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英国政府主導の委員会、仮想通貨を取引可能な資産と定義

英国政府主導の委員会、仮想通貨を取引可能な資産と定義

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update 2021.08.31 15:29
英国政府主導の委員会、仮想通貨を取引可能な資産と定義

update 2021.08.31 15:29

仮想通貨およびスマートコントラクトの法的な解釈が明確化

英国政府が主導する専門家委員会であるThe LawTech Delivery Panel【以下、LTDPと称す】のThe UK Jurisdiction Taskforce【以下、UKJT】は、英国およびウェールズにおける法律の下、仮想通貨を「取引可能な資産」、並びにスマートコントラクトを「執行可能な契約」として正式に定義するとの公式声明を今月18日に発表した。[1]

LTDPはテクノロジーを通じて司法に変革をもたらすために設立され、そのイニシアチブであるUKJTには高等法院長のGeoffrey Vos氏が委員長として参加し、その他にも高等法院判事のAntony Zacaroli氏、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】の理事を務めるChristopher Woolard氏などの政府関係者が名を連ねているという。今回、UKJTの発表では仮想通貨が資産としての要件を全て満たすことが示唆されると同時に、ブロックチェーンの暗号鍵が署名の役割を果たすため、スマートコントラクトが法的な執行力を持つ契約に該当するとの見解が明示されている。これにより、英国およびウェールズでは法的な不確実性が解消し、仮想通貨やスマートコントラクトの利用が加速する可能性があるようだ。

このような仮想通貨に関する声明が発表されたことに関してVos氏は以下のようにコメントしている。

法的に言えば仮想通貨やスマートコントラクトは間違いなく未知の領域です。この声明が市場に明確な方針を示し、世界的な金融サービス業界および司法やテクノロジーに法的な確実性や予測可能性を与えることになると願っています。

Sir Geoffrey Vos, Chancellor of the U.K.'s High Court - The LawTech Delivery Panelより引用

最近、仮想通貨絡みの訴訟でシンガポールの裁判所が、仮想通貨は資産に該当し信託対象となり得るとの判決を下しており、UKJTの発表はこれに同調する形となった。これまで英国法の下で仮想通貨は税制やデータ保護の観点から非常に曖昧な存在となっていたものの、この声明が裁判所のひとつの判断基準になる可能性があると考えられる。今年8月に英国ではFCAが仮想通貨に関するガイドラインを発行し、国内市場の統制を図っているが、今後は裁判の判例等を通じても更に明確な規制環境が確立されることになると言えるだろう。

release date 2019.11.19

出典元:

ニュースコメント

政府対応の遅れで混沌とする仮想通貨市場

2017年以降、ビットコイン(Bitcoin)を始めとする主要な仮想通貨が爆発的に普及したが、各国政府の法整備が追いつかず、仮想通貨市場は混沌とした状況が続いているようだ。中でも、仮想通貨を証券として取り扱うか否かの問題は大きな論争を巻き起こしており、今年6月にも米SECが違法なICOを実施したKikを提訴するなど、政府と企業側の認識の相違が明白になった。一方、日本では金融庁が資金決済法を改定し、仮想通貨の名称を仮想通貨に統一して定義すると同時に、既存の金融法の下で仮想通貨市場を規制する方針をいち早く打ち出すことに成功している。欧州ではFacebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)などの動きに対応するために、仮想通貨を規制する流れが強まっているが、この英国政府主導の委員会の声明にどのような反応を示すのか、今後も仮想通貨市場の展開に注目していきたい。


Date

作成日

2019.11.19

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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