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日銀総裁、出口戦略を検討する局面ではないと発言

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update 2021.08.31 15:31
日銀総裁、出口戦略を検討する局面ではないと発言

update 2021.08.31 15:31

新型コロナ禍における景気の下振れリスクは無視できないと指摘

日本銀行【以下、日銀と称す】の黒田東彦総裁は2月16日、衆院財務金融委員会にて、現在の市場環境はETFの買い入れを含む金融緩和の出口戦略を検討する局面には至っていないとの認識を示した。[1]

15日の東京株式市場で日経平均株価が30年半ぶりに3万円台を回復したことに関し黒田総裁は、株価は世界経済の回復が続くとの見方を反映しているが、行き過ぎか否かは後になってみないと分からないと言及した。また、日銀によるETFの買い入れに関しては、特定の株価水準を目標として行っている訳ではなく、同行が掲げる2%の物価安定目標の実現には依然として時間を要することから、金融緩和の出口戦略タイミングや具体的な対応策を検討する局面ではないという。

足元のグローバル経済環境に関しては、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響を受け、景気の下振れリスクは無視できないという。また、黒田総裁は新型コロナウイルス感染症対策として現在の強力な金融緩和策を続ける他、グローバル当局による国際協調に関しては、各国と同様の財政・金融政策を実施する訳ではないと言及した。

黒田総裁は景気の先行き見通しに慎重な姿勢を示しており、金融政策の運営に当たっては、経済、物価、金融市場動向を注視し、金融の潜在リスクに対して適時適切な対応を行っていく方針だ。

release date 2021.02.17

出典元:

ニュースコメント

日本企業の大株主に躍り出る日銀

2020年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年比1.0%低下と、日銀が掲げる2%の物価安定目標から遠のいている。黒田総裁がETFの買い入れに関して出口戦略を検討する局面に至っていないと指摘していることから、引き続き日銀が日本株式市場を下支えする展開となりそうだ。黒田総裁の下で日銀はETF購入を拡大しており、2020年末の保有額は46.6兆円に上り、実質的に日銀が日本企業の筆頭株主になっている。他方で、日本株式が良好な値動きを示す中、複数の金融サービスプロバイダーが関連ソリューションの強化を試みている状況だ。例えば、ネット証券各社がマネックス・アクティビスト・ファンドの取り扱いを開始した他、野村HDがスパークスと提携し、非上場企業へ投資する新たなプラットフォームの構築を目指している。また、マルチアセットに対応したサービスの提供を試みる海外FXブローカーの間でも、グローバル株式の取り扱いを拡大する企業が増加傾向にあるという。例えば、Admiral MarketsはMT5上で日本株取引サービスを開始している。日銀が金融市場を積極的に支える展開が続く中、金融サービスプロバイダー各社が、日本市場にフォーカスした画期的なソリューションを提供することで、同国金融市場が活性化することに期待したい。


Date

作成日

2021.02.17

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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