作成日
:2021.02.15
2021.08.31 15:31
新政権発足や規制当局の変化、仮想通貨の普及拡大を受け、2021年中に米国でビットコイン(Bitcoin)ETF(上場投資信託)誕生への期待が高まっている。
これまで20社以上の仮想通貨ファンドがビットコインETFの登録を試みてきたものの、米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】はいずれの申請も認可せずにいるという。最近では、グレースケールがOTC(店頭取引)市場で取引可能なビットコインETP(上場取引型金融商品)、Grayscale Bitcoin Trust(GBTC)をNYSE Arca(アーカ)に上場するためのルール変更を申し出ているが、SECはその回答を保留しているようだ。
しかしながら、仮想通貨コミュニティでは昨年末、大手資産運用会社のVanEckが提案したVanEck Bitcoin Trustが最初のビットコインETFとして認可されるとの期待が高まっている。VanEckは前SEC議長のJay Clayton氏が辞任した後に申請書を提出しており、次期議長候補のGary Gensler氏が仮想通貨市場に友好的な姿勢を示すことを望んでいるという。Gensler氏は米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission, CFTC)の元委員長でブロックチェーン技術などにも精通する人物だ。
これに関して、仮想通貨カストディ企業であるGalaxy DigitalのMike Novogratz氏は、Gensler氏が公平な判断を下すと主張し、特別に仮想通貨市場を後押しすることはないとコメントしている。また、Novogratz氏はビットコインETFが原資産価格を正しくトラッキングできないリスクがあることを懸念事項として挙げ、それがSECの承認を遠ざける可能性があると言及した。実際に、SECは2017年にビットコイン価格がクラッシュして毎日20%以上乱高下する事態を目の当たりにしており、当時、信頼性の高いインデックスが存在しなかったことからビットコインETFの申請を拒否するに至ったという。
電気自動車メーカーであるテスラの大規模投資を受けてビットコイン価格が4万7,000ドルを突破しており、仮想通貨市場は盛り上がりを見せているが、最終的にSECはビットコインETFを許可するのか、今後もその動向を見守っていきたい。
release date 2021.02.15
度重なる詐欺やハッキング事件などを経て、米国では投資家保護を念頭に仮想通貨市場の規制環境の整備が進んでいる。例えば、2019年にはニューヨーク州が仮想通貨タスクフォースを立ち上げ、州内でのマイニング事業や仮想通貨取引、税制に関する取り決めに加え、ビットライセンス(BitLicense)と呼ばれるライセンス制度の運用基準などの構築を実現したという。結果的に、ニューヨーク州を拠点とするBNYメロンが仮想通貨カストディサービスをローンチするなど、同州では企業による仮想通貨市場参入が活発になっているようだ。その他、カリフォルニア州では金融当局の監督権限を強化する動きが生じており、安全性を高めると同時にイノベーションや雇用創出を狙った試みが進められている。このように、米各州で仮想通貨市場の統制を図る取り組みが拡大しているが、仮想通貨を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.02.15
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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