作成日
:2021.02.17
2021.08.31 15:33
シティグループ証券株式会社(本社:東京都千代田区大手町1-1-1大手町パークビルディング
)のチーフFXストラテジストを務める高島修氏は、日経平均株価【以下、日経平均と称す】が30年半ぶりとなる3万円の大台を回復する中、為替相場は全面的な米ドル安が継続し、米ドル/円は100円を割り込む展開になると予想している。高島氏によると、日経平均が3万円を回復した足元の相場は、日本株市場がバブルを形成した1980年代終盤と似通った市場環境にあるという。1985年のプラザ合意後、円高が進行した日本では、政府と日本銀行【以下、日銀と称す】が財政出動及び金融緩和策を講じたことにより、バブル経済を生み出す結果となった。澄田智総裁の下において、日銀が公定歩合を当時としては過去最低に引き下げ、米ドル/円は1988年末まで下落傾向にあったが、1989年以降は反発に転じている。一方、日経平均は3万円の大台を突破し、上値追いの展開となっていた。足元の日本市場においては、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックをを受け、日銀は1980年代終盤と同様に政府の財政拡大策と歩調を合わせ、従来からの金融緩和政策を強化している。日経平均は2月15日、1990年8月以来の3万円台を回復した。米国株式市場も好調を維持しており、ダウ工業株30種平均【以下、NYダウと称す】は2月12日、過去最高値を更新している。
高島氏は、2020年から米国市場において米株高と米ドル安が同時進行する傾向が明確になっており、長期投資家は割高感が強まるドル建て資産から他の資産へポートフォリオを分散し始めている可能性があると指摘している。また、過去5年間に日本株の保有残高を削減してきた外国人投資家が、今回の株高をきっかけとして日本株に見直し買いを入れるかもしれないという。更に、外国人投資家の日本株投資に伴う円買いが、円高に繋がる可能性があると見ている。1980年代の終盤にかけて、株高と円高が同時進行していたことに鑑みると、足元における日本株高と米ドル/円下落の併存は、特に異例の事態というわけではないといえるだろう。
株高と米ドル/円下落が同時進行する市場環境下において、高島氏が注目する点が米ドル安の持続性だ。同氏が米ドルに弱気な理由として、経常赤字の深刻化とドル建て資産から他資産への資金シフト、グローバル投資家によるドル建て資産残高の急増及び為替ヘッジ比率の低さを挙げている。また、高島氏によると、2021年の米国マクロ経済は緩やかな正常化が進み、リスクオンの投資環境が継続する中、米長期金利が1.25%-1.5%水準へ上昇し、長短金利差も拡大すると予想している。これに伴い、同氏はヘッジ付き米債に投資妙味が出てくると見込んでおり、22兆ドル(約2,299兆円)の米国資産を保有する外国人投資家が、仮にヘッジ比率を5%引き上げるだけで、1.1兆ドル(約115兆円)もの米ドル売り圧力が生じると試算している。これらの理由を踏まえ、高島氏は米ドル安が継続すると見ている模様だ。
市場では米金利上昇が、米ドル高に結び付くという見方も出ている。景気回復への期待感が高まる中、高島氏が予想するように米ドル/円が100円割れの展開となるのか、その動向を見守りたい。
release date 2021.02.17
日本市場が30年半ぶりの高値に沸く中、2月12日の米国株式市場では、NYダウが3万1,458ドルまで上昇し過去最高値を更新している。新型コロナ禍において世界中でデジタル化が進む環境下、競争優位性を発揮する米国企業の株式が大きく買われているようだ。加えて、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及による景気回復や、バイデン政権による追加経済対策への期待を背景に、米株式市場の好調が継続している状況だ。グローバルベースで米株への投資ニーズが高まる中、多くの金融サービスプロバイダーが関連ソリューションの提供を試みている。例えば、FXOpen UKが米株CFDの取り扱いを開始している他、英国でブローカレッジサービスを開始したStakeは、3,500種類以上の米国株式・ETFを提供している。また、Juno Marketsも米株CFDの取り扱いを開始した。景気回復期待を背景に米株市場の上昇が続く中、海外FXブローカー各社が顧客ニーズにマッチした関連ソリューションを提供することに今後も期待したい。
作成日
:2021.02.17
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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