし、その後、アメリカの大学に進学しました。卒業後は中国に帰国し、FXブローカーのXMで7年間働いています。このときに仮想通貨に出会い、魅了されました。
そこで、YouTubeで情報発信を積極的に行い、これはBybit設立直前まで続きました。情報発信する中で、FX業界と比較して仮想通貨業界のサービスレベルの低さを痛感します。これを受けて、2018年に自ら仮想通貨取引所を立ち上げました。これがBybitです。
この経緯は、Bybitの行動指針「listen, care, improve」(お客様の声に耳を傾け、より良いサービスを提供する)に反映されています。
2018年の設立後、Bybitは急速に事業を拡大し、当記事執筆時点(2023年4月)で世界有数の規模を誇る取引所に成長しました。
2018年、Bybitはビットコインの無期限取引からサービスを始めました。この取り組みは成功し、早くも2019年には全世界のビットコイン取引量の10%を占めるまでに成長しました。また、世界第4位の取引所となり、トレード大会では8,000名の参加者を集めました。
その後も順調に業容を拡大し、2020年には1日の取引金額が40億ドルを超えました。そして、2021年には現物取引も開始し、さらに2022年にはUSDCを証拠金としたオプション取引も開始しました。
この結果、2023年4月時点で、サービス利用者は160か国の1,000万人以上となっています。
また、公式ツイッターのフォロワー数も激増しました。2019年8月のフォロワー数は3万。そして、2020年11月に9万5,000、2021年6月に15万、2022年1月に100万と急増し、2023年4月には257万人を記録しています。
2022年にFTXが経営破綻し、顧客資産を不正に使い込んでいた事実が明らかになりました。これを受けて、CEX(中央集権型取引所)への信頼感が揺らいでいます。
各取引所が顧客資産を適切に管理しているかどうかに注目が集まり、これを受けて各CEXはプルーフ・オブ・リザーブ(PoR)を公開するようになりました。これは、各取引所が自身のウォレットと仮想通貨残高を公開する仕組みです。この公開により、各取引所は顧客資産を適切に保管していることを示そうとしています。
しかし、PoRは監査の代わりになる水準にはなく、参考程度の扱いにしかなりません。
とはいえ公開しないと、やましい部分があると疑念が出る可能性があります。ないよりはあるほうが良く、BybitもPoRを公開しています。
画像引用:Bybit
また、PoRの一環として、残高に着目したデータを一覧で公開しています。これによると、ビットコイン(BTC)など主要な20の仮想通貨について、Bybitの保有残高は顧客資産よりも大きいことが示されています。
さらに、Bybitが所有するウォレットの残高について、第三者機関(Nansen)のホームページで詳細を公開しています。
画像引用:Nansen
ただし、この情報も完全ではありません。ページの冒頭に、ウォレット残高は取引所の保有資産だと保証できない旨が記載されています。
顧客資産の適切な管理につき、ユーザーの目は厳しくなっています。しかし、Bybitとしては、PoRやNansen以外の方法で健全性を証明するのは難しいです。各取引所は、どうすれば健全性を証明できるか、これからも試行錯誤していくことになるでしょう。
FTXは顧客に無断で顧客資産を流用し、これが経営破綻の要因の一つになりました。Bybitによると、Bybitは顧客資産を流用しておらず、顧客資産と会社資産を区別して管理しています。
画像引用:Bybit
なお、顧客資産の80%はコールドウォレット、10%はウォームウォレット、そして残り10%はホットウォレットで管理されています。また、コールドウォレットはマルチシグで管理されているので、盗難に強い仕組みになっています。
コールドウォレットとは、インターネット環境に接続していないウォレットを指します。一方、ホットウォレットはインターネットに接続しており、仮想通貨の送受信に便利な一方でセキュリティがやや弱くなります。ウォームウォレットは、この2つのウォレットの中間に位置します。
ウォレットから仮想通貨を送金するには、秘密鍵を持つユーザーの署名が必要です。マルチシグウォレットは、複数のユーザーの署名を必要とするウォレットで、その分だけ安全性が高くなります。
仮想通貨情報を網羅したサイトは複数あり、その中でも有名なのはCoinMarketCap(コインマーケットキャップ)とCoinGecko(コインゲッコー)です。
CoinMarketCapによると、当記事執筆時点(2023年4月)でBybitは現物取引で世界第6位、デリバティブ取引で世界第2位を誇ります。
