作成日
:2021.08.10
2022.04.20 12:28
米議会で検討が進められているインフラ法案に関して、新しい仮想通貨(暗号資産)税制に対する議論が難航しており、最終的な投票が延期されたことが明らかになった。
バイデン政権の主要な経済政策として推進されるインフラ法案は、1兆ドルを超える大規模なインフラ投資に向けた枠組みを制定することを目的としている。現在、米議会ではその財源を確保するために仮想通貨税制を強化することが議論されているが、複数の議員が反発し、いくつかの修正案が提出されているようだ。原案では「ブローカー」と定義される仮想通貨関連企業に税申告義務を課すことが提案されており、これに対して米共和党のパット・トゥーミー議員やロン・ワイデン議員、シンシア・ルミス議員らはマイニング事業者やウォレットプロバイダー、開発企業などを対象から除外するよう求めているという。
一方、米民主党は特定の分野を対象外とすることが税務コンプライアンスを回避するための抜け道となる可能性があるとの考えを示しており、特にエリザベス・ウォーレン議員やシェロッド・ブラウン議員などのリベラル派は、消費者保護の観点から厳格な仮想通貨規制を歓迎している。仮想通貨税制の強化は今後10年間で約280億ドルの税収を生むと予想されていることから、予算確保の点からもバイデン政権のインフラ法案を前進させる鍵になると考えられているようだ。
しかしながら、仮想通貨税制の強化がイノベーションを阻害するとの声も党派を超えて挙がり始めており、例えば、テッド・クルーズ議員はこの法案が仮想通貨市場に壊滅的な打撃を与えると述べている。また民間でも、Twitter(ツイッター)およびSquare(スクエア)のCEOを務めるジャック・ドーシー氏が、厳しすぎる規制は仮想通貨関連企業の海外流出につながると言及するなど、主要なインフルエンサーが問題点を指摘している。その他、Fight for the Futureと呼ばれる新興技術の推進団体や、仮想通貨業界のロビー団体であるBlockchain AssociationおよびCoin Center、Digital Currency Groupなどもこの法案を強く批判しているという。
米議会は今月10日に最終投票を行うことを予定しているが、どのような決定になるのか、今後も米国での動きを見守っていきたい。
release date 2021.08.10
出典元:
ニュースコメント
米規制導入でビットコイン価格が低迷する可能性
今年6月末、中国政府が仮想通貨の規制強化に動いたことを背景に、ビットコイン価格は一時3万ドル割れの展開を見せた。現在、ビットコイン価格は4万ドルの大台を超える所まで復調しているが、米議会が新たな仮想通貨税制の導入を決定すれば、同仮想通貨は再び低迷に向かう可能性があると言えるだろう。特にビットコインのマイニング難易度が過去最低を記録するなど、同ネットワークの指標も弱気な傾向を示しているだけに、そのインパクトは軽視できない状況だ。今年1月にバイデン政権が発足した際には、仮想通貨規制への警戒感から好調だったビットコイン価格が約10%暴落する場面も見受けられた。ここ1ヶ月間、ビットコイン価格は3万ドルから4万5,000ドルのレンジで安定的に推移してきたが、どのような値動きを見せるのか、今後も仮想通貨市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.08.10
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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