作成日
:2021.02.11
2021.08.31 15:31
仮想通貨取引所のBitMEXは、金融活動作業部会(Financial Action Task Force)【以下、FATFと称す】のTravel Rule(送金時に個人情報を提供する規定)への準拠を目的に、トランザクションデータを保管する最善の方法を示したフレームワークを公開した。
FATFは仮想通貨サービスプロバイダー(Virtual Asset Service Provider)【以下、VASPと称す】に対し、2021年6月までにTravel Ruleに準拠することを求めているという。これに対して仮想通貨業界では、InterVASP Messaging Standard、またはIVMS101と呼ばれるデータ交換の標準規格や、FATFの要件に対応するためのソリューション開発が進められているようだ。
この流れを受け、BitMEXの親会社である100x Groupは、KYC(顧客確認)およびAML(マネーロンダリング防止)プロセスの強化を念頭に、セキュリティ分野の専門家でDiginexのコンプライアンス責任者を務めたMalcolm Wright氏を雇い入れた。その後、BitMEXはWright氏を中心にデータストレージのオープンソースプロジェクトを介して業界関係者や規制当局が利用可能なソリューションの構築を試みており、結果的にトランザクションデータの保管方法に関するフレームワークを確立するに至ったという。同フレームワークはアクセス管理や暗号化規格、Travel Ruleに必要な情報を分離して保管することに焦点を当てている。
Wright氏はFATFの要件を満たすソリューションを実装することがVASP間での情報共有を円滑にすると主張しているが、このフレームワークがどのような役割を果たすのか、今後も業界での動きを見守っていきたい。
release date 2021.02.11
米国では財務省が仮想通貨ユーザーにKYC要件を課すことを提案し、3,000ドルを超える取引をするためには身元確認が必要となるなど、仮想通貨市場を規制する動きが強まっている。その他にも米当局は適切なライセンスを保有しないオフショア取引所の取り締まりを強化しており、その一例としてバイナンスは米国からのアクセスを禁止する事態に陥っているという。これにはセーシェルを拠点とするBitMEXも無関係ではなく、米司法省(U.S. Department of Justice)および米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission)から告発を受ける結果を招いているようだ。直近の対策としてBitMEXはKYC期限を早めるなど、コンプライアンスを徹底する意思があることを示しているが、米国で事業を継続することができるのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.02.11
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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