CoinGeckoによると、Bybitはデリバティブ取引で世界第3位を誇ります。また、取引数量などで計測される信頼スコアは10点満点であり、世界第4位となっています。
その他、セキュリティはAと評価されています。最高ランクはAAAであり、判定基準等が未公開ではありますが、Bybitは世界の取引所の中で上位に位置づけられています。
CoinMarketCapやCoinGeckoは外部から取得可能なデータで各取引所を評価しており、全てを評価できているわけではありません。とはいえ、入手可能なデータにおいては高評価となっており、ユーザーが集まっている様子が分かります。
レバレッジ取引をすると、仮想通貨価格の変動で強制ロスカットになる場合があります。値動きによっては、口座残高よりも大きな損失になる可能性もあります。
しかし、Bybit(バイビット)はゼロカットシステムを採用しており、顧客は口座残高以上に損することはありません。
ゼロカットシステムとは、口座残高以上に損しないという仕組みです。例えば、口座残高100万円で取引した結果、130万円の損を計上したとします。この場合、30万円は切り捨てになって100万円の損として扱われます。
口座残高がゼロになるのは痛いですが、追加入金して口座残高のマイナスを埋める必要はありません。このため、安心して高レバレッジで取引できます。
では、この切り捨てされた30万円をどうやって埋め合わせするのでしょうか。保険基金(Insurance Fund)が別途設定されており、その資金を使用します。
顧客が強制ロスカットになると、残高はいつもマイナスになるわけではありません。残高が残る場合もあります。この残高を回収して保険基金に積み立てておき、マイナスの補填に使います。
すなわち、強制ロスカットになると残高は自動的にゼロになります。ゼロカットシステムがあるとはいえ、強制ロスカットになると損することに変わりはありません。強制ロスカットにならないよう、適切な資金管理が必要です。
Bybit(バイビット)の利用を検討している人は、Bybit利用者の評判や口コミが気になるのではないでしょうか。
そこで、2023年11月〜2023年4月の半年間を中心に、Bybitに対する日本ユーザーの評判・口コミを調査しました。良いものと悪いものに分けて紹介します。
まずはBybitの良い評判・口コミを4つ紹介します。
BybitのWebサイトやアプリは、使いやすく便利という口コミが多くありました。Bybitのサービスは直感的なデザインにより、初心者から上級者まで幅広いユーザーがスムーズに取引を行うことができます。
Bybitの日本語対応やサポートの充実に関する、好意的な口コミが多くありました。
日本語対応の海外取引所の中には、日本語の不自然さが目立つところもありますが、Bybitのサイトやアプリは、日本の取引所と遜色ないレベルで違和感なく使えます。また、日本語での問い合わせにも対応しており、安心して使える点でも高評価を得ているようです。
Bybitの日本語対応は、ほかの海外取引所と比べると比較的高い水準です。しかし、問い合わせ内容や担当者によっては、誤った回答やズレた回答が返ってくるケースもあります。
Bybitに限ったことではありませんが、上記のようなケースもあり得ることは知っておきましょう。
Bybitでは次々に新たな仮想通貨が上場しており、売買できる銘柄数が豊富です。現物で300通貨以上の取り扱いがあり、日本の仮想通貨取引所に比べると圧倒的な銘柄数の多さに魅力を感じている口コミが多くありました。
国内外の主な仮想通貨取引所の通貨数(現物)は下記のとおりです。(2023年4月24日時点)
海外(*1)
日本(*2)
コインチェック | 18 |
bitFlyer | 21 |
ビットバンク | 29 |
(*1)参考:CoinMarketCap
(*2)参考:日本暗号資産協会「取扱暗号資産及び暗号資産概要説明書」
Bybitでは常時、新規銘柄の上場やローンチパッド、入金キャンペーンなど豊富なイベントが実施されています。SNS上でも、こうしたイベントについての情報交換やコメントが盛んです。
Bybitの利用を考えている方は、お得なキャンペーンもチェックしてみると良いでしょう。以下の記事では、Bybitの登録方法や登録後に利用できる特典を記載しています。
Bybitの悪い評判はそれほど多くありませんでしたが、下記の4点が目立ちました。
2023年3月31日に、金融庁がBybitを含む海外取引所4社に、無登録で仮想通貨取引を提供しているとして警告しました。Bybitは2021年にも同様の警告を受けています。
これを受けてBybitも、バイナンスのように日本人ユーザーの新規登録停止や、日本語サイトの廃止になるのではないか、と心配する声が見られました。
