作成日
:2020.12.28
2021.08.31 15:31
米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】が証券法に違反するとの判断でRipple, Inc.【以下、リップル社と称す】を起訴したことを受け、複数の仮想通貨取引所が人気仮想通貨のリップル(Ripple)を上場廃止することを決定した。
今回、SECはリップル社が未登録の証券を投資家に販売して7年間で合計13億ドルの違法な資金調達を行ったと主張し、同社および会長のChris Larsen氏、CEOのBrad Garlinghouse氏を起訴している。この事態を受け、OSLやCrossTower、Beaxyなどの取引所は法的問題から身を守るため、リップルの取り扱いを停止したという。CrossTowerの代表であるKristin Boggiano氏はこの件の不確実性を考慮してリップルを除外すると述べ、OSLおよびBeaxyも事が明確になるまで同様の措置を取ると通知した。
これに加え、仮想通貨ファンドを運用するBitwiseが、同社製品のBitwise 10 Crypto Index Fundから930万ドル相当のリップルを排除するために精算を行ったという。Bitwiseは証券法の下で証券とみなされる可能性が高い資産に対して投資を行わないとの方針を示し、同ファンドで約3.8%の比重を占めるリップルを売却し、他の銘柄に再投資することを決定した。また、Bitwiseは研究目的で公開されているBitwise 100 Total Market Crypto Indexからもリップルを除外すると発表している。
未だ主要な取引所はこの状況を静観しているものの、既にリップル価格は過去24時間で30%の下落を記録している。以前、CEOのGarlinghouse氏はリップル社が仮想通貨業界のAmazonを目指すと発言していたが、今回、SECから起訴された事実が同社にとって大きな痛手となる可能性があると言えるだろう。
release date 2020.12.28
日本の金融コングロマリットであるSBIは傘下のマネータップにリップル社から出資を受けるなど、同社と強固なパートナーシップを形成している。リップル社がSECから追及を受けている件に関してSBIは、リップルの販売やODL(On-Demand Liquidity)サービス、その他製品に対して差し止め命令が出ているわけではないと前置きし、これまで通りに同社とのパートナーシップを継続する意思があることを示した。一方、国際送金システムの強化を図るため、RippleNetを活用するサンタンデール銀行や三菱UFJフィナンシャル・グループ、PNC Bank、バークレイズ、Euro Exim Bankなどの大手パートナー企業は依然としてコメントを控えているようだ。リップルが仮想通貨市場から排除されることとなれば、金融業界にも影響が及ぶと考えられるが、これら金融機関はどのような判断を下すのか、今後もその動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.12.28
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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