作成日
:2021.01.29
2021.08.31 15:31
南アフリカの金融当局である金融業界行為監督機構(Financial Sector Conduct Authority)【以下、FSCAと称す】が、国内で横行する仮想通貨を用いた詐欺的な行いを撲滅するために、仮想通貨規制の導入を提案していることが明らかになった。
これまでFSCAは仮想通貨規制を実現できずにいたが、MTI(Mirror Trading International)と呼ばれる企業が約2万8,000人の投資家から資金を騙し取った、南アフリカ最大の詐欺事件が発生したことを受け、新たな規制の導入に動き出したという。MTIは最低月利10%のリターンを付与することを約束し、7億4,000万ドル相当の約2万3,000BTCを一般の投資家から集めていた。先月、南アフリカの裁判所がMTIに暫定的な精算命令を出したものの、同社は会計帳簿や顧客情報すら保有していなかったようだ。
MTIの経営陣は、CEOで詐欺事件の首謀者であるJohann Steynberg氏に責任の所在があると主張しているが、既に同氏は国外に逃れており、行方が分からなくなっているという。これに関してFSCAの責任者であるBrandon Topham氏は警察と検察が迅速に動き、このようなポンジスキームを取り締まる必要があるとコメントしている。
昨年7月、米テキサス州の規制当局はMTIが不正を行っていると断定した。FSCAも同社がライセンスなしで金融サービスを運営していたと結論付けており、仮想通貨市場に対する規制の重要性が浮き彫りになっているが、最終的に南アフリカ政府は仮想通貨規制の導入に踏み切れるのか、今後も同国での動きに注目していきたい。
release date 2021.01.29
過去に南アフリカではSARBが仮想通貨を利用した海外送金に制限を設ける規制を導入しているが、他国のように証券法の分野にまで切り込んだ包括的なフレームワークが構築されておらず、仮想通貨関連企業が野放しで事業を行っているようだ。南アフリカでも仮想通貨市場は拡大しているものの、規制の緩さが原因で仮想通貨を用いた詐欺が横行しているという。一方、日本や欧米などの仮想通貨先進国では、2017年頃にICO(イニシャルコインオファリング)を語った詐欺事件が続発したことを受け、仮想通貨の取り締まりが一気に強化された。結果的に2018年の新規ICOによる資金調達額が減少しており、仮想通貨市場の透明性を高めることにつながっている。昨年、英国でFCAが仮想通貨関連広告を監視するスキームが提案されるなど、世界各国では仮想通貨市場から不正を排除する動きが加速しているだけに、南アフリカ政府にも同等の措置を取ることが求められると言えるだろう。
作成日
:2021.01.29
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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