Select Language

米SEC、違法なICOを実施したKikを提訴へ

米SEC、違法なICOを実施したKikを提訴へ

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
米SEC、違法なICOを実施したKikを提訴へ

update 2021.08.31 15:26

Kinコインの販売が証券法に抵触するとの見解

米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】は、違法なICO(イニシャルコインオファリング)を行ったとして、仮想通貨プロジェクトのKin(キン)を手がけるKik Interactive【以下、Kikと称す】を提訴することを発表した。[1]

SECによると、Kikは米国の証券法で定められている登録を行わずに、Kinコイン(Kin Coin)と呼ばれる仮想通貨を無断で販売したという。Kikは、匿名性を重視したブロックチェーンベースのメッセージングアプリを開発していたが、2017年初旬、資金不足に陥ったことから機関投資家や個人投資家向けにICOの実施に踏み切った。結果として合計1億ドル近い資金調達に成功し、そのうち、米国内だけで5,500万ドルもの資金を集めている。

SECは、Kinコインの販売は「投資」の名目で行われたことを指摘しており、これに対してKikはメッセージングアプリにおけるサービスの一環であることを主張している。しかしSECは、Kinコインを利用して購入できるサービスやシステムが提供されていないことから、Kikの主張は事実と異なるという認識のようだ。これについてSECの執行部門で共同ディレクターを務めるSteven Peikin氏は、今回未登録で行われたKinのICOは、法的根拠のある情報に基づいて行う投資家の投資判断を妨げるものになると批判しており、同じく部長を務めるRobert Cohen氏は、投資家がKikからリターンを期待するのは自然なことだと述べ、Kinコインが証券法に抵触することを強調した。

Kinコインの時価総額は、2018年1月におよそ10億ドル付近まで達したが、現在は2,500万ドル以下の低い水準で推移している状況だ。SECの公式発表では、Kikが3兆KINを保有していることが伝えられており、現金化を目的に、これらの仮想通貨が流通市場(セカンダリーマーケット)で売却される可能性があると言われている。SECはKikに対し、恒久的な差止命令および罰金とその利息、訴訟費用の支払いを求めているものの、KinはSECに対抗するための基金を設立するなど、徹底抗戦の構えを見せている。米国では新規ICOの減退に拍車が掛かっているが、この裁判の結果が市場にどのような影響をもたらすのか、今後の展開にも注目していきたい。

release date 2019.06.05

出典元:

ニュースコメント

サイバーユニットが取締り強化に動く

2017年以降、SECは仮想通貨市場でのICOを強く規制する姿勢を見せており、執行部門に組織した専任のサイバーユニットが本格的な取締りに乗り出しているという。その甲斐もあってかSECは、Kik同様に一般の人々らの資金調達を試みた違法な仮想通貨関連企業に罰則を科し、仮想通貨市場でも証券法の効力を維持することに成功している模様だ。過去には、2018年にParagonとAirfoxのICOプロジェクトに対してSECが罰金を課すほか、マンチー(Munchee Inc.)やGladius Network LLCが企てたICOが問題となったが、これらのケースは全て和解に至っているようだ。対照的に今回のケースは、Kikが潤沢な訴訟費用を用意していることやコミュニティの支持を受けていることから、SECとの戦いが長期戦になる恐れがある。決着が先延ばしになることは、開発を急ぐ企業側にとっても痛手となるが、今後、早期解決の糸口が見つかることに期待したい。


Date

作成日

2019.06.05

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

Exnessの海外入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExnessで海外送金による銀行口座の凍結が発生している事例を取り上げていきます。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

仮想通貨INITの将来性は?アプリチェーン統合レイヤー1「Initia」の特徴や評判

仮想通貨INITは、複数のアプリチェーンを統合するレイヤー1ブロックチェーン「Initia」のネイティブトークンです。当記事では、INITの将来性やSNSでの評判、Initiaの特徴などを解説します。
update2025.04.24 19:00

MT4初心者必見!FX自動売買EAバックテストのよくあるトラブルと対策集

バックテストをした際にEAを選択できない、途中でテストが止まる、結果が安定しないなどの症状が発生することがあります。本記事では、バックテストをした際に発生する症状別に対処方法を解説します。
update2025.05.13 19:00

ビットコインを500円分買ってみた!利益額や買ってみた感想を紹介

Myforex編集部では、実際にビットコインを500円分購入してみました。今回の記事では、ビットコインを500円分買ってみた投資結果や利益額、買ってみて感じた感想、ビットコインの買い方などを解説します。
update2025.02.27 20:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル