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金融庁、仮想通貨も含む資金決済法の改定案を発行

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update 2021.08.31 15:26
金融庁、仮想通貨も含む資金決済法の改定案を発行

update 2021.08.31 15:26

名称の統一など多岐にわたる変更が盛り込まれる

今月15日、日本の金融庁(Japan Financial Services Association, JFSA)は、仮想通貨などの新しいデジタル資産の利用に対応することを目的に、「資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」と題した報告書を発行した。[1]

金融庁の報告書によると、仮想通貨の名称を仮想通貨へと統一することが提案されており、それに基づき、仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業者へと変更になるという。この名称の統一は、仮想通貨市場の規制を目論んだ形式的なものではあるが、仮想通貨を正式な資産として規制する方針を固める金融庁としては重要な法改正の一環だといえる。これに対して、業界団体は、仮想通貨が価値の移転や取引などにも利用できることから、資産という名称は適切ではないと反対の声を挙げているようだ。

今回、金融庁は、以前から問題とされている仮想通貨交換業者による顧客資産の管理方法にも切り込んでおり、「利用者保護の確保やルールの明確化のための制度整備」を掲げて具体的な対策を示している。それによると、まず、企業には基本的にオフラインのコールドウォレットでの資産管理を徹底させ、リスクが高いホットウォレットの利用に関しては、管理する資産額と同等の弁済原資の保持を義務付ける考えだという。また、報告書の中では、ユーザーが弁済を受ける権利についても言及されており、業界における顧客保護の方法がより明確になっている。

これらに併せて金融庁は、仮想通貨取引におけるレバレッジやICO(イニシャルコインオファリング)なども、今後、規制範囲を拡大して対応することを検討しているという。特に、レバレッジ取引に関しては、外国為替取引と同様に金融商品取引法の整備を進めて、リスクを制限することを発表している。今の所、具体的なレバレッジの上限は未定となっているが、金融庁は、仮想通貨価格のボラティリティを考慮した上で総合的に判断するようだ。

その他規制として、金融庁の改正案には、仮想通貨交換業者による不適切な広告や風説の流布、価格操作などの不正行為を禁止する条項も盛り込まれている。これらに加え、KYC(顧客確認)やカストディ業務に関する規制等も実施されるとなれば、国内市場の透明性や安全性は格段に向上することが予測される。

release date 2019.03.18

出典元:

ニュースコメント

規制が成長の足かせとなることへの懸念

日本国内で仮想通貨交換業者として事業を行うためには、金融庁への登録申請が必須で、現在、17社が正式な交換業者として登録されている。この金融庁のライセンス制度による貢献もあり、日本の仮想通貨市場は、世界的に見ても最も規制が進んだ市場だと評価されているが、その反面、市場成長のスピードや自由度に難があると言われているようだ。事実、かつては多くの企業による申請があったにも関わらず、今年1月に金融庁がコインチェックを交換業者として登録したのを最後に新たな承認はなく、安全性が整っていない取引市場の拡大に慎重になっている。今回の報告書でも、金融庁は、登録申請の審査を受けている間、限定的な営業のみ許可されるみなし業者の有効期間を1年6ヶ月に設定する案を示しているという。これについて、強すぎる市場への締め付けに反対の意を唱える者も出てきており、金融庁の方針は万人に受け入れられているわけではないことが伺える。それでも、仮想通貨市場には、何らかの規制が必要なことは確かで、自主規制団体の日本仮想通貨交換業協会や有識者を含めた形での最適な改正案の検討が求めらるだろう。


Date

作成日

2019.03.18

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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