作成日
:2021.08.10
2022.04.20 12:28
米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】は、スマートコントラクトおよびDeFi(分散型金融)技術を利用して3,000万ドルを超える未登録証券を売り出したとして、ケイマン諸島の法人を運営するフロリダ州の男性2名を起訴した。
SECによると、グレゴリー・キーオ氏およびデレク・アクリー氏、両人が所有するBlockchain Credit Partnersは、2020年2月から2021年2月までDeFi Money Marketと呼ばれるプロジェクトを通じて2種類の仮想通貨(暗号資産)を販売していたという。ひとつは6.25%の利息を付与するmTokens、もうひとつは同プロジェクトにおける投票権を担保するガバナンストークンのDMGだ。DeFi Money Marketは自動車ローンなどの収益を生む現実世界の資産を購入してその利益を分配すると投資家に約束していたが、実際に資産購入は行われておらず、運営者個人および別会社の資金が償還に充てられていた。
これに対してSECは、mTokensおよびDMGが債券および投資契約に該当すると同時に、証券取引法に違反すると判断した。SECは合計1,284万9,354ドルの不正利得の返還、および、キーオ氏とアクリー氏にそれぞれ12万5,000ドルの罰金の支払いを求めている。既に両人はこれに合意しており、DeFi Money Marketのスマートコントラクトを介して投資家が元本と利息を受け取れるようにしているという。
SECの執行部門でディレクターを務めるダニエル・マイケル氏は、DeFi Money Marketが分散型やガバナンストークンを主張したとしても、同プロジェクトに違法性があったことには変わりないと言及している。この件をきっかけにDeFi分野での取り締まりが強化される可能性があるが、仮想通貨を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もSECの取り組みを見守っていきたい。
release date 2021.08.10
出典元:
ニュースコメント
米国で拡大するDeFi関連サービスに懸念
DeFi市場の拡大に伴い、米大手仮想通貨取引所はDeFiトークンの上場を強化しているという。例えば、昨年だけで7種類のDeFiトークンを上場したジェミニや、今年3月にSUSHI(SushiSwap)およびMATIC(Polygon)、SKL(SKALE)の3種類のアルトコインを上場したコインベースなどがDeFiトークンの取り扱いを強化する方針を示している。今の所、米国ではDeFi関連サービスを規制する法律は施行されていないものの、米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission, CFTC)は多くのDeFiプロジェクトが違法である可能性が高いと指摘しているようだ。これら取引所に加え、モバイル決済会社のSquareがDeFiプラットフォーム立ち上げを計画するなど、既に米国では同分野のサービスが普及し始めているが、当局はどのような判断を下すのか、今後も米国での動きに注目していきたい。
作成日
:2021.08.10
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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