作成日
:2021.03.01
2024.07.29 12:02
英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】は、未認可の預金取扱及び集団投資スキーム(Collective Investment Schemes)【以下、CISと称す】に関連した投資詐欺の被害者に対し、340万ポンドの返還を許可する裁判所命令を取得したことを発表した。
FCAは、Samuel氏とShantelle Golding氏が、Digital Wealth LimitedやDigital Wealth Society【以下、DWSと称す】、Outsourcing Express Limited【以下、OELと称す】といった会社を通じて投資詐欺を行っていたと断言している。両氏が用いたCISは、投資金額に対して最大100%のリターンを提供する非現実的なものであり、新規投資家の資金を既存投資家へ提供するリターンの原資としていたという。Samuel氏とShantelle Golding氏は、実際には取引を行っておらず、中国から卸売商品を購入・販売していた模様だ。尚、両氏は投資詐欺への関与を認めているという。
今回の投資詐欺では、1,000人以上の個人投資家から1,500万ポンド以上の資金を集めたという。FCAは、詐欺師が集めた資金を預けていた複数の銀行口座から342万8,612ポンドの回収に成功し、DWSの預金取扱スキームを利用した356人の投資家と、OELのCISスキームを利用した250人の投資家に資金を返還する方針だ。また、同機構は残余財産処分の回避を試みたが、DWSで328万5,413ポンド、OELで83万4,402ポンドの資金が不足しているという。
投資詐欺に絡む資金の返還に際し、FCAのエンフォースメント(法執行)・市場監督部門エグゼクティブディレクターを務めるMark Steward氏は以下のようにコメントしている。
我々は今回の投資詐欺に絡んだ新たな被害者を生み出さないために、違法行為に気づいた時点ですぐに行動を起こしました。未認可のこれら企業から一定の資金を回収できましたが、個人投資家の皆様は、今回のように余りにも良くできた投資スキームに投資することはやめるべきでしょう。我々はこれらの投資詐欺に絡む資金の返還を求めることができる人の特定に努めてきた結果、資金を回収して返還できることを喜ばしく思っております。
Mark Steward, Executive Director of Enforcement and Market Oversight at the FCA - FCAより引用
FCAを含むグローバル各国当局が、投資詐欺に対する監視の目を強めることで、より健全な市場が形成されることに期待したい。
release date 2021.03.01
世界中で投資詐欺が蔓延する中、グローバル各国当局が個人投資家保護に向けた取り組みを強化している。直近では、大規模な詐欺被害の発生を受けて南アフリカFSCAが仮想通貨規制の導入を提案している。また、MASはエンフォースメントレポートを公表し、違法行為に対して厳格な措置を講じる姿勢を示している。このような市場環境下において、個人投資家が安心して取引できる海外FXブローカーを選択する際の目安として、取引の透明性やコンプライアンスの徹底に加え、外部紛争解決(EDR)機関であるFinancial Commission【以下、FinaComと称す】への加入も挙げられる。同機関に加入する企業を相手取った訴訟において、トレーダーは1件当たり最大20,000ユーロの補償を受けることが可能であり、ブローカーにとっては、投資家に安心・安全な取引環境をアピールすることができる。直近では、安定性の高いトレード環境を提供するTitan FXがFinaComより認証を取得している。世界各地で投資詐欺が頻発する中、安心・安全な取引環境の構築に向けた取り組みを強化している海外FXブローカーに注目したい。
作成日
:2021.03.01
最終更新
:2024.07.29
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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