作成日
:2020.07.22
2021.08.31 15:32
英国政府は仮想通貨関連の広告について、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】の監視下で利用可能にすることを提案している。
英財務省は仮想通貨に対する不十分な規制が投資家をリスクにさらすことになると言及しており、何らかの保護が必要だとの考えを示している。これに関して英国政府は、FCAに仮想通貨関連の広告を管理する権限を与えることが有害なプロモーションを排除する最も効率的な方法であると提案し、新しいフレームワークを作成する代わりに、当局を中核としたスキームを構築しようと試みているようだ。英国の財務大臣であるJohn Glen氏は、規制された投資商品を販売する企業も広告の内容によってはFCAの認可が必要になる可能性があると主張した。更に同氏は現行の規制では拡大する仮想通貨市場の需要に対応できないと説明し、この改革が重要であることを強調している。
また、Glen氏はこの仮想通貨関連の広告を規制するスキームに関して次のようにコメントした。
未承認の企業による広告が誤解を招いたり、リスクを完全に説明していない場合、最終的に投資家が不利益を被る可能性があります。そのために幅広い商品へのアクセスを担保しながら、仮想通貨関連の広告を含む金融業界のプロモーション活動を規制することを必要としているのです。
John Glen, Treasury & City Minister - FTAdviserより引用
最近のFCAの調査によると、英国の投資家は楽に利益を上げる方法を探しており、ソーシャルメディアでの広告を利用した仮想通貨詐欺の被害に遭っているという。このようなケースは数多く報告されているが、FCAの取り組みがどのような効果を発揮するのか、今後も同国での動きに注目していきたい。
release date 2020.07.22
近年、英国では専門家委員会であるLTDPが仮想通貨を取引可能な資産と定義するなど、仮想通貨市場を対象とした規制が着々と進められている。これと同時にFCAは仮想通貨市場の安全性を担保するための取り組みに尽力しており、最近ではFCAは仮想通貨デリバティブ商品の禁止を検討しているという。また、FCAはビットコイン関連のなりすましメールに注意喚起を促し、より直接的な方法で投資家が仮想通貨関連の犯罪に巻き込まれないよう計らっているようだ。昨年7月、英財務省および内務省は新しく経済犯罪計画(Economic Crime Plan)を打ち出しており、詐欺やマネーロンダリング、汚職などの金融犯罪の撲滅に動き出している。これに加え、両省庁は資産回復行動計画(Asset Recovery Action Plan)により国内外で犯罪収益の回収を試みているだけに、今後は仮想通貨市場の透明性向上が求められると言えるだろう。
作成日
:2020.07.22
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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