作成日
:2019.06.05
2021.08.31 15:26
今月はじめから、多くの仮想通貨が大幅な価格下落に見舞われており、これまでの強気なトレンドから一転、仮想通貨市場全体が調整相場の様相を示しているようだ。
仮想通貨市場の基準となるビットコイン価格は、直近で6%の下落を見せたことから、過去1週間で7.9%の下げ幅を記録している。同じく、過去24時間でイーサリアム(Ethereum)が4.7%、リップル(Ripple)は5.9%、ライトコイン(Litecoin)も5.8%の下落となり、これまでの価格上昇に軒並み陰りが見えている状況だ。中でもビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)はその傾向が強く、直近の取引セッションで価格が7.4%暴落し、過去1週間では8.2%の下落を記録した。
ビットコインキャッシュと米ドルの4時間足チャートを見ると、強気の流れが一時的に失われており、オシレーター系のテクニカル指標では、横ばいか売りどちらかのシグナルを出している模様だ。長期移動平均線と短期移動平均線の差分からモメンタムを読み解くMACDは、更に価格が下がることを示しており、RSI(Relative Strength Index)は、買われ過ぎの水準にまで達している。また、チャート分析では、短期(100日)の単純移動平均線が、長期(200日)の単純移動平均線が描くトレンドライン上にあることから、そこがサポートライン(支持線)となっていることがうかがえよう。加えて板情報をみると、400ドルと430ドルから450ドルの価格帯に壁があり、もし更に価格が下がる場合、340ドルから375ドル付近が主なサポートラインとなりそうだ。
今月3日に発表されたダウ工業平均(Dow Jones Industrial Average)は、365ポイント下落し、ナスダック総合指数(Nasdaq)とS&P 500もこれに続き同様の動きを見せた。米ドルも、セントルイス連邦準備銀行の理事長であるJames Bullard氏と連邦準備制度(Federal Reserve System)議長のJerome Powell氏の発言を受け、下方向への動きを見せている。しかし対照的に貴金属の価格は、小さい上昇を描きながら、直近13か月の高値へと迫った。
先日、ビットコイン価格が今年の最高値を記録したことが報道されたものの、現時点の仮想通貨市場では、過去48時間にわたる価格下落が続いている。長期的に見ると依然として株式、金、石油よりも高い成長を見せおり、仮想通貨トレーダーは、ポジションを探っているようだが、再び上昇のきっかけをつかめるのか、今後の展開にも注目していきたい。
release date 2019.06.05
2017年の仮想通貨ブーム以来、投資環境が整えられつつある仮想通貨市場だが、機関投資家の参入や資産としての認識が進んだこともあったことから、その他市場との連動性が生じ始めている様子がうかがえよう。例えば、為替市場と仮想通貨市場は逆相関関係にあると考えられており、金利の低下や中央政府の信用不安、景気の後退などで法定通貨の価値が減少する際には、回避先として仮想通貨市場に資金が流入することが確認されている。実際にベネズエラでは、自国通貨のボリバルが極度のインフレーションに陥ったことにより、国内でのビットコイン(Bitcoin)需要が急増したという。従来であれば、法定通貨の回避先として金や石油などの現物資産がその役割を担っていたが、最近では、ボーダーレスな特徴や送金の手軽さが理由で、仮想通貨の需要が拡大している模様だ。また、仮想通貨を対象とした投資商品を開発するグレースケールは#DropGoldのキャンペーンを展開しており、金の代わりにビットコインをポートフォリオに組み込むことを推奨しているが、今後、この流れは更に加速していくことになるだろう。
作成日
:2019.06.05
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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