作成日
:2020.03.05
2021.08.31 15:33
Ripple, Inc.【以下、リップル社と称す】のCEOであるBrad Garlinghouse氏は、同社が今後5年間で仮想通貨業界のAmazon(アマゾン)になることを目指していると、あるテレビ番組のインタビューで発言した。
現在、Amazonは1兆7,000億ドルの時価総額を誇る巨大企業となっているが、一方でリップル社の評価額は100億ドル程度と言われており、その差は歴然であることが見て取れる。しかしながらリップル社は、昨年12月に開催されたシリーズC(拡大のためより多くの資金を調達する段階)の投資ラウンドで2億ドルを調達するなど、精力的に拡大を続け、同社のネイティブトークンであるXRP(リップル)は、仮想通貨市場で第3位の規模となる103億ドルの時価総額を付けている。特にリップル社はここ2年間で目覚ましい進歩を遂げており、経済紙のForbes(フォーブス)が掲載した「最も価値あるフィンテック企業」の時価総額ランキングでは、コインベースの81億ドルを大きく引き離し、Stripe(ストライプ)に次ぐ第2位を獲得した。
2019年10月時点でリップル社は、合計168社のクライアントを抱えており、その中には118行の銀行、16社の送金業者、7社のFX業者、2社の仮想通貨取引所、11社の決済プロバイダー、6社のテクノロジー企業、8社の監査法人およびその他サービス企業が含まれるという。更なる成長に向けてGarlinghouse氏は、2020年中にIPO(イニシャルパブリックオファリング)を実現する可能性を模索している事実を明かし、リップル社が仮想通貨業界をリードする存在になり得ると語っている。しかしながら一部のアナリストは、このIPOがリップル社を公的金融分野に注力させ、結果的にXRP価格に悪影響を及ぼす可能性があると警告しているようだ。
本来、リップル社にとって銀行ネットワークを統合することは、成長戦略における重要な要素であり、これにより同社は安価で高速な送金手段を確立する可能性がある。CryptoRadarのマーケティング責任者であるJack Choros氏によると、中央銀行間の大規模な銀行送金を円滑化することは、リップル社にとっても鍵となる取り組みであるという。実際にフランス中央銀行は、リップル社のXRPがイーサリアム(Ethereum)と並び、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency, CBDC)を一部代替する可能性があると言及している。
現時点でリップル社は、既に200行以上の銀行をRippleNetに取り込んでいるが、仮想通貨コミュニティでは、同社が任意のアカウントを消去する機能を実装したことで懸念が高まっており、このエコシステムが実質的に中央集権型の仕組みになっているとの批判が絶えない。これに対してChoros氏は、リップル社が非公開企業であることを指摘し、銀行システムの混乱を避けるのが目的であれば、必ずしもビットコイン(Bitcoin)のような分散型ネットワークを構築する必要はないと主張している。一方でGarlinghouse氏は、リップル社の成長に向けてコンプライアンスを重視すべきだとの考えを示しており、このソリューションをどのように活用すべきか、規制当局と議論を進めていることを明かした。
それにも関わらず、リップル社によるXRPの運用方針に不満を抱いている企業も多く存在し、フィンランドの取引所であるCoinmotionは、中央集権型の構造がリスクになることを理由に、同仮想通貨の上場廃止を決定した。今年2月には、リップル社の共同創設者が大量のXRPを売却している事実が公になっただけでなく、総供給量の5%にあたる47億XRP(10億ドル程度)を保有することが明るみに出た。この中央集権型の構造がリップル社の送金ネットワークに支障をきたすわけでわないが、取引所などでのXRPの流通量にとってはマイナスな要因になる可能性が高い。
最近、リップル社はアジア太平洋(APAC)地域への進出に尽力しており、RippleNetのODL(On-Demand Liquidity)サービスを軸に、SBI Remitやマネーグラム、フィリピンのSendFriendなどと協業しているほか、リップル社はサイアム商業銀行と提携しモバイルアプリの開発に取り組んでいる。成長を続けるリップル社だが、この戦略がどのような成果につながるのか、今後も同社の動向に注目していきたい。
release date 2020.03.05
リップル社のGarlinghouse氏は、金融包摂の拡大を念頭に、アジア地域の新興国にソリューションを展開することを明言している。最近では、バングラデシュの大手銀行であるBank AsiaをRippleNetに取り込むなど、リップル社は積極的な攻勢に出ており、新興国市場でその存在感を増しているようだ。一方、Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)をはじめとする仮想通貨プロジェクトも、リップル社と同様の考えで新興国市場への進出を狙っているため、同地域での競争が激化していくことが予想できる。特に、シンガポールではフィンテックおよび仮想通貨業界に多額の投資が流入しており、国内市場が盛り上がりを見せるだけでなく、多数のフィンテック企業が中国やインド、インドネシアの送金需要に目を付けて事業を展開している状況だ。既に世界的な企業となりつつあるリップル社だが、この競争をどのように勝ち抜いていくのか、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。
作成日
:2020.03.05
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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