作成日
:2019.01.04
2022.01.27 15:46
ニューヨーク州議会のプレスリリースによると、同州の州知事であるAndrew Cuomo氏が新しく可決された法案を認可したことで、仮想通貨とブロックチェーン技術の理解を促すタスクフォース(特定の課題を達成するために一時的に設置される組織)が正式に立ち上げられることが明らかになった。
このタスクフォースは、Cuomo氏と議会によって任命された技術者、消費者、機関投資家および個人投資家、企業や教育機関の代表者から構成されており、2020年12月15日までに仮想通貨やブロックチェーン技術に関する報告書の提出が求められている。報告書には、ニューヨーク州の規制に関する提案や仮想通貨の定義、州内での仮想通貨マイニングや取引方法に関する取り決め、徴税やその他の分野への影響など、様々な視点からの調査結果が盛り込まれる予定だという。
ニューヨーク州では、すでにビットライセンス(BitLicense)と呼ばれる規制が実施されている。仮想通貨関連事業をニューヨーク州で展開する場合には、州による認可を受ける必要があるが、この制度が導入されて以来、過去4年間でライセンスを取得できたのはわずか14社で、厳しすぎる基準に批判の声も上がっているという。今回、新しく可決された法案ではこのライセンス制度の緩和や改正に関してはっきりと明言されていないが、この法案を立ち上げたClyde Vanel氏は、少なくとも規制を明文化することにより状況が好転していることを実感しているようだ。
Vanel氏は、今回のタスクフォースの立ち上げについて、以下のようにコメントしている。
専門家が集まるこのタスクフォースは、ブロックチェーン業界や仮想通貨のビジネスでの利用を支え、同時にニューヨーク州内の投資家や利用者を保護する役割を担います。金融分野で米国をリードする同州での適切なフィンテック規制を促すでしょう。
Clyde Vanel, Assemblyman at the state of New York, - Facebookより引用
2017年後半、Vanel氏は、このタスクフォースに関するアイディアを初めて明かしており、続く12月には、政府のテクノロジーへの理解と活用の可能性を模索することを目的に法案として提出している。これに関して、同じくニューヨーク州の下院議員を務めるEd Ra氏は、消費者の保護、投資やイノベーションにつながることを評価している。
連邦議会も仮想通貨規制の重要性は認識しており、昨年、仮想通貨やそのテクノロジーを分析し理解するために同様の法案を下院で可決している。この法案は、金融犯罪に焦点を絞ったものだが、上院でも可決されれば、現在の仮想通貨を取り巻く環境が改善することが期待できる。州レベルでは、カリフォルニア州がブロックチェーン関連のワーキンググループを構成しようとしており、州内でのブロックチェーン技術の利用を模索しているという。
release date 2019.1.4
米国の多くの州では、仮想通貨やブロックチェーン技術に関して肯定的な見方を示している州が多く、2014年ごろには、すでに20以上の州で仮想通貨関連の法案が整備されていたという。主にビジネスや新しい金融インフラ、公共サービスなどの有効活用が期待されており、納税やペイメントシステムとしての利用が試験的に行われている。昨年11月末には、オハイオ州がビットコインでの納税を開始したことを発表し、これにより、同州では特定のウォレットを経由して、23種類もの税をビットコインで支払うことが可能となった。現時点では、企業や個人事業主など限られた利用者層を想定してシステムが構築されているが、最終的には一般市民にも利用できる汎用的な納税システムとしての発展が見込まれている。このように積極的な仮想通貨の利用を進める州もあり、他国と比べても先進的な環境が整いつつあるが、米国証券取引委員会(SEC)を中心とした連邦政府の対応は依然として固まっておらず、一刻も早い対応が望まれる。
作成日
:2019.01.04
最終更新
:2022.01.27
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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