金融庁は、国内で事業を展開する仮想通貨取引所に対して厳格な規制を設けており、事業者は登録を受ける必要があります。登録を受けていない海外の仮想通貨取引所が、インターネットを通じて日本居住者にサービスを提供している場合、警告を出しています。
海外大手取引所のバイナンスは2021年の警告を受けて、翌年に規制を遵守する形での日本進出を発表し、グローバルサービスへの日本人ユーザーの新規登録と日本語サイトを停止しました。
2022年11月に発生したFTX破綻の近辺では、Bybitも流動性危機が疑われ、破綻するのではとの噂がありました。
当時、各取引所がウォレットアドレスを公開して安全性をアピールする中、Bybitは公開が遅れたためです。
その後、Bybitもウォレットアドレスを公開し、FTXと比べて良好な管理体制が判明したことで破綻の懸念は和らぎました。
Bybitから国内の取引所やウォレットへ出金する際に時間がかかるという口コミが見られました。
Bybitでは出金処理をリアルタイムに行っていますが、最大で15分程度かかるとされています。そこから、ブロックチェーンの混雑状況によっては、さらに時間がかかる場合もあるため、余裕を持って出金しましょう。
出金に関して、手数料が高いという声も上がっていました。
実際にはどうでしょうか。主要な通貨の出金手数料を、BybitとBinanceで比較してみましょう(調査日:2023年4月25日)。
仮想通貨 | Bybit | Binance |
---|---|---|
BTC (Bitcoin) |
0.0002 BTC | 0.0002 BTC |
ETH (ERC20) |
0.0015 ETH | 0.00182 ETH |
XRP (Ripple) |
0.25 XRP | 0.2 XRP |
USDT (ERC20) |
5.5 USDT | 7 USDT |
USDC (ERC20) |
4.5 USDC | 7 USDC |
Bybit
BTC (Bitcoin) |
0.0002 BTC |
ETH (ERC20) |
0.0002 BTC |
XRP (Ripple) |
0.25 XRP |
USDT (ERC20) |
5.5 USDT |
USDC (ERC20) |
4.5 USDC |
Binance
BTC (Bitcoin) |
0.0002 BTC |
ETH (ERC20) |
0.00182 ETH |
XRP (Ripple) |
0.2 XRP |
USDT (ERC20) |
7 USDT |
USDC (ERC20) |
7 USDC |
出金手数料はネットワークによっても異なります。USDTの出金手数料を、ネットワークで比較すると以下のようになります。
ネットワーク | Bybit | Binance |
---|---|---|
イーサリアム (ERC20) |
5.5 USDT | 7 USDT |
トロン (TRC20) |
2 USDT | 1 USDT |
BSC (BEP20) |
0.3 USDT | 0.3 USDT |
アービトラム | 0.3 USDT | なし |
Bybit
イーサリアム (ERC20) |
5.5 USDT |
トロン (TRC20) |
2 USDT |
BSC (BEP20) |
0.3 USDT |
アービトラム | 0.3 USDT |
Binance
イーサリアム (ERC20) |
7 USDT |
トロン (TRC20) |
1 USDT |
BSC (BEP20) |
0.3 USDT |
アービトラム | なし |
Bybitの出金手数料は、Binanceと同じ水準と言えます。
ただし、少額を出金すると手数料負けしやすくなります。そのため、出金する際にはある程度の金額をまとめて行うのがおすすめです。
手数料を抑えたい場合には、ArbitrumやOptimismなどのレイヤー2チェーンの利用も検討すると良いでしょう。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
多くのレイヤー2チェーンは効率的かつ安価に利用できるよう設計されており、手数料も低く抑えられます。
Bybit(バイビット)は、2018年の設立から順調に事業を拡大し、現在では世界有数の規模を誇る取引所となっています。
最近でも、次々と新たなサービスの導入やキャンペーン、新規通貨の上場を打ち出しており、積極的な経営姿勢でさらなる発展が期待されます。
ただし、日本のユーザーにとっては、金融庁による2度目の警告が気がかりなニュースです。日本向けのサービスに影響する可能性もあるため、今後の対応を見守る必要があります。
作成日
:2023.05.02
最終更新
:2024.09.02